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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスと挑戦者達
116/1107

第115話 雨降って地固まる…?

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ゾルトリアの残滓、グルヴェは驚愕の魔法で王都にヴァシロウスと同等の魔物ヴォルヴォックという存在を出現させた。だが、それにディオスは妙案があった。王族に伝わる秘技を高めて使うエンペラードという特別な装置が…


 ディオスと純也の相乗攻撃によってグルヴェの生み出したメタフルズ・ジャバヲック達が次々と倒されて行く。

 純也の巨大鎧龍がメタフルズ・ジャバヲックを押さえ、ディオスの強力な魔法が消滅させるを繰り返すそこは着実に、成果を上げてメタフルズ・ジャバヲックを減らす。


 それでも余裕のグルヴェにディオスは怪しむ。

 おかしい、こっちが優勢なのに焦る様子を見せない。


 どこか余裕のグルヴェがそこにいた。


 ディオスはその余裕に不気味さを感じていると、不意に倒されたメタフルズ・ジャバヲックの亡骸が魔導石に変わりながら、空に溶けて消えているのに気付く。


 どういう事だ? 

 倒した魔物は魔導石になるんじゃないのか?

 それとも、この魔物だけは特別なのか?


 そう、嫌な予感を感じつつも、純也と共にメタフルズ・ジャバヲックを殲滅した。

 周囲は、魔導石化したメタフルズ・ジャバヲックが溶けて消えていく様が広がる。


「やったーーーーーー」

 純也はガッツポーズをして「さあ! お前の番だぞ」と、グルヴェを指さす。


 ディオスだけは、嫌な予感に苛まれ勝利を喜べないでいる。


 ディオスが静かな事に純也は気付き

「どうしたんですか? ディオスさん…」


 ディオスは

「おい、キサマ…まだ…隠し手を持っているんだろ…」


 グルヴェは哄笑を見せ

「そのとーーーり。お前達がこれを倒すのも、バルストランの飛行系の魔物も寄せられて倒されるのも、全て…この布石なんだよーーーーー」

 グルヴェが両手を天に伸ばした。

「秘技、メタフルズ・ジャバヲック最終形態、大悪獣転換召喚魔法」

”アルティメット・ヴォルヴォック”

 グルヴェがその魔法を発動させた瞬間、王都に浮かぶ巨大魔法陣が明滅する。

 巨大魔法陣の上にあるスポイトに周囲の魔力が集中する。

 その魔力は、元は魔物だったモノだ。


 ディオスと純也の倒したメタフルズ・ジャバヲックであった魔力が、そこへ向かい昇る


 ゼリティアとレディアンが倒した魔物達の残骸が魔導石化しないで、空に溶けて、そのスポイトへ昇る。


 膨大な魔物だった魔力が、王都の上空で渦巻いて形を得る。


 それは幾つもの目が並ぶ龍の頭部に、ドラゴンの体とデタラメに生えるコウモリの翼達、歪すぎる強大で巨大な魔物が出現する。

 その全長三千メートルである。

 王都の三分の一に匹敵する巨大な魔物。


 グルヴェが「ははははははっは!」と狂喜乱舞して告げる。

「アレこそ、我の完成し秘技である。最強の魔獣、ヴォルヴォックだーーー 幾多の魔物を魔獣と化した、そのデータの蓄積に宗主様より授かった御技によって誕生した! オレの最高傑作だぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 ゴオオオオオオオォォォォォォォォォ


 三千メートルの歪な魔物が咆吼を響かせる。


 グルヴェがディオスを指さし

「我の最高傑作は、ディオス・グレンテル! 最悪の大悪獣ヴァシロウスを倒したお前を殺す事で、その偉大さの証明になる!」


 ディオスが、ヴォルヴォックを睨みながら

「キサマはどうなる? あのクラスの巨大魔物に襲われた…終わりだぞ…?」


 その問いにグルヴェは

「あははははは! 完成した! やったぞーーーーーーー オレは世界を変えたんだーーーー」


 全く届いていない。

 もう、頭のネジが吹き飛んだグルヴェを無視して、ディオスはヴォルヴォックを見つめて腕を組む。


 隣にいる純也は青ざめ

「でぃ、ディオスさん…どうすれば…」


 ディオスはフッと笑み

「丁度いい、アレの実験になる」


「え?」

 純也は首を傾げる。


 三千メータのヴァシロウスに匹敵する魔物に、ディオスは秘策があった。

 いや…正確にはとある実験の検証になる。


 ディオスは、王都にある王宮の高い塔の部分を凝視する。

 そこにディオスがその手段とする者がいた。


 ソフィアは、王宮の中で一番高い塔の上にいた。

 ソフィアは、頭上にあるヴォルヴォックを睨み

「全く、こんな事になって…」

と、呆れつつも右手を天へ翳す。

 そして、背後からとある物体が空へ昇る。

 黄金に輝く鎧のような物体、エンペラードである。

 

 エンペラードは雲を越えて遙か高度十数キロに到達した瞬間、黄金の爆発を起こす。

 エンペラードは、王族に伝わる秘技、ソフィアのジンであるそれを中核として、国中にある民の意識を纏め大きな魔導演算システム、兼、魔導エネルギーシステムにして、国を守る最強の存在を降臨させる。


 ゴオオオオオオオオオオオオ


 黄金の爆発は数十キロに広がり、そこから翼を持つ黄金の獅子、バルストランの守護神が出現する。

 全長五十キロの翼神黄金獅子ラーリオンが降臨した。


 ソフィアが指揮者として、バルストランの守護神ラーリオンへ命じる。

「バルストラン王が命じる。我が国の災厄を払え!」


 ゴオオオオオオオオオオオ


 ラーリオンの咆吼がバルストランを震わせる。

 その巨大な数キロサイズの顎門から、光が集中。地の果て呑み込みそうな光を放った。


 三キロサイズのヴォルヴォックはそれに呑み込まれ、一瞬で蒸発して消滅した。


 世界を昼間に変えた守護神ラーリオンの咆吼光線によって、いとも簡単に巨大魔物が消滅した光景に、グルヴェは脳みそが完全停止した。


 純也は信じられない光景にもう…唖然とするしかなかった。


 ディオスは

「はい、終わった終わった。いや…いいデータが取れたよ」

と、燃え尽きているグルヴェを見る。

「おい、まだ…他にネタはあるか?」


 グルヴェは、身を引かせた次に、懐に手を入れる動作をする。

「動くな! 動くと、王都に仕込んだ爆弾が爆発するぞ!」


 ディオスはフッと笑み

「へぇ…そう…」

と、懐の魔導収納からトゥルーベルを取り出して、グルヴェを指さし

「おい、本当に爆弾を王都に仕込んでいるのか?」


 グルヴェは黙る。


 だが、無情にもトゥルーベルは鳴った。


 そう、ウソ…グルヴェは王都に爆弾なんて仕込んでいない。


 ディオスは嘲笑いを向け

「だろうね。この仕掛けに入れ込んでいたから、やらなかった。お前みたいな、オレ凄いですっていう愚か者は、自分が失敗した後のバックアップなんて考えていない。王都にあった魔法陣の仕掛けで分かったぜ。その場限りの即席だってなぁ…」


 グルヴェはグッと噛み締めて

「本当だぞ!」


 ディオスはとある魔法を発動させる。

”サウダージ・ウェーブ”

 妨害魔法を使った。

「これで、何かの信号を送る事は不可能だぞ」


 グルヴェが逃げようとしたその先に、一柱の神格が下りる。


 クレティアのタケミカヅチだ。

 稲妻の巨人が行く手を塞ぐ。


 別へ逃げようとするグルヴェだが、その先も別の一柱の神格が下りて塞ぐ。

 クリシュナの炎の神格カグツチだ。

 業火の巨大な鳥が塞ぐ。


「あああ…」

と、グルヴェは青ざめていると、その後ろからディオスが迫る。


 グルヴェは三方向三竦みになる。


 クレティアが

「ダーリン。おまた…。あの三人の子達が凄く働いてくれたから、増援にきたよ」


 ディオスは両手を握り合わせてゴキゴキと鳴らして

「よう…キサマは、やってくれたなぁ…」


「ま、待て…」

と、グルヴェが

「実質、オレはなんの被害も出していないんだぞ? だから…」


「だから、なんだ!」

 ディオスが怒りで声が荒くなり

「人様に迷惑かけて、はい、何も無かったから良かったですねって、それでいい訳ないだろうがーーーーーーーー」


「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい」

 グルヴェは悲鳴を上げた。


 その後、ディオス達にボコボコにされて、警察隊へ突き出された。

 


 事態が収まり、ディオスの、アーリシアの大英雄の武勇伝が一つ加わった。



 純也達は、バルストラン王宮で勲章を受け取っていた。

 この事態に対して、ディオス達と協力して解決したとして、誉れを頂く。

 いや、ぶっちゃけ違うけど、結果オーライなので、良しとしたディオス。


 その結果、純也達は…純也がディオスと同じシンギラリティという事と、それによって強力な神具が使えるという事で、ディオスが留守の時に王都を守る特別騎士になった。

 そして、あのとんでも三人娘は、純也の後見と援護をする仲間の騎士となる。

 まあ、実質、純也とダラスにウルアとメディナの父親達が、娘の暴走を監視する後見だけどね…。

 王都の守護という事で純也達は、普段は魔物を狩るハンターなど自由で、緊急の時は王宮に招集される。


 とある、フェニックス町のギルドではメディナが

「ねぇ! 純也、これを倒しましょう!」


 純也がメディナの魔物退治の張り紙を見て

「ええ、山の奥地にいるドラゴン退治! ふざけんな!」


 ウルアが

「じゃあ、これは!」


 純也は

「ええ…平原にいる多数の犬型魔物群体の退治! ムリ! 人数がいるだろうが!」


 ダラスが

「じゃあ、これは?」


 純也が

「ええ…硬化皮膚を持つドラゴン退治…って、お前等! もっと自分のレベルを考えろーーー」


 メディナが

「良いじゃないですか! シンギラリティの強力な神具が使える純也がいるんです。問題ないです」


 純也は額を抱え

「オレの力ばかり、当てにするなーーーーー」



 なんとも賑やかな一団をディオスとヒロキは見つめる。

 ヒロキが

「いや…良かった。純也が元気になって…」


 ディオスは微妙な顔で

「本当に良かったのでしょうか?」


 ヒロキは笑み

「あの小娘共は、純也を仲間だと思っているんだろう。なら、それを信じようぜ」


 ディオスは腕を組み

「まあ…それで純也くんが良いなら…」

 見守るしかないなぁ…とディオスは思った。



 ディオスは屋敷に帰るとレベッカが出迎え

「お帰りなさいませ、旦那様…」


「ああ…ただいま」


「旦那様…お客様が…エルダー級魔導士アルサドーラ様の使いの方が…」


「え、アルサドーラさんの?」


「はい、お持ちの名刺もアルサドーラ様の本物でしたので…」

 


 ディオスは、お客がいる客間に来る。

 ソファーに金髪の二十代の魔導士の女性が座っている。

「どうも…」

と、ディオスは対面に来て女性を見つめる。


 女性はニッコリと笑う。


 んん?とディオスは、何処かで女性を見た事があるような感じがする。

「どういったご用件でしょうか?」


 女性は

「どうだった? わたしが送り込んだ男の魔術は?」


「はぁ?」

と、ディオスが首を傾げた次に、女性が

「あのグルヴェとかいうヤツは、少々、自意識過剰な所があったからなぁ」


 ディオスは一瞬で血の気が頭から引いた。

「お前…まさか…」


 女性が光を放って変化する、身長が縮み、十二歳くらいになって、正体が判明した。

 エニグマのキャロルだった。


 ディオスは鋭い視線にして

「なんのつもりだ?」


 キャロルは余裕の笑みで

「どうだ? 我々の元へ来ないか?」


「はぁ?」


「我々はお前の知らない秘技や、膨大で様々な魔法、生体、科学、多くの技術も持っている。それを欲しくないか?」


 ディオスは背を背もたれに乗せて

「ほぅ…で、オレを引き抜きに来たと…」


「そうだ」

 キャロルは怪しく笑む。


 ディオスは嘲笑い。

「オレの答えはこれだ!」

”クワイトロール・ホロウ”

 空間の檻でキャロルを捕まえようとしたが、キャロルの背後にアーヴィングが現れ、漆黒の闇にキャロルと自分を包んでその場から消えた。

 消える間際

「そうだと思ったよ」

と、キャロルの捨て台詞が残った。



 直ぐに、王宮に連絡して、レディアンが痕跡を調べる調査班を連れてきた。

 そして、屋敷の点検も始める。

 エニグマが何かを仕組んでいないかという…。


 ディオスは広間で、ソフィアをソファーに座らせた前に

「すまん、捕まえられなかった」


 ソフィアが頭を掻いて

「アンタを引き抜こうなんて…よっぽど、アンタが邪魔みたいね」


 ディオスは眉間を寄せて鋭い顔で

「あのクソ連中に嫌われるなんて本望だ。次に来た時は…」

と、クレティアとクリシュナに目線を送る。

 絶対に捕まえるぞ…と、クレティアとクリシュナは頷いた。


 ディオスが

「アイツ…グルヴェは?」


 ソフィアが嫌な顔をして

「アンタとソイツが遭遇している時刻くらいに始末されたわ」


 ディオスはフッと皮肉に笑み

「全く、連中らしいぜ」




 キャロルが屋敷に現れて数日後、ディオスはアイカからとあるお知らせを受け取る。

「へぇ…スキルの発表会か…」

 広間にいるディオス達。


 アイカは嬉しそうな顔で

「パパとママ達も来て欲しいって」


 ディオスはニンマリと笑む。

 仏頂面の笑みは不気味だが…しっかりと嬉しさは伝わり

「そうか…是非、行かないとな」


 アイカはスキルを使える為に、特別なスキル専門の学校に通っている。

 スキル発表会というのは、日本で言う、小学校の運動会のようなモノで、スキルを使った競技大会をする。

 それは無論、両親同伴でだ。

 まあ、子供との学校での交流会も兼ねているのだ。

 

 ディオスは嬉しげにアイカの学校のチラシを見ていると、傍にいるクレティアが

「じゃあ、みんなで食べるランチを作らないとね」


 クリシュナが

「そうね…何にしようかしら」


 そこにゼリティアもいる。

「作りがいがある。腕がなるのぉ」


 そう、ゼリティアもゼティアと一緒にディオスの屋敷に来ていた。


 セバスもいて

「アイカ様、ご両親に作って欲しいモノをリクエストして置いた方が宜しいかと…」


「んん…」とアイカは楽しげに天井を見上げると、その左隣にディオスが来て

「パパ、何でも作ってやるぞ」


 クレティアがアイカの右隣に来て

「ねぇ…何が食べたい?」


 ディオスが

「いや、オレが作るよ。クレティアやクリシュナにゼリティアは、アイカと楽しむ競技に集中してくれ」


 クレティアがハッという顔で

「いやいや、アタシ達はアイカのママなんだよ。ママの料理が一番なんだからねぇーーー アイカ」


「そうじゃ」とゼリティアは頷く。


 クリシュナも「そうよ、アナタ」とぼやく。


 ディオスはフッと笑み

「いやいや、そんなの関係ないだろう。アイカは、オレの料理の方が一番だもんなぁ…」


「ちょっと待てよダーリン」

 クレティアが語尾を強め

「そんなの、おかしいでしょう。アタシ等だって料理出来るんだから」


 ディオスは首を傾げ

「いや、そうかなぁ…」


 クリシュナが

「ええ…やっているでしょう? 食事の当番…」


 ディオスがフッと笑み

「いや…それでも、オレの方が上手いよ」


 ゼリティアが眉間を寄せ

「いや、チョット待て、夫殿…どうして、夫殿だけが料理が上手いと?」


 ディオスが

「いや、何時もやっているし…」


 クレティアが自分達を指さし

「アタシ等もやっているよ」


 ディオスがアイカの肩を持ち

「でも、アイカは、オレの料理が一番だもんね」


 アイカは戸惑っている。


 セバスが「んん…」と咳払いして

「ここは…皆様で…」


 クレティア、クリシュナ、ゼリティアがディオスの前に立ち

「いやいや、子供はママの料理が一番なんだよダーリン」

「アナタ…それは思い込みよ」

「聞き捨てならんぞ、夫殿…」

 ディオスは、三人の妻達を視線をぶつける。

「ほぉ…実力の程を知りたいと…確かにオレは武術では君たちに敵わない。だが、料理の腕に負けた憶えはない!」


 ディオスと、妻達のクレティアにクリシュナとゼリティアの三人と火花を散らす。


 アイカはパパとママ達を見回して、セバスが額を抱えた。


 そこへ、ティリオとリリーシャにゼティアを連れたレベッカにチズ、ユーリ、ココナの四人が来た。


 レベッカが眼鏡を上げて

「何事ですか?」


 そう告げた次に、ディオス達が

『料理、三本勝負! しようじゃないか!』

と、戦いの火蓋を切った。


 そう、このディオスと挑戦者達、最後の挑戦者は、妻達だった。


 アイカは、自分の為にムキになってくれているディオス達に、ちょっと嬉しかった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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