幽玄の王 第86話 過去の王
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一人の青年が墓石の前で祈っていた。
カレイド時空連邦が崩壊してから三百年、カレイド時空連邦に連なっていた時空国家達は、最悪の大混乱の中で歴史を刻んでいた。
覇遵という強大な存在によるエネルギーの支配は、強権の極み…最悪で最凶の独裁統治…と批判していた者達が、大混乱と混沌となった自分の時空を見て、手の平を返したのは滑稽だ。
覇遵が死んだ理由、聖櫃という新たなシステムを覇遵に組み込む為に…それが失敗して覇遵は、聖櫃に取り込まれて死んだ。
いや、覇遵を殺して聖櫃は、時空の彼方へ消えた。
それから百年は、覇遵が残した九天君主、ロード・オブ・ナインのお陰で持ち堪えていたが…要を失った組織は、泥が崩れるより早く、崩壊していく。
カレイド時空連邦に属していた膨大な時空達は、一斉に散り散りになり、カレイドは一部の時空に残る、統治機関のシステムになって存在するだけ。
そして、コーレル時空で一人の超越存在の王が立った。
その王となった青年の名は、ルミス
ルミスは、カケルが残したドミネーター達を継承してまとめ、後見として九天君主の一人、ユノが付いた。
そのユノから、人路皇王の超座をルミスは受け取り、コーレル時空で時空王、超越存在として立った。
ルミスがカケルの墓を前に
「私は…偉大な彼らのように…なれるのでしょうか?」
その後ろにいるユノが
「それを気にする必要はない。キミは、キミがやるべき事に集中すればいい」
ルミスが後ろを振り返ると、五人…ドミネーター達がいた。
「私は、このコーレル時空を守っていきたい。それだけです」
ユノが笑み
「だからこそ、超座の人路皇王がキミに適合した。人の路を示す皇。人として…前に進もうとするキミだからこそ、選ばれた。前の継承者達は、それがなくエネルギーを供給する動力システム程度しか使えなかった」
ルミスは両手を見つめて握り締め
「私は、その継承に相応しいように頑張ります」
ユノが
「困ったら私でも、彼らでも相談すればいい。味方はいるのだから」
ルミスは嬉しそうに
「はい、ありがとうございます」
カレイド時空連邦が崩壊し、百年は持ち堪えて、そこから崩壊して、二百年。
コーレル時空に宇宙王、超越存在が現れて統治した。
だが、それは…人として信じていた者達の愚かな欲望の結果…
その罪を子々孫々まで彼らは継承している。
コーレル時空には、罪の歴史を継承した富める者達がいるのだ。
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アナタに幸せが訪れますように…
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