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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスと挑戦者達
111/1107

第110話 暴風娘達

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは何時もの町の人達との訓練をしていると、またしても挑戦者が来る。オーガ族で金髪の娘騎士ダラス、人族で青髪の槍使い乙女ウルア、獣人で赤髪の魔導士の少女メディア、それに引き摺られている曙光国の少年、純也。

この四人がディオスに勝負を挑むも、ディオスは呆れ勾配であった。


 その日もディオスは、フェニックス町の人達と一緒に訓練していた。

 剣術や武器を使うハンターは、クレティアとクリシュナから剣術、武器技術指南。

 ディオスは、魔法を使うハンター達に魔法を教えたり、個人に合わせて設計して伝授していた。


 そこへ

「皆さん、休憩にしましょう」

 レベッカが飲み物と軽いお菓子のセットを魔法台車に乗せて持って来る。


 それに、皆が集まって、傍にある木陰で休憩をする。

 のんびりとした雰囲気。


 ディオスは、町の人達と軽くお喋りしていると…。

「やーやー 頼もうーーーーー」

と、声を張って近付く一団。


 その一団にディオスは視線を向けると、三人の娘達に、一人の少年という四人組だ。

 ダラス、ウルア、メディナ、純也だ。


 ディオスは立ち上がって

「何かご用でしょうか?」


 ダラスが

「アーリシアの大英雄よ! いざ、尋常に勝負して貰おうか!」

と、金髪にオーガ族独特の額の一本角と、騎士の甲冑の大きな胸を張った女。


「はぁ?」

 ディオスは首を傾げる。


 魔導士の赤髪、獣人耳の少女メディナが

「我が名は、メディナ! グランスヴァイン級魔法を使いし、大魔導士! アーリシアの大英雄よ! 我と魔法で勝負されたし」

と、声高々に宣言する。


 青髪の人族の乙女ウルアが

「さあーーーー ちゃっちゃとアンタを倒して、名声を頂くわ!」

 袖から槍を取り出して構える。


 純也は、頭を下げて

「申し訳ありません。ウチの仲間が迷惑をかけます」

 礼儀正しい。


 ディオスは腕を組んでジーと四人、いや…三人の娘達を見つめる。

 そこへ、左にクレティアが来て耳打ちする。

「どうするダーリン?」


 ディオスは眉間を寄せて

「どうしようか…」


 ダラスが剣を構えて

「どうした。アーリシアの大英雄! まさか、怖じ気づいたのか!」


 クリシュナがディオスの右に来て

「ねぇ…貴方達、何処の者なのかしら?」


 ダラスとウルアにメディナがキョトンとした後。


 ウルアが

「そんな事に意味なんてないわ!」


「いや、ある」

と、ディオスはキッパリ告げる。

「自分に決闘を挑みたいなら、それなりに、所在を明らかにして貰わないと困る。自分はバルストラン王の忠臣だ。その自分が許可も無く、見ず知らずの者と決闘したなんて、分かったら、バルストラン王にも、自分の妻達や仲間、友にも迷惑が掛かる。つまりだ。どこのどいつが、アーリシアの大英雄にケンカを売りやがって、どういう事だと君たちに大きな責任が掛かる。アーリシアでは個人同士の決闘は認められていない」


 全くの正論に、うぐぐぐぐぐ…としているダラス、ウルア、メディナ。


 脇にいる純也が

「ほら…だから言ったろう。ムリだって…。こんなんで決闘しても、誰もお前達に名誉を与えないぞ…」


 ダラスが

「では! 何故! 暁 一刀とかいうヤツは決闘が出来たんだ! おかしいだろう!」


 ディオスは首を横に振り

「いいや、おかしくない! 一刀くんは、所在もしっかりしていたし、所在先から、素晴らしい人物だと評価もあった。それなら、勝負をしても構わないだろうと、バルストラン王が認めた。自分の事がしっかりと出来ていない者と、自分は勝負したくない。それは、社会的にも、人道的にも、公正ではないからだ」


 メディアが

「ご託はいいんです! ただ、私達と」


 ディオスの視線が鋭くなり

「あああ? つまり、お前等は、ルール無用のクソヤロウって事か…」

 ディオスの魔獣させ怯ませる威圧が、三人に襲い掛かる。


『う…』と三人は怯み後退する。


 ディオスが両手を左右に広げ

「じゃあ、そんなクソヤロウ共は、死んでも文句は言えんな…」


 ディオスの両脇にいるクレティアが真剣を抜いて、クリシュナが両手にククリ刀を握る。

 三人の桁違いな殺気がダラス、ウルア、メディナに襲い掛かる。


 ウルアとメディアが背の高いダラスの後ろに隠れる。

「お、お前ら!」

「いいじゃない。ダラスは体がデカいんだから盾になってよ」

と、ウルア。

「そうですよ。私は魔導士なんです。格闘はムリですから」


 そこへ、純也が入って

「まままま、待ってください。その…落ち着いて話し合いませんか?」


 ディオスは殺気の視線を純也に向ける。


「う!」と純也は身を引かせる。


 ディオスがフ…と息を吐いて

「君は、そこにいる娘達とは、違うようだな」


 純也は引き攣った笑みをして

「三人とは違う意見ですから…」

 


 ハンター達の中にいるヒロキが純也を見て

「あれ? もしかして…高田温泉の跡取りか?」


 純也がヒロキに気付いた。


 ヒロキが立ち上がって

「オレだよ。温泉の効能を高める魔導石を作っていた安元鉱物店の息子だよ」


 純也はハッとして

「ああああああ! アーリシアに行った無鉄砲息子の?」


 ヒロキは苦笑いして

「まあ、ああ…まあ、そうだよ。その息子のヒロキだよ。いや…懐かしいなぁ…」


 ディオスが二人を見て

「ヒロキさん、知り合いですか?」


 ヒロキが肯き

「ああ…曙光国でオレの両親は、色んな魔導石の精錬をする店をやっているんだ。その店のある町に高田温泉っていう有名で大きな温泉があって。コイツはそこの息子なんだよ」


 純也は複雑な顔をして

「その…まあ、事情があって温泉は…」

 濁していると


「おい! 私達を無視するなーーーーーーー」

 ダラスが叫ぶ。


 純也は、ダラスの傍に行って色々と止める説得をしている。 

 よせ、絶対にムリだって

 いいや! 勝てる! 秘策があるんだ。

 秘策って…


 そんな話をしている純也をディオスは見つめる。

 んん…この感じ…まさか…そう、感じるのだ。


 純也が項垂れてディオスの傍に来て

「その…決闘ではなく、戦いの訓練として付き合ってください。実力の差をみれば、きっと諦めますから」


 ディオスは「ふぅ…」と呆れ

「分かった。まあ、戦いの訓練に来たとして、付き合おう」


 まあ、訓練という形で、ディオスと戦う事になったダラスとウルアにメディナ。

 屋敷の前にある大きな平原で、ディオス対三人娘達の戦いが始まる。


 クレティアが

「ダーリン、手加減してあげてねーーー」


 ディオスは手を振った。

  ディオスは肩をほぐしながら

「では、始めようか…」

 目の前にいる三人、ダラスにウルアとメディナに呼び掛ける。

 

 ダラスが

「吠え面をかかせてやる!」

”サンダリス・ロード”

 自身の足に稲妻の加速をエンチャンして斬り掛かる。

 

 ウルアが槍を回しながら

「水の精霊の力よ、我に茨の道を…」

 精霊の魔力を放って、空気中より水分を集めて沢山の矢にして発射する。


 メディナが

「我の力を思い知るがいい!」

”バハ・フレア・トリプル”

 三連の爆炎魔法を放った。


 迫る三つの攻撃にディオスは悠然と右手を向け

”ソニック・ウェーブ・タイフーン”

 超高圧の衝撃波を放った。


 ディオスの放った衝撃波は、大きく周囲を破壊して、竜巻になり、攻撃を放った三人に衝突した。

『あああああああああああーーーーーー』

 ダラス、ウルア、メディナは放った攻撃の全てがディオスの衝撃波の渦に呑み込まれ消えて、三人も巻き添えとなって吹き飛んだ。


 クリシュナは額を抱えた。

「やり過ぎ…」


 同じく見ていた町の人達も半笑いである。


 空高くへ放られたダラス、ウルア、メディナの三人は全く動かない。

 どうやら気絶しているようだ。


「はぁ…」とディオスは呆れて助けに行こうとしたが…。


 同じく遠巻きで見ていた純也が、右手を挙げそこから巨大な剣が飛び出しだ。

 純也は曙光国の人間なので、神具という魔法具を具現化出来る。だが、その巨大な剣は具現化出来るサイズを優に超えた十メータサイズだ。

 その巨大剣が、形状を変化させる。

 鋼に輝く鳥だ。

 それに純也が乗って空を飛んでいるダラスとウルアにメディナを回収する。


 純也は三人を連れて、ディオス達の元へ戻ると、ヒロキが

「あれ? お前…そんなに大きな神具を具現化できたけっか?」


 純也は微妙な顔をして

「その…最近、出来るようになって…」


 ディオスが近付き

「君も、持っているんだろう? オレと同じ渦を…」


 それを隣で聞いていたクレティアとクリシュナが

「え、じゃあ…ダーリンと同じ…」

「夫と同じシンギラリティ?」

 二人の言葉にディオスは頷いた。

 

 純也は照れくさそうに

「ええ…まあ、その…数ヶ月前に…そうなりまして…」


 ディオスは巨剣の巨鳥に乗る純也に

「どうだね? オレと戦ってみないか?」

 そう、同じシンギラリティとして、純也の実力に興味があった。


 純也は首を横に振って

「いいですよ。オレは、戦闘向きじゃあないですから…」


 ディオスはフッと笑み

「そうか、分かった。じゃあ、詳しく話を聞かせてくれないか? 勿論、お茶やお菓子は出すぞ」


 純也は巨鳥から降りて

「ええ…話でしたら、ね」





 午後、ディオスの屋敷で純也の経緯を聞く。

 ダラスとウルアにメディナは、ハンターの医者の見立てで気絶だけなので、目覚めるまで、屋敷のベッドに寝かされている。


 屋敷の居室でディオスはお茶を片手にソファーに座り、その席達の一つにヒロキもいた。

 純也が何故、そうなったのか気になるのだ。

 同じくソファーに座る純也を前に、純也の語りが始まる。

「あれは…数ヶ月前です。町の傍にある超古代遺跡の周辺を通り掛かると、空から光が降り注いで、呑み込まれたんです。

 もの凄い光の中を泳いでいると…光から降ろされてバルストランの西にある超古代遺跡に来ていたんです」


 ディオスは肯き

「飛ばしのタイプか…」


 ヒロキが

「飛ばしって?」


 ディオスが

「シンギラリティになる者は、必ず超古代遺跡で光に呑み込まれる。その後、元の超古代遺跡に戻るか、別の超古代遺跡に飛ばされるか、のどちらかで戻ってくる。おれは、君と同じく飛ばされた飛ばしなんだ」


「へぇ…」とヒロキは頷いて「で、純也…その後は?」


 純也は苦しそうな顔をして

「その…曙光国に戻ろうと旅費を現地で稼いでいたんです。

 この魔力が幾らでも沸き上がる体質になった事を生かして、魔力コンデンサーに魔力を充填する商売をして旅費を稼ぎをしていたら、彼女達三人と出会いました。

 もっと早く旅費を稼ぐ為に、彼女達三人とハンターをしようと、意気投合して、飲み明かした日の夜…」

 純也はガクガクと震える。


 それにディオスとヒロキは顔を合わせて、ヒロキが

「ど、どうしたんだ?」


 純也が顔を覆い隠して

「オレ、とんでもない事をしてしまったんです」


 ディオスは目をパチパチとさせ

「とんでもない事とは?」


 純也が震えながら

「酔っ払って、とある大人が…男女でアレをする宿に泊まっていたんです。そうです。起きて気付いたら裸になっていた自分と、彼女達三人が…」


 ディオスはそれを聞いて「お、オウゥ、オフ…オゥ…」と悶える。

 

 つまり、酔っ払った勢いで男一人対女三人で、いたしちゃったのね。


 純也はガクガクと震えながら

「その後、三人が妊娠したとか、色々と言って。お金を…。そのお金を工面する為に、亡くなった両親から受け継いだ高田温泉を抵当に…」


 ディオスは伏せ目がちに

「その…ショックだろうが…。彼女達三人は妊娠しているとは…思えないが…」


 純也は泣き出して

「そうです。妊娠はウソだったんです。そんな事が分からず、彼女達は色々と借金をしていて、その名義人に自分が…」


 ディオスは渋い顔をして

「それはちょっと酷すぎるなぁ。離れればいいんじゃないか?」


 純也は俯きながら

「帰る場所のありませんし、それに…彼女達は身寄りがないらしく…借金を返す為に借金をしていた生活だったので…。その…見捨てる事が出来なくて…」


 ディオスは頭を掻く。

  これってストックホルム症候群なんじゃあないか?

 ここで縁を切った方が、彼の為じゃあないか?

「なぁ…純也くん。その借金の所在って分かるかい?」


 純也はディオスの言葉に顔を上げて

「それは…」


 ディオスは

「まあ…ちょっとだけ、力になれるかもしれん。借金の事で、少しは楽に出来るかもしれない。調べてみたいから教えてくれないか?」


 純也は何度も頭を下げて

「ありがとうございます。ありがとうございます」

と、連呼する。


 ディオスは、純也から借金をしている金融機関の名前と、その名義人である純也の本名と、現住所をメモした。


 ゼリティアに聞けば分かるかなぁ…。


 オルディナイトの力を持ってすれば、こういうのは簡単に調べられるだろう。

 

 ディオスは純也に

「今日は、屋敷に泊まっていきなさい。これも何かの縁だ。同じシンギラリティ同士だしね」


「すいません」と純也はお辞儀した。


 ディオスが微笑むと


「ディオス・グレンテルは何処だーーーーー」

 屋敷の広間の方からダラスの大声がした。

 どうやらお目覚めのようだ。

 

 ディオスはヒロキと純也を連れて広間に行くと

「もう一度! 我々と勝負しろーーーーーー」

 ダラスが叫び。

「そうよ! 怖じ気づいたの! アーリシアの大英雄!」

 ウルアが叫び。

「そうですよ! もう一回勝負です!」

 メディナが叫ぶ。


 ディオスが二階のエントランスから現れ

「ウルサい。お前等…。ここには子供がいるんだ。もうちょっとお淑やかにしろ!」

と、怒りが混じっていた。


 純也が

「もういいだろう。実力の差が分かったろう!」


 ダラスが

「いいや、まだだ! 勝つまで何度でも挑戦するだけ」


 ディオスはそれを聞いて眉間を寄せて

「面倒くさい連中だぜ」

 そうぼやいた後、玄関が開いた。


「おーーーーい 遊びに来たぞーーー」

 ソフィアが姿を見せる。

 後ろには、ナトゥムラとスーギィにマフィーリアが付いて来る。


 ナトゥムラが

「何か、バカデカい声がしたが…なんだ?」

と、広間の真ん中を見ると、彼女達三人を発見した。

「なんだ? お客か?」

 ナトゥムラがウルアに近付くと、ウルアが焦って顔を背ける。


 それにスーギィもマフィーリアも続く。


 ナトゥムラが、同じ青髪の人族の娘ウルアを凝視する。

「あれ?」

 スーギィも同じ赤髪で獣人の少女メディナを見つめる。

「おや?」

 マフィーリアも同じオーガ族の乙女ダラスを凝視する。

「んん?」


 ウルア、メディナ、ダラスは顔を隠しながら

「今日は、ここまでだ! 次回、必ず。我々の勝利を手にする」

 そうダラスが告げると、ウルアとメディナの手を取って屋敷から走り去っていった。


 そこへディオス達が一階に下りて

「どうしたんですか?」

 首を傾げるナトゥムラとスーギィにマフィーリアの三人を見つめる。


 ナトゥムラが

「妙だな…見た事あるような気がする」

 スーギィが

「奇遇だな…自分もだ」

 マフィーリアも

「拙者もだ」


 ディオスは

「はぁ…」

としか言えなかった。



 夕日に向かって走るダラスとウルアにメディナ。

 メディナが

「ウソでしょう。どうして…」

 ウルアが

「マズいわよ、どうする?」

 ダラスが

「とにかく、様子見だ。我々の正体がバレるのはマズイ」

 三人とも焦っていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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