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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
時の記憶

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幽玄の王 第78話 ユノとウル

次話を読んでいただきありがとうございます。

次に見た記憶は…


 レイは記憶から帰還する。

「え?」

と、レイは困惑していた。

 レイ自身が調べた歴史のデータでは、カレイド時空帝国を造った頂点の人物、つまり覇遵の事だろう。

 その覇遵は、傲慢で不遜、己以外の存在は虫けらと思っていたという記録しかない。

 事実、多くの破滅や悲劇を覇遵はもたらしていた。

 その悲劇や破滅の裏で、栄えていた者達もいたが…


 覇遵は、人として浮世離れというか、人の形をした別という雰囲気だったのに、何処となく人らしかった。

「自分が見ている記憶って正しいのかなぁ…」

と、レイは疑問を感じるも、記憶を見る作業を一時止めて次に持ち越した。


 そして、レイは小宮達との仕事を終えると、帰宅する。


 再びレイは、記憶を探る。


 そして…カケルとなり

 今度の場面は、巨木のような王座に座禅で座る覇遵を前に、跪いて二人が報告している姿があった。

 シロッコの前の人物ハクと、ジンの前の人物シンだ。


 その二人を前にカケルであるレイが後ろに跪き、二人の報告を聞いていた。


 ハクが

「という事です」


 巨木の下の王座に座禅する覇遵が

「そうか…報告、ご苦労だった」


 シンが

「覇遵様、何か他に言う事は?」


 覇遵が、右膝を右足のモモに乗せてアゴを支えて

「何か言うべき事を期待しているのか?」


 シンが

「我らは…艦隊を多くの者達を殺しました。戦争とはいえ、一方的な我らの巨大な力を使った虐殺。それに何か…一言でも」


 覇遵が暫し視線を落とした次に

「和平をして艦隊を撤収してくれるような状況だったか?」


 ハクが

「いいえ…」


 覇遵が

「我は見ている。汝達が何度も警告をして、何度も何度も止めようとしたが…結果は…変わらなかった。ならば、その結果を受け入れるだけ。それをどう思うかは…己で決める事であり、我が口を出す事ではない」


「は」とハクとシンは跪き頷く。


 覇遵が

「罰が欲しいのなから…破滅させた艦隊達の者達の後始末をすると良い」


 ハクが

「後始末…とは」


 覇遵が

「救援の手を伸ばすもよし、復讐者として育てるもよし、勝った証として娶るもよし。もしくは…同じ場所へ送るもよし、お前達が決めろ」


 ハクとシンが黙ると、カケルが

「では、こういうのは? 救援を与えつつ、復讐者でも、娶るでも、両方行う事で…罰というのは…」


 覇遵がフンと鼻で笑い

「なるほど、なるほど、確かにそれは罰だな。背負うという重荷にするのは…」


 こうして、ハクとシンが戦闘して全滅させた艦隊の家族や一族は、ハクとシンが主となる時空へ迎え入れる事に、そのまま残りたいという者達は、戦没慰安保障という救援の資金や物資を提供する事に


 それほど前に莫大な支援や物資を行えるのも、覇遵がもたらす莫大なエネルギーのお陰だ。


 こうして、覇遵の帝国、カレイドは広がっていく。


 ハク、シン、カケルの三人は廊下を歩く。


 ハクが

「カケル、お前は相変わらず…とんでもない提案をする」


 シンが

「敗者を受け入れる。それを取り込むか…」


 カケルが

「ムリではないと思うよ。ハク兄やシン兄なら出来るだろうから」


 ハクが溜息をして

「オレ達は万能じゃあない。出来ない事も多い」


 シンが

「ともあれ、落とし所としては、カケルのが一番だったのは間違いない」


 カケルが微笑んだ後、少し不安げに

「ハク兄、シン兄、こういう事…増えてくるのかなぁ…」


 その言葉に、ハクとシンは黙るしかなかった。


 次の記憶は…


 整然とした神殿の中だ。

 ギリシャの円柱が並ぶ神殿。

 その奥へカケルであるレイが進んでいくと、奥の部屋、外が一望できるテラスに二人が立っている。

 あのロードの王ウルと、レイと戦ったジャバラスであるユノだ。

 二人は、レイが出会った時より若く、年齢として五十代前半といった感じだ。


 ウルとユノが話していると、ウルが気づき

「おや、カケル殿…どうしたのかね?」


 ユノが

「また、覇遵様が無理難題をふっかけたのか? いいや…覇遵様ではなく、エリザスが…」


 カケルが

「なぜ、エリザス様は…自分に厳しいのでしょうか…」


 カケルは、エリザスから命令を受けた。

 エリザスは、覇遵の隣に立つ者として、様々な指示をカケル達に与える。

 カレイドで行われる任務のほとんどは、エリザスの指示で…終わった後に覇遵に報告するという形になっている。

 だが、カケル達、超座を持つ者は、覇遵の加護を受けている。

 それは覇遵に見られているという事でもあり、覇遵の隣であるエリザスにも見えている。


 カケルは、エリザスの命令通りを熟している。

 大半の任務は、別の時空への戦争だ。

 カケルは、争いたくない。

 話や交渉で、何とかしようとする。

 カレイド時空帝国の話は、広まっていて、ある程度の交渉の成果はある。

 それで、エリザスに…交渉で何とか出来ると相談するも

 エリザスは

「潰せ」

と、一言。


 カケルは望まない戦いを強いられる事が多いのだ。


 ユノはカケルに

「カケルの優しさは十分に理解している。だからこそ、無用な争いは避けたい。だが…」


 ウルが

「それを良しとしない者達はいる。それがいずれ…」


 カケルが俯き

「それでも…争いは…よくない。犠牲が増えるだけで」


 ユノとウルは顔を見合わせて、ユノが

「そんなキミだからこそ、覇遵様は、お気に入りなのかもしれないね」


 カケルが困惑を見せて

「自分が覇遵様のお気に入り…ですか?」


 ウルが肯き

「覇遵様には、報告は必要は無い。我々のやる事なぞ、その超知覚で観測して知っている。だが、ワザワザ…キミから、君達三兄弟の報告を聞きたがるのは、君達がお気に入りである証拠だ」


 ユノが

「我々は報告をしない。報告の文章だけで十分と言われる」


 ウルがカケルの肩に手を置いて

「君達だけが、覇遵様の感傷を見られる。それは貴重な事なんだよ」


 ユノが微笑み

「だから、エリザスは嫉妬する。キミが羨ましいんだよ」


 カケルが困惑気味に

「だって、エリザス様は、覇遵様が生まれた時から共にいるのでしょう? 自分のような者が、超座の適性があっただけの自分が…そんなに…思われるなんて…おかしいです」


 ユノが複雑な顔で

「いずれ、カケルにも分かる。エリザスが…どうして」


「何を話しているの?」

と、三人の後ろから声をかける女性。

 180近いカケルと同じ身長、プラチナブロンドの長髪、鋭い眼光

 そこには女王の風格をまとう、超座の九人、九天君主のトップであるエリザスがいた。


 エリザスは、カケルに近づくと

「人路皇王、次の勅命があるわ。来なさい」


 カケルは背筋を伸ばしてお辞儀して

「はい、エリザス様…」


 エリザスはカケルに背を向ける瞬間、鋭い視線をユノとウルに向けて、歩く。

 それにカケルは続く。


 その視線にユノとウルは、溜息を漏らした。


 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

アナタに幸せが訪れますように…

次回、エリザスとカケル

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