幽玄の王 第91話 巡る者達
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探し出した二人に、レイとディオス達は…
シロッコとジンは、失踪した。
いや、失踪したというのは正確ではない。
二人でダンジョンがある惑星達を巡っていた。
その一つにシロッコとジンは来て献花をして祈る。
そこにレイが現れて
「シロ兄! ジン兄!」
と、慌てている。
その後ろには、ディオスとティリオに、ルリ達…ルリとジェインにオウガと数名の部下がいた。
献花を終えたシロッコとジンは立ち上がって
「大人しく祈りもさせて貰えねぇのかよ」
と、シロッコが告げる。
ジンが
「もう、色々と継承を終えたんだ。後は…好きにさせて貰う」
レイが近づき
「無断でダンジョン探索をして…」
シロッコが首を横に振り
「違う。昔に…仲間が死んだ場所を巡っているだけさ」
レイがシロッコとジンの手を握り
「そんなの治療を終えた後からでもいいだろう!」
と、引っ張って行こうとするが、シロッコとジンは動かない。
ジンが
「レイ、遅かれ早かれ…こうなるのは…決まっていた事だ」
シロッコが
「そうだぜ。だから…静かにさせて欲しい」
レイが声を荒げて
「なんで! そんなに簡単に諦めるんだよ! オレは! ボクは…二人に生きて欲しい! まだ、死ぬような…」
と、泣きそうな顔を二人に向ける。
それにシロッコとジンは、困った顔の笑みを向ける。
ディオスがティリオと共に近づき、ディオスが
「シロッコさん、ジンさん。確かにコーレル時空の医療ではムリかもしれないが…我々のアースガイヤの力なら…治療が可能かもしれない。だから…」
シロッコがそれでも首を横に振り
「それは出来ない。これは…約束だからです」
ジンが
「遠い遠い昔に交わした約束、そう…」
と、告げてレイの頭を撫でて微笑み
「この為に…再び生まれ変わった…いや…巡ってきた」
それを聞いて、ディオスとティリオは視線を交わす。
まさか…
ルリが近づき
「聞いてください。お二人がどう…お考えなのかは…こちらでは強制できません。ですが…このままお二人がいなくなれば、コーレル時空や、その他の多くの者達が困るのです。お二人の命は、お二人だけのモノではありません」
レイ達がいる場所を遠くから見つめる者達がいる。
そして、その者達はコーレル時空の全てのマスメディアをハッキングして、コーレル時空全体に放映している。
シロッコが
「オレとジンが死ぬって事は、宿命なんだよ。決まっていた事なんだよ。かつて、二百年前に…このコーレル時空に誕生した超越存在、人路皇王のルミスも関係している」
ルリが驚愕の顔をして
「どういう事…ですか?」
ジンが
「かつて、二百年前のダンジョンというシステムを作った超越存在のルミスは…この世界に満ちているトップの系譜達によって殺された。王の…ルミス力が強大する事を恐れた者達による反乱という建前だが、本当は…ルミスから超越存在の力を奪って同等の存在になる為に…」
ジェインとオウガの二人が来て、ジェインが
「確かにそれは合っています」
オウガは
「我々は、その自らの愚かさを悔いて、贖罪と二度と過ちを繰り返さない為に、そして、シロッコにジン、レイくんの三人の新たな超越存在が現れた。なればこそ」
ジェインは
「なればこそです。私達は祖先の過ちを繰り返さない! 今度こそ共にある明日を!」
そこへ、ロードの王ウルが現れて
「それはムリだよ」
ジェインとオウガの間を抜けて、シロッコとジンの二人の前に来て
「ユノは…ジャバラスだった彼は絶望していた。ユノは…ルミスを自分の子のように愛していた。そんなルミスを殺したお前達を許せなかったが、ルミスの意思も守りたかった」
ディオスが難しい顔で
「そのルミスさんの意思とは?」
ウルが
「この、コーレル時空には…とんでもない呪いが罹っている。それをルミスは…解除したかった。だからこそ、ダンジョン探索というシステムを作った。だが…それも利用して、その呪いは回り続けた」
ティリオが
「その呪いって、どういう呪いなんですか?」
その問いにウルは
「ティリオ・グレンテル、キミなら分かるはずだ。ディーエ時空連合の時と同じさ」
それを聞いてディオスとティリオは青ざめた。
ディオスが驚きで口を押さえて
「ゴースト・トリガー・プロジェクト…ディーエ時空連合の戦争シェアリング、超座、ダンジョン、そういう事だったのか!」
シロッコが笑み
「全てを考えたのは…覇遵様で、仕立てたのはアムザクだがよ」
空から四つの光が落ちる。
シロッコとジンにウルの三人の近くに四つの光が落ちて姿を現す。
ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンだ。
直ぐにディオスとティリオは反応するが、それより早く、ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンは動き、四人が囲む三人、シロッコにジンとウル以外を強大な圧力で吹き飛ばした。
「な! シロ兄、ジン兄!」
と、レイは叫んで吹き飛ぶ。
シロッコとジンは微笑み二人同時に
「ありがとうな…レイ(カケル)」
強烈な圧の後に、姿が消えた。
レイはその場に座っていて
「何が起ころうとしているんだ?」
ティリオが近づき手を伸ばして
「立ってください。これは…とんでもない事が起こりますよ」
その手をレイは握って立ち上がり
「何が起こるの?」
ティリオは難しい顔で
「ボクと父さんの予測が正しいなら…」
ディオスが近づき
「覇遵が復活するかもしれない」
「ええ…」とレイは困惑を向ける。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、ダンジョンの意味




