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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスと挑戦者達
115/1107

第114話 彼女達の真実

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオス達は、この事態を何とかしようとして、王都の上空にある巨大魔法陣を発動させている魔力の元を辿り、王都傍にある空港へ来る。

同じく、純也を攫った三人娘達も空港に来て逃げようとしたが…そこで、ディオスの挑戦とこの事態を生み出した男が、歪な巨大魔物を生み出している現場に遭遇した。


 バルストラン王都ベンルダンの上空に現れた巨大魔法陣の力によって、王都の上空には魔力を吸い取るスポイトという現象が起こり、更に、各地の凶暴な飛行系魔物達が王都へ向かっていた。

 王宮中庭では、例の二十メータ近い垂れ幕に覆われている物体を使うしかなくなり、レディアンとゼリティアが幕を引いて顕わにする。


 レディアンが

「チャンとした受け渡し式をしてお披露目しかったが…」


 ゼリティアは

「仕方なかろう。緊急事態じゃ」


 二人の前にあるのは、全長二十メータの碧と赤のゼウスリオンだ。


 レディアンと、ゼリティアが、自分達専用のゼウスリオンの足に触れると、ゼウスリオンは屈んで、鳩尾部分のコクピットを開く。

 そのコクピットに二人が乗り込む。

 両手を丸形のトラックボールの操縦桿に触れると、アニマシステム起動と、ゼウスリオンが発動する。

 ゼリティアとレディアンには、バルストラン王家の血が流れているので、バルストラン王家の精霊神獣…ジンが受け継がれている。

 ただ、バルストラン王家のジンは、バルストラン東西南北にいる精霊の力を借りないとその力を発揮できない。

 二人の力の小さいジンでも、その力を増幅させて動力源にする専用にチューンナップされた、二機のゼウスリオンは、ゼウスリオン独特の背面にある翼状のエネルギー放出システムで飛ぶのではなく、脚部や肩部分の鎧がスライドして開き、そこから飛行に必要な魔力の力を放出して、空へ昇った。

 このゼウスリオンは通常のゼウスリオンのように全てがゼウスインゴットで作られていない。

 動力、骨組みや演算操縦、駆動といった骨格駆動演算機構、中核だけがゼウスインゴットで、他の装甲といった防御部分は通常の耐久力のある魔導合金で作られている。

 ちょっとしたグレードダウンのゼウスリオンなのだ。


 それでもその力は…


 赤いゼウスリオンのゼリティアが

「レディアン、そっちの方は確認したか?」

 ゼリティアのゼウスリオンは南のフェニックス町の上空にいる。


 碧のゼウスリオン、レディアンは

「ああ…こっちも確認した」

 北の城砦町アースドラゴン町の上空にいる。


 二人が操縦室から見た光景は、雲海の如く迫る飛行系の魔物達だ。

 レディアンがフッと笑み

「この数を始末すれば、今年一杯は、バルストランが飛行系の魔物に悩まされずに済むな」


 ゼリティアが

「そうじゃな…」


 二人が告げて赤と碧のゼウスリオンが動く。

 両手を、魔物の軍勢に向け、腕部分がスリットのように開き、ゼウスインゴットが露出すると、そこから膨大な量の雷と光線が噴出して、向かって来る飛行系の魔物達を消滅させる。

 倒された魔物は、地面に落ちて魔導石になる。

 そうして、残る筈が、魔導石になると直ぐに分解して、魔力の流れ流脈になる。

 ゼリティアとレディアンは、多すぎる魔物達に気を取られてそれを見逃していた。

 倒されて直ぐに魔力化して流脈になった魔物の魔力は、とある所へ向かっていた。

 そう、バルストラン王都の空港だった。



 レディアンとゼリティアが魔物の軍勢を相手にしている間に、ディオス達が王都内を奔走する。

 王都を覆う巨大魔法陣の所為で、魔物達が集まっている。

 なら、この魔法陣を壊せばいいとなるも、ディオスが…


 未知の魔法陣故に、下手に壊せば、どのような事が起こるか分からない。

 魔法陣へ魔力を供給している場所を探し当て、魔力を止めて効果の発動を防ごう。


と、なって王都の各所に隠されているであろう、魔法陣の構築をしている何かを探し回る。


 二手に分かれた探索班。

 ディオス、クレティア、クリシュナ。

 ナトゥムラ、スーギィ、マフィーリア。

 この二班が、魔法陣の角の端になる真下へ来る。

 

 ディオス達は、急いで角部分の周囲を探す。

 街並や街路樹があるごく普通の場所、そこを隈無く探していると、クレティアが

「ああああ!」

 街路樹の合間に、あの男が仕掛けたプレートが見つかる。

「ダーリン!」


 ディオスは駆け付ける。

 一目見ただけで、それが魔法陣の補完をしている魔導具だと分かり

「よし、ありがとうクレティア」

 ディオスは早速、懐からあの魔法陣展開を補助する魔導結晶が入った皮袋を取り出し、その魔導具のプレートの上で砕いた。

 これ程の大規模な魔法陣展開を補助している魔導具だ。

 魔力の中継にも使っている筈。


 その読み通り、砕けた魔導結晶が光の筋となって空へ昇り、とある方向へ光を伸ばす。

 ディオスの魔法陣展開を補助する魔導結晶は、魔力に反応してラインを作る。

 供給している魔力の道を分かり易くするのは当然であった。


 ディオス達は急いで魔導車に乗り、ディオスが運転で、クレティアとクリシュナが、空に浮かぶ導きの光を見て誘導する。

 そうしていると、別の方向からも同じ光の筋が伸びる。

 ナトゥムラ達の方だろう。

 二つの光の筋が、王都を覆う魔法陣の下を走り、王都の西側出口で一つに纏まる。

 そこで、ディオス達とナトゥムラ達が合流した。


「ディオスーーー」

 ナトゥムラの掛け声。

 マフィーリア運転の魔導車が西口でディオスの魔導車と併走する。

 そして、一つになった光の筋が向かう先へ。


 ディオスはその先に眉間を寄せる。

「飛空艇空港か!」



 純也を攫った三人娘達は、純也を猿ぐつわと簀巻きにして後ろに乗せて王都の傍にある飛空艇空港へ向かっていた。


 ダラスが

「後、もう少しだ」


 三人娘達のプランはこうだ。

 純也を連れ出して空港に向かい、遠方に行く飛空艇内に紛れ込んでアーリシアからの脱出という、何ともお粗末な作戦だ。


 捕まった純也は静かだった。


 それに同じく後ろにいるメディナが

「純也…」

と、不安げに呼び掛ける。


 純也は一切、視線を合わせてくれない。全く聞く耳を持たない。


 それに助手席にいるウルアが

「ねぇ…純也…。脱出が成功したら…聞いて欲しい事があるの。だから…」


 純也は無反応だ。

 もう、純也の中で三人に対する信用は一切ない。


 重い沈黙が四人を包む。


 いたたまれないウルアとメディナ、ダラスだけが

「暗くなるな! アーリシアを出れば何とかなる!」

 そう気張っていた。


 純也は簀巻きにされて俯きながら 

 オレはコイツ等に絞り尽くされるだけの出汁なんだなぁ…。

 希望も、未来さえも見えない。


 その四人を乗せた魔導車が、空港と外を隔てる金網の前に止まる。

「行くぞ!」

と、ダラスは

”パワー・オブ・ジョイント”

と、力をアップさせる魔法で力を上げて純也を担ぎ魔導車から出る。


 メディナやウルアも下りて、メディナが

”ライト・セイバー”

 光線魔法を放ち金網に穴を開けて、そこから純也を担ぐダラス、ウルア、メディナと空港の中へ入る。

 急いで飛空艇に行こうとしたが…様子がおかしい。

 何時もなら、荷物の搬入や、客を飛空艇まで運ぶ魔導バスと多く行き交っている筈が…静かだ。


「なんだ?」

 ダラスは静かで不気味な空港を見渡す。

 ウルアとメディナも警戒する。


”バハ・フレア”

 爆炎が飛んで来て、それを三人は四散して避ける。


 三人のいた場所が大きな爆発に包まれる。


 ダラスは純也を抱えて物陰に隠れ、そこへメディナとウルアも来て隠れる。


「何を…隠れているのかなぁ…」

 空からゆっくりと魔導士の男が降り立つ。

 そう、ディオスに挑戦を叩き付けた男だった。

 男は首を傾げ

「全く、ここを制圧する為に、特別な魔導具を使用して押さえたのに…」

と、懐に手を入れて水晶のマジックアイテムを取り出す。


 ウルアがそれを見て

「スリープフォレスト!」


 ダラスが

「知っているのか?」


 ウルアが肯き

「特注のマジックアイテムで、広域に眠りの効果がある魔法の力を放って眠らせるの。悪用を恐れて国でも治安機関の一部しか、所有を許されていないわ」


 メディナが

「なんで所有禁止のマジックアイテムが…」


 ダラスが

「納得した。空港が静かなのは、あのマジックアイテムで空港にいる全ての人を眠らせたんだな」


 男がそのマジックアイテムを掲げ発動させる。


 ウルアが

「水の精霊よ。その身に眠りの誘いを撥ね除ける加護を…」

 水の精霊魔力がダラス、ウルア、メディナ、純也の四人を包んで、マジックアイテムの効果から守る。

「これでよし」

 

 三人娘達は様子を窺っていると、男が背を向けて滑走路の真ん中に立ち、とある魔法陣を展開した。

 その展開した魔法陣が、男から離れて空に昇ると一台の無人の運搬魔導車がその魔法陣に引き寄せされ呑み込まれ、その形状を変化させる。

 有機的に膨らみ、巨大な二百メータの繭になると、そこから、歪な姿の巨大な魔物が産まれた。

 上半身は竜だが、下半身は蜘蛛のような歪なそれは、滑走路に下りて、滑走路を食べて背面の排気口のような翼から周囲にある魔力を取り込む。

 そして、食べて空いた滑走路の穴に下半身の蜘蛛の部分から大量の繭を放出して、自分を生み出したと同じ繭を幾つも作っていく。

 そう、増殖を始めた。

 男はそれを見て満足そうに微笑む。

 

 あまりのムチャクチャな光景に三人は、

「逃げよう」

とウルアが告げる。

 それにダラスとメディナが肯き、身を低くして逃げようとしたが、歪な巨大魔物が反応して、その先に糸を吐いて塞いだ。


 ダラスが「走れーーーー」と叫び、ウルアもメディアも走ろうとしたが、その足を歪な巨大魔物の蜘蛛の糸に絡められた。


 猿ぐつわ簀巻きの純也が転がる。

「んんんんん」

と、純也が呼び掛ける。


 ダラスが前に転がった純也に、魔力を抑える腕を外す鍵を渡そうとしたが、その手に蜘蛛の糸が絡まって埋まる。


 蜘蛛の糸がダラスとウルアにメディナの体に被さって動きを止める。


 メディナが

”ライト・スラッシュ”

と、光の切断魔法を発動させるも、その魔力が歪な巨大魔物が被せた糸に吸い込まれて発動出来ない。

「そんな…」

 メディナが絶望顔をする。


 そこへ男が来て

「全くバカな連中だ。大人しくマジックアイテムで眠っていれば、こうなる事がなかったのに…」


 糸に絡められて地に伏せるダラスが

「キサマの目的は何だ!」


 男がフッと笑み

「オレの目的は、この力でアーリシアの大英雄を倒した栄誉を掴む事だ。この失われし太古の技法、メタフルズ・ジャバヲックで名声も、富も手に入れる。これはその為の布石さ。だから…見つかったお前達には…コイツの餌になって貰う」

 あの歪な巨大魔物の顎門が捕まった三人娘達に迫る。

 男は簀巻きの純也を見て

「なんで、コイツは…こんな状態なんだ? まあいいか、どんなでさえ餌なんだからよ」


 歪な巨大魔物の顎門がダラスにウルアとメディナに近付く。


「いやああああああ!」

 ウルアが叫ぶ。


「止めろーーーーー」

 ダラスが吠える。


 メディナは震える。


「んんんんんん!」

 純也は藻掻いて簀巻きの縄を解こうとする。


 最初はウルアだ。

 ウルアが涙目で

「ごめんね…純也。本当は…もっと早くに全てを打ち明けたかった。でも…そうすると、純也が離れていって、このパーティーはお終いだと思っていたの」


 メディナが

「本当にゴメンです純也…。私達は一度も…アナタの事を利用するだけの使い捨てなんて思っていませんでした。仲間だと…」


 ウルアが

「本当にごめんなさい。ありがとう」


 ダラスが

「止めろーーーーーーーー」

 悲鳴のように叫ぶ。


「ンンンンンンンンーーーーー」

 純也は、自分の中にあるシンギラリティの渦と己を直結させた。

 リミッターの魔導具の腕輪は砕けて、簀巻きの紐が千切れ飛び。

 純也は、右手から神具の巨剣を飛ばした。


 それが、ウルアを喰らおうとした魔物の顎門に衝突させた。


 歪な巨大魔物、メタフルズ・ジャバヲックは吹き飛び転がった。


 純也は立ち上がり、口にある猿ぐつわを外しながら

「全くお前達は…」

 ちょっと呆れた顔をしていた。


『純也ーーーー』とウルアとメディナが叫ぶ。


 ダラスが微妙な顔をして

「その…純也…」


 純也は頭を振り

「まずは、この事態を何とかしてからだ」


 男はそれに嘲笑を向け

「その通りだ。何とか出来ればな」

 あのメタフルズ・ジャバヲックが増殖で生み出した繭達から、同じ全長の二百メータのメタフルズ・ジャバヲック達が誕生する。


 数体は、純也達へ、残りは増殖を…と果てしない。


 純也は焦燥する。でもやるしかない。

 シンギラリティの渦の直結によって、巨大な神具を出現させる。

 太さ十メータの巨槍が純也から昇ると、それが巨大な鎧龍となり、純也の元へ降臨する。

「行けーーーーー」

 純也は鎧龍をメタフルズ・ジャバヲックに向ける。


 純也の鎧龍は、メタフルズ・ジャバヲックより百メータ巨大な三百メータだ。

 だが…多勢に無勢、数か多いメタフルズ・ジャバヲックに押さえられる。

 そして、押さえていないメタフルズ・ジャバヲックが純也に迫る。


「純也ーーーーーー」

 ダラスが叫んだと同時に


”グランギル・フレア”

 メタフルズ・ジャバヲックを光線の超高熱が包んで蒸発させた。

「全く、なんて事態だ…」

 純也の隣に空からディオスが降り立つ。


「ディオスさん!」

 純也は嬉しくて声を上げる。


 更に、メタフルズ・ジャバヲックの糸に絡められたダラスとウルアにメディナをクレティアとクリシュナが糸を切って解放する。


「全く、アンタ達は…」

と、クレティアがぼやく。

 


 ナトゥムラ達は、空港に残っている人々の避難をする。



 男が、ディオスを見て

「先程は失礼しました。自分は貴方様に潰されたゾルトリアに繋がる者の一人、グルヴェと申します」

 男、グルヴェがディオスにお辞儀すると、ディオスは苛立ちでグルヴェを睨み

「何のつもりだ?」


 グルヴェが

「我らの面子を潰した貴方様を倒して、その回復と同時に貴方様を倒した栄誉も頂きます」


 ディオスは眉間を押さえて

「ああ…分かった。つまり…自分の目的の為なら、人様の迷惑なんざ、知ったことかっていうクソヤロウなんだな!」


 グルヴェが

「自分の目的を達成する為に犠牲があるのは当然。むしろ、その犠牲が手助けをしたとして誉れになるのは当たり前でしょう」

 そう高らかと言い放った。


 ディオスはフッと嘲笑い

 はぁ…身勝手野郎のクソヤロウの大馬鹿野郎だ。

「分かった。徹底的に潰す」

 ディオスは膨大な数の魔法陣を展開する。

 純也の巨大鎧龍を押さえるメタフルズ・ジャバヲック達を

”グランギル・カディンギル・レイン”

 極太の光線を放って消滅させた。


 グルヴェが

「さあ、パーティーの始まりだ! まだまだ、オカワリがありますぞ!」

 次々と生み出るメタフルズ・ジャバヲック達が姿を見せる。


 クレティアとクリシュナが来て

「アナタ、どうする?」

 クリシュナが


「滑走路にいる飛空艇内に入って、残っている人達の避難を」

 ディオスが頼み


「あいよ」

と、クレティアは頷いた。


 純也が

「ダラス、ウルア、メディナ。クレティアさんとクリシュナさんの手伝いをしてくれ」


 ダラスが

「純也は?」


 純也は笑み

「オレはディオスさんの手伝いをする」


 ダラスとウルアにメディナは互いに目を合わせて肯き、ウルアが

「ムリするんじゃないわよ」

 三人はクレティアとクリシュナの手伝いに回った。


 ディオスは指を鳴らして

「さて…どう料理をしてやろうか…」


 純也も隣に来て

「オレも…手伝います」


「大丈夫か?」


「ええ…多分、何とか…」

 こうして、ディオスと純也の二人のシンギラリティの共闘が始まる。


 それにグルヴェが怪しい笑みをした。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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