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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
時の記憶

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幽玄の王 第85話 時の記憶の終わりに

次話を読んでいただきありがとうございます。

時の記憶を見たレイは…


 レイは一人、公園のベンチに座っていた。

 自宅から近くにある広めの公園、そこのベンチで俯いて座るレイは考え事をしていた。

 自分が継承した超座、人路皇王の力

 その歴史の重さに…レイは苦しんでいた。

 自分の母をクリスタル症にして、父までも失った原因となったジャバラス…であるユノ

蛇刃羅王(ジャバラオウ)が変化してジャバラス。

 ユノが、どんな思いで…ユノは非道を行う人物ではなかった。

 それが…なぜ、自分達の宇宙、コーレル時空で…あのような事を起こしたのか?

 それが知りたくなった。

 そして…どうして、自分に人路皇王を継承させたのか?

 それをもっと知りたくなった。


 だから、レイはシロッコとジンの元へ行った。


 最初は、ジンだった。

 ジンは若手育成の為に、コーレル時空の四姫の一人、テイアの元にいた。


 ジンが育成訓練から戻り

「どうした?」


 レイが

「ジン兄、シンさんのその後って…どうなったの?」


 それを聞いたジンがフッと笑み

「この後、終わりだ。シロッコと共に話すから待っていてくれ」


 ジンは、レイを連れてシロッコがいる場所へ向かう。

 シロッコは、エンジェルリンクス社の本社にいて、オーズ会長であるグルファクシと話をしていた。


 そこへジンがレイと一緒に会長室に来て、オーズ会長であるグルファクシが

「おや、レイくんに、ジンくん。どうしたのかね?」


 シロッコが

「どうした? レイ、ジン」


 ジンがレイを見て、レイが

「シロ兄、ハクさんの最後ってどうなったの? オーズ会長は…自分の前の…カケルさんが…」


 それを聞いてグルファクシが驚きの顔を向けて

「そこまで、記憶を見たのか…」


 レイは静かに頷いた。


 レイは、グルファクシの隣に座って、シロッコとジンが対面に座る。


 ジンがシロッコを見つめると、シロッコが深い溜息の後

「カケルが殺された後…オレ達、ハクとシンは、直ぐにエリザスを疑った。情報を流して襲わせたのは…エリザスではないか?とね」


 ジンが

「確証はなかった。証拠もなかった。覇遵も黙ったままで…」


 シロッコが

「だから、ハクとシンは、インドラ時空帝国の兄弟、クロードとアルードに…」


 ジンが

「出て来た言葉は、カレイドの強大化を恐れる連中によるリークだったと…アルードから聞いた。そのリークによって、カケルが倒されて、カレイド時空連邦に緊張が走り、インドラ時空帝国との間で一時的な停戦が持たされた」


 シロッコが悲しそうな顔で

「それは、カレイド時空連邦を維持する為に必要だったかもしれないが…二人には許せなかった。だから…反逆した」


 ジンが

「ハクとシンの二人による超座の反逆は、エリザスを含む六人の超座との戦いになって、二人は死んだ」


 グルファクシが

「その後は、私の方が詳しいだろう。ハク、シン、カケルの三人の超座を失ったカレイド時空連邦は、新たな超座の継承をして、新たな九人の超座、ロード オブ ナインを形成したが…彼ら三人のように強大な力は、持ち得なかった」


 レイは俯き加減で

「その後、カレイド時空連邦は…崩壊した」


 グルファクシが

「カレイド時空連邦の崩壊は、インドラ時空帝国のクロードとアルードが消失して崩壊した、その後…だ」

 

 シロッコが

「その後は、今に至る歴史って訳で、カレイド時空連邦が崩壊する原因、ハジュンの喪失の理由は分からない。詳しいのは…ロードの王ウルってヤツの方が…」


 ジンが

「レイ、気に病む必要はない。レイはレイだ。レイの道を歩めばいい」


 シロッコも

「そうだぜ。レイが超座を継承したのも、そういう資質があったからであって、過去の連中の思いは、過去の連中だけのモノ。レイはレイの思いを抱えて進めばいい」


 グルファクシが

「私もそう思う。レイくんが、私を造ってくれた彼の記憶を全て見たのなら、それは昔にあった歴史の一ページであって、それを全て受け止める必要はない。参考くらいで十分だ」


 ◇◇◇◇◇


 レイは、自宅へ帰ると、隣に住んでいるオルフェウスとグラファラスの夫婦の二人が玄関から出て来た。

 ゴミ出しの時間なので、二人で出そうとしていた所だ。


 レイが

「オルフェウスさん、グラファラスさん。聞きたい事があるのですが…」


 オルフェウスとグラファラスが瞬きしてグラファラスが

「なんだい?」


 レイが

「カレイナさんと、お腹にいたカケルさんとの子のその後は?」


 グラファラスとオルフェウスは驚いた顔をした後に、オルフェウスが

「ゴミ出しの後でいい。長くなるから」


 レイは頷いた。


 そして…レイは、グラファラスとオルフェウスの家に入り、リビングでお茶を貰いながらレイは話を聞く。


 夫のグラファラスが

「カケル様が亡くなった後、ウルやユノ、覇遵様が…カレイナ様とお子様の後見として立ってくれた」


 妻のオルフェウスが

「私は、思うの…覇遵様は全てを知っていた。分かっていた。だからこそ、カケルが残した二人を守ろうとした。エリザスは…それさえも潰そう…と」


 グラファラスが

「エリザスにとっては、覇遵様以外の継承の可能性がある者達は、排除すべき異物でしかない。だから、覇遵様が特段に気持ちを入れる存在が憎いのだろう」


 オルフェウスが

「レイくん、これは…私達の歴史であって、アナタが気に病む必要はないのよ」


 グラファラスも肯き

「その通りだ。キミは、キミの住むべき道を生きなさい」


 オルフェウスが

「だから、困った時は、何時でも話は聞くから」


 グラファラスが

「そうでなくても、気軽にお茶会でもいいぞ」


 レイは微笑んでしまうと、ピンポーンとインターホンが鳴って、玄関にいる人物の立体映像が出る。

 母アカネだ。


 オルフェウスが行き

「いらっしゃい、アカネさん」


 母アカネが

「肉じゃがを作ったの、おすそ分け」

と、渡そうとすると後ろにレイが現れて

「あら、レイ…。オルさん、何時も息子が世話になって悪いわね」


 オルフェウスが微笑み

「気にしてないわよ。それよりもお話に来てくれるから嬉しいくらいよ」


 ◇◇◇◇◇


 レイは、色んな人に話をして気が楽になった。

「そうだな。自分の事は、自分で」

 その道を歩めばいい


 夕食の食卓で、母アカネが

「今日、レイはお隣さんと話をしていたけど…なんだったの?」


 レイはご飯を食べながら

「ああ…自分が継承した超座の前の主の記録を色々と調べていてね。それで、グラさんとオルさん達に繋がってね。分からない部分を聞いたんだ」


 妹のスイが

「兄さんの継承した超座って、どのくらいの歴史があるの?」


 レイが

「五百年くらいだね」


 姉のアスカが

「そんなに古いの?」


 レイが

「他にも色々と継承している人達はいたけど、具体的な歴史は、初代部分しか、超座に残っていなくて…苦労したなぁ…」


 妹のスイが

「ねぇねぇ、隠し財産とかない?」


 レイが呆れて手を振り

「そんな、お宝ビックリ、ザクザクはないよ」


 妹のスイがチィと残念そうに

「ああ…残念。お宝があったら手に入れたかったのに」


 レイが

「あったとしても、博物館へ提出するしかない。歴史的資料しかないよ」


 姉のアスカが

「ウチじゃあ、そんなの保管できないし…」


 母アカネが

「レイは、それを知ってどうだったの?」


 レイは真っ直ぐとした視線で

「自分が産まれて生きている理由って重いな…と、これからは…しっかりと生きないと思ってね」


 母アカネが微笑み

「良かった。そういう歴史的な事を知って変な風に暴走する人がいるけど、レイなら大丈夫ね」


 レイが

「ボチボチ、真面目に働くよ。今度、小宮さんのパーティーと一緒にダンジョン探索だから、何時も通りだけど…」


 姉のアスカが

「最近、ソルジャーとしてダンジョン探索する人達が減って、ダンジョンから取れる高純度のエネルギー結晶や、貴重な材料が少なくて、高騰しているのよね。そして、ソルジャー病ってのも…」


 それを聞いてレイは気まずくなる。


 ソルジャー病

 最近、出て来た病気だ。

 ソルジャー病、通称…高エネルギー結晶や高機能素材による汚染損傷疾患

 シロッコやジンの時代に、ムチャクチャなダンジョン探索をさせた結果、ダンジョン探索によるエネルギー結晶や、モンスターの素材による汚染が身体を襲って、永続的な損傷を起こす疾患だ。

 レイ達の世代、シロッコとジンの後の世代には、それが判明してソルジャー病を防ぐ健康診断が義務化して、汚染が深刻にならないように、汚染濃度が落ちるまでダンジョン探索が出来ない措置が取られている。


 これが判明した瞬間、シロッコとジンの時代にダンジョン探索を指揮していた者達への誹謗中傷が広がり、今でも止まらない。

 シロッコとジンの時代に、多くの者達をソルジャーとして使い捨てて殺し、更に…治療が難しいソルジャー病まで広めた、その当時のトップ達の失態は、誰にも責任がとれず、問題解決もできず。

 今でもその後始末ができていない。


 ◇◇◇◇◇


 ソルジャーのギルド、エクスの巨大なビルの執務室で、ギルドマスターのダイアードが通信画面を開いて

「我々のソルジャー達の救援を行う合同財団に関しての許可は?」


 目の前には政治家がいて

「残念ですが…否決されました。それは…全体的な公的組織で行うとして…」


 ダイアードが

「では、ソルジャー病に犯された者達の補助金や補助に関しての援助を我々が負担するという事は…」


 通信の政治家が

「それも否決されました。公的な方法で行います。ダイアードさん、あなた方がそれに対して救済した気持ちは、痛いほどに分かりますが…。それよりも、それ程の資産を投機として広める方が…全体的に良くなると思いますが…」


 ダイアードが

「分かりました。ご協力、感謝いたします」


 通信が切れた後、通信の向こうにいる政治家は、ネクタイを緩めて

「全く…関わったら、あとで叩かれるのに、大人しく膨大な資産の勘定でもしていてくれよ。もう、命令して人を潰したアンタ達の時代じゃあないんだよ」

と、愚痴をこぼした。



 ダイアードが一人、天井を見上げていると

「お父さん」

と、ランが姿を見せた。


 ダイアードが

「どうした? カトレア(蘭の別名)


 ランが

「別に、顔を見せに来ただけ」


 ダイアードが

「シロッコとはどうだ?」


 ランが悲しい顔で

「もう、一人前なんだから、自分でやれって独立しろって。ちょっと寂しいかなぁ…」


 ダイアードが

「そうか…」


 ランが

「お父さん、私達は…ちゃんとやるから、だから…そうなったら…父さん達が望んでいる救済を…」


 ダイアードが微笑み

「カトレア、お前がやる事ではない。これは、私達の問題だ。私達が解決すべき問題であって、お前達の世代が背負うべき問題ではないのだから」


 

 ◇◇◇◇◇


 シロッコは一人、瞑想している。

 部屋で一人、座禅を組んでいると、シロッコの目の前に幽玄の霧が現れる。


 シロッコがその幽玄の霧に

「時が近いのですね」


 幽玄の霧が頷く


 シロッコが笑み

「天命、真っ当することこそ、我が命。時をお待ちしております。覇遵様」


 幽玄の霧は、人の形となり、幽玄の王となる。

 それは、覇遵だった。

 幽玄の王である覇遵は

「我も待ち構えておるぞ、ハクよ」


 シロッコは肯き

「はい」


 幽玄の王の復活は近い。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

アナタに幸せが訪れますように…

次回、次の話から新たな章が始まります。

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