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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ティリオの許嫁と、アフーリア大陸での
133/1109

第132話 街中での襲撃

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


宿にしている売春宿場で過ごすディオス、ケンジロウの女と一緒にいて、監視を誤魔化して街を回るという妙案に乗って、部屋を主の娼婦アニアと共に街を回っていると、姿を隠す魔法を解除した戦闘ヘリのような兵器がディオスを…。


 ディオスは、この街の裏に通じているフォルカ・ファミリーの協力をこぎ着けて、宿にしている、男性の欲望を満たす仕事をしている女性の部屋に来る。

 そこは、ケンジロウと最初に入った西部劇風のクラブの隣にある宿屋だ。

 この宿屋は、宿前や周囲の店で、男の客をキャッチして、そういう男が喜ぶ下半身のサービスを提供する場所にする宿屋だ。

 まあ、この宿屋に仕事を雇われている女性に泊まるだけをお願いすると、普通に泊まる事も出来るが、そういう事はしないだろう。

 いいや、絶対無い事はないが…偶にあるかなぁ…。

 とにかく、ディオスは泊まる部屋に来ると…

「はぁ…い」

と、その手の女性が挨拶してくれた。


 ディオスはベッドに腰掛ける女性に、近づき

「当分の間、世話になる」


 女性、人族で黒髪の二十代半ばの彼女は肯き

「いいけど、特別料金よ。アンタがいる間は仕事が出来ないから」


 ディオスは懐の小切手を切る。

「これで足りるか?」

 金貨五十枚の小切手だ。


 彼女は微笑み

「どのくらい居るの?」


 ディオスは渋い顔をして

「二週間前後のつもりだ」


「OK、これなら十日分は余裕だから」

 彼女は立ち上がり

「食事はどうする?」


 ディオスは魔導士のローブを脱いでハンガーに掛けて

「いい、自分で作る。材料だけくれ。その経費は別途で」


 彼女は、肩を竦め

「この金額で、そんなのを請求したら、罰が当たるもん」


「そうか…」

 ディオスは、彼女と話した夜のそういう商売をする部屋から、隣の分厚いカーテンで敷居されている居住スペースへ入る。

 商売をするその部屋は、大体十畳くらいで、生活のスペースはキッチンとベッドに書斎兼居間の三部屋だった。


「トイレは?」

 ディオスの問いに彼女は

「共用よ。お風呂は隣にあるスパで済ますの。ここに住んでいるとそこのスパの割引券が貰いたい放題よ」


「ほぉ…」

と、ディオスは頷く。

 


 早速、ディオスはキッチンの冷蔵庫を開ける。保存食が入ったケースが多数、この商売をしているのだから、時間が不規則になりやすい故に、簡単に作れるそういう材料が多い。

 肉ばかりでなく、ミックスベジタブルもある。

 そこは、男性の一人暮らしとは違う。さすが、女性だ。


 ディオスは、ミックスベジタブルと、僅かな唐辛子、ニンニク、パスタの麺、オリーブオイル、卵を取り出し、サクサクと料理を作る。

 パスタの麺を茹でながら、フライパンでオリーブオイルを温め、そこに唐辛子にニンニクをスライスした物を入れて煽り、オイルに匂いと味を付け、ミックスベジタブルを入れ、ゆであがったパスタも投入、卵と茹で汁を絡めて、白濁とさせて完成。

「んん…」

 簡単なプッタネスカかな?


 いい匂いのするパスタに彼女は鼻を動かし

「ねぇ…ちょっと食べていい?」


「ああ、いいぞ」

 ディオスは彼女にも分けてキッチンで食事する。


「んん! おいしい!」

 彼女は楽しげな声を放つ。


 ディオスは、作った食事を口にして

「まあ…六十点くらいかなぁ」


 彼女は悪戯な笑みで

「店出せると思うなぁ…」


 ディオスはフッと笑み

「下手な横好きさ」


 食事をするディオスに、彼女は

「アンタの事、ジャニアから聞いてるよ。なんで、こんな事をしているのさ? アンタは大英雄なんだろう」


 ディオスは立ち上がって魔導士のローブから、あのチンピラから取った魔法増幅の赤い宝石を見せる。

「これの所在を追っている」


 彼女は手にして

「ああ…これか…」


「知っているのか?」


 彼女は難しい顔をして

「数ヶ月前くらいかなぁ…。面倒を起こす連中が持っている魔法の力を増幅する宝石なんだろう? ちょっとした小さい力でも魔導車を吹っ飛ばせるくらいに、強く出来るっていう…」


 ディオスは渋い顔をして

「かなり、迷惑を被っているのか?」


 彼女は、嫌そうな顔で

「ここってね。昔からこの地の裏に通じている人達、地元の力が強い街なんだ。そうやって上手い事バランスを取っていたんだけど…それが…最近、入り込んだ新参者が、こんなモノを使って暴れているから、皆、困っているんだよねぇ」


「フォルカ・ファミリーは?」

と、ディオスは問うと彼女は

「フォルカは、昔からここと繋がりがあったんだぁ。まあ、十七、八年前かなぁ…。アンタが倒したヴァシロウスの所為で、こっちに流れたけど。地元とは上手くつき合っているよ」


「そうか…」

 フォルカのネットワークに期待が持てるディオス。


「ねぇ…アンタ、そいつらを勢いづけているモノを潰してくれるの?」

 彼女は悪戯な顔だ。


 ディオスはフッと笑み

「時と場合によってな」

 ぶっ潰すのは間違いないが…それは色々と証拠が揃ってからだ。


 食事を終えたディオスは食器を、食器洗濯機に入れ

「さて、汗を流してくる」


 彼女は、ディオスに近づきその肩に顔を寄せると

「ねぇ…サービスしてあげようか? 隣のスパね。そういうサービスも出来る場所もあるんだよ」


 ディオスはフッと笑み

「一人で入りたいから、止めて置く」


「ちぇ…」と彼女は残念そうだ。


 ディオスは、移動しながら

「ああ…名前は? まあ、どっちでもいいが…」

 本名か、裏名前でも、どっちでもいいという事だ。


 彼女は笑み

「アニア」

 アニア。響きから裏の名前と察しディオスは

「分かった。当分の間、よろしく頼むぞ。アニア」

 そう言い残して、スパへ向かった。



 色んなお風呂があるスパで、ディオスはラーナから受け取った小型魔導情報端末を二つ持ってお風呂に入りながら開く。

 この小型魔導端末は、シャリカランが使う特定の魔法陣によって使用可能となる。

 それ以外の魔法陣を使っても反応しない。

 形としては、レスラム教徒が持っているシンボルのプレートにしか見えない。

 ディオスは一人専用の浴槽で、そのプレートをクリシュナから教わった魔法陣で、小型魔導端末を覆うと、小型魔導端末から立体画面が展開される。

 そこに映っているのは、例の増幅宝石がどの連中に売られているという情報だった。

 そして、文書が添付されている。

 

 ディオス様

 このような形でしか情報を提供出来ない事を謝罪します。

 ベアナハ共和国にいるシャリカランに通じる者から、ディオス様の状況が逐次報告されているという事を掴みました。

 どういう方法で監視されているか、分かりませんが。

 互いの安全の為に、このような方法を取らせて頂きたいです。

 次の情報に関しましては、ご宿泊する場所が分かり次第、カルラに使いをしてもらい情報の運搬を行います。

 くれぐれも、お気をつけください。 ラーナ


 ディオスが情報の画面を閉じると、後ろの通路から気配がして振り向くと

「よう!」

 ケンジロウと、ジャニアがいた。

「あら…」

と、ジャニアは裸の前を一枚のタオルで隠していた。


 ケンジロウが「隣、邪魔するぜ」とディオスの右に入り、ジャニアはケンジロウの右に入る。


 ディオス、ケンジロウ、ジャニアと並び、ディオスが

「お前は、その女性の部屋に寝泊まりするのか…」


「ああ…」

と、ケンジロウが背中を浴槽の壁に載せる。


 ディオスが

「どうして、このような宿に泊まる事を提案した?」


 その問い、売春宿場に泊まる事にしたケンジロウへ

「ああ…お前が監視されているってのは、ヴァアナの連絡で分かっていた。なら、通常の宿やホテルには、以外や政府の監視カメラや発信器が設置されている場合がある。こういう所には監視の政府の目が届きにくい。そういう事だ」


「はぁ…」とディオスは納得する。

 ディオスはジャニアを見て

「では、何故、風呂に入るのに同伴をした? 一人で入る方が気軽だろう」


 ケンジロウがニヤリと笑い

「お前、バカだねぇ…。監視されているなら、女と一緒に動いていれば、ただ遊びに来たって誤魔化せるんだよ。その辺りを考えろよ。頭いいんだろう」


 ディオスはフゥ…と息を吐き

「分かった。何となくな」


 ケンジロウが

「で、例の渡された情報は?」


 ディオスは首を傾げ

「大した事はなかった。どんな連中が多く持っているいう事だけだ」


「はぁ! ジャニアの方が知っているじゃねぇか」

と、ケンジロウは隣にいるジャニアを見ると、ジャニアは微笑み

「報酬と匿名を約束してくれるなら、アタシ達も情報を提供するよ」


 ディオスは頭を下げ

「頼む」


 ジャニアが

「アニアは? あの子は口が堅い子だから、一緒にいても大丈夫よ」


 ディオスは肩を竦め

「先に寝たんじゃないのか?」


「かぁぁぁぁぁ」とケンジロウは唸り「お前、もうちょっとはこの状況を楽しめよ」


 ディオスはフッと笑み

 そんなのどうでもいいぜ

と、思う。


 それを見抜いたケンジロウが

「堅物が…」


 


 翌日、ディオスはアニアを案内人に街を歩く。

 ここの地理を知らないので、知っているアニアの案内は非常に助かる。

 しかし、よく分からないが…アニアはディオスの左腕に抱き付いて、まるで恋人気分で案内する。

 なんか、昔、地球の何処かの国にあった。同伴デート『仮』観光だなぁと…。


 ディオスは思っていると、アニアが

「ねぇ…何を考えているの?」


 ディオスは、店のウィンドウにある食べ物のポスターを見つめる。

「美味そうだなぁ…と思って」

 そう誤魔化す。

 ポスターの料理は、一皿に色んな料理が載るトルコライスのようなメニューだ。


「じゃあ、食べにいく?」


「ああ…」

と、アニアの言葉にディオスは肯き、アニアの案内でその店へ向かう途中、不意にだが…左側の広い道を見る。

 何の脈絡もない。とにかく、不意だった。それが決め手になった。


 ディオスの左、道の真ん中の空間が虹色に歪む。

 それに憶えがある。姿を隠す魔法が解除されたのだ。

 そこに現れたのは、角張ったヘリのローターがない迷彩色のそれ。


 ディオスは立ち止まる。

 ヘリのようなそれは、下部に付いている指三本分の銃口を持つ重機関砲をディオスに向けた。


 ディオスは真っ青になり、スキルを

”アクセラレーション”

を発動させ、アニアを抱えて跪き魔法防壁を張った。

”シールド・ガーディアン”

 ヘリ擬きの重機関砲が火を放つ。

 親指三本分の弾丸が飛び出しディオスを襲撃する。


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


 けたたましい轟音を放つ重機関砲。

 極太の弾丸がディオスの防壁に接触する。通常なら弾くはずが…貫通した。

 そう、弾丸には魔法防壁を貫通する特別な魔導回路が刻まれていた。

 ディオスは、別の魔法を発動させる。

”アース・ウェイク”

 地面を隆起陥没させ、そこへ自分とアニアを潜り込ませて回避する。


 極太の弾丸が、ディオス達の傍にあった店を穴だらけにする。


 そして、ヘリ擬きは脇のコンテナを開いて、ミサイルをそこへ飛ばした。

 店と周囲がミサイルで完全崩壊、爆炎をあげるそこからヘリ擬きが飛び去る。


 数分後、そこは警察隊や救急が来て戦争のような状態になる。

 地面が引っ繰り返って土塗れの一つが、噴煙を上げてそこから、アニアを抱えたディオスが姿を見せる。


 アニアは突然の事態に呆然として、ディオスはアニアに付いた土を払いながら

「全く、やれやれだぜ…」

 直接狙ってくるなんて、思いもしなかった。



 ディオスはアニアと一緒に、ケンジロウが泊まるジャニアの部屋にいた。


 ディオスはイスに座り、その隣にケンジロウ、アニアも座っている。


 ジャニアが飲み物を持って来て、アニアとディオスに置く。


 ケンジロウが

「まさか、直接狙うとは…」


 ディオスは手を組み額に付けて

「オレ一人なら、問題ない…だが…彼女達が…」

 そう、確実にアニア達が巻き込まれる。

 どうするべきか、悩んでいると、ドアがノックされる。


 ジャニアが行こうとすると、ディオスが

「待て、オレが行く」

 ドア前に行き、外が見れる魔法で見ると、誰もいない。


 ディオスは慎重にドアを開ける。

 何者かが姿を見えないようにしているかもしれない。

 ドアを開けた次に、スーと姿が現れる。

 シャリカランの黒いローブを纏ったカルラである。

「どうも、ディオス様」

 カルラはお辞儀する。


 ディオスはホッとして

「入ってくれ…」

 カルラを通す。


 カルラは全員がいる前に来て、ディオスが

「何か情報は?」


 カルラは首を横に振り

「申し訳ありません。自分が来たのはディオス様が襲撃されたと聞いて」


 ケンジロウがチィと舌打ちして

「早く解決する必要があるのに、全くの進展がないか…」


 ディオスはフン!と息を漏らすと、再びドアがノックされ

「おれだよ。アンジェロだ」

 ドア向こうからアンジェロの声がした。


 ディオスは一応警戒して、ドアを開けるとアンジェロがいた。

「ウッス、ちょっと聞いて欲しい事があるんだ」

 

 アンジェロがフォルカの情報をディオス達に持って来た。

「とある、国の施設なんだけどよ…」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございます。

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