幽玄の王 第74話 思惑
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レイの超座とシロッコの超座の共鳴反応によって、シロッコはレイの位置を探り当てた。
「いた」
と、シロッコはレイが何処の時空にいるのかを察知する。
シロッコの隣にいるジンも、シロッコの共鳴反応を追って自分の共鳴反応を合わせて
「ああ…いがいと近くの時空だな」
シロッコは自分達が乗っている時空戦艦の端末に、その位置情報を入れようとしたが…
「ん?」
シロッコ達がいる場所は、時空戦艦の艦橋で、サラ達四姫と、ディオス達がいる。
シロッコが端末への入力を止めていると、四姫のルリが
「何かあったのですか?」
シロッコが
「移動している。多分、時空戦艦クラスの何かに乗っているんだと思う。かなりの速度だ」
ディオスが近づき
「つまり、レイくんを乗せて動いている…と」
さらにシロッコとジンは、共鳴反応を強めてジンが
「なんだ? この反応は?」
シロッコがジンと共に感じた新たな超座の反応の位置情報を入力して
「これ…もしかして…お姫様達が狙っていた獲物か?」
その位置情報を見たサラが
「ああ…情報にあった位置だ」
シロッコが難しい顔をして
「レイの反応がここに向かっているって事は…」
ジンが
「シロッコ、レイに共鳴反応のやり方を教えたか?」
シロッコが
「いいや、ジンもそう言うって事は…」
ジンも
「オレも教えていない」
ディオスが近づき
「レイくんは、移動しているんだな…その超座に向かって」
シロッコとジンはディオスを見ると、ディオスの顔が固い。
シロッコが「ああ…」と肯定すると、ディオスが口を開く。
それを聞いたシロッコとジンが驚愕の顔をして
「テメェ!」
と、シロッコがディオスに向かおうとしたが、それをジンが止めて
「それは…レイも知っているのか?」
ディオスが黙る。その雰囲気だけで察した。
ジンが抜刀して、ディオスへ向かおうとしたが、その前にオージンが立つ。
戦闘態勢のシロッコとジン
「いくら、オージン様でも、こればかりは」
と、シロッコが
オージンが
「まずは、この者達の事情を聞いてからにしてくれんか?」
と、告げると中央の艦橋に多くの者達が入り込むと、シロッコとジンに向かって土下座する。
シロッコは驚きと共に苛立ちを募らせ
「ふざけるなよ! お前等の」
オージンが
「それ程の覚悟があると言う事だ。ハクよ」
シロッコがハクと呼ばれて驚愕と鋭い顔を向ける。
オージンが
「ハク、シン…お前達なら…分かるだろう。この者達の覚悟と気持ちが…」
ジン(シン)がディオスを凝視する。
この為にオージンを呼んだのだ。
シロッコが拳を下げて
「これっきりだからな」
と、告げるとジンも刀を鞘に戻した。
ディオスは、シロッコとジンについて、オージンから聞いている。
なぜ、レイに二人は固執する理由も…
ディオスが
「二人は、レイくんを守る事に専念すればいい。それ以外は何もしなくていい」
シロッコとジンが凄まじい顔をディオスに向けているが、それをディオスは見つめる。
二人の心の底にある目的を知っているからだ。
何も怖くない。
二人も人なのだ。大切な者を守りたい。当たり前の人なのを知っている。
それが転生して魂に縛られていても…
五百年前、カレイドという超時空帝国があった。
その頂点であった覇遵に仕えた九天君主の九人
その九人の中で、三人の兄弟がいた。
造炎轟王の長兄ハク、絶技閃王の次兄シン、人路皇王の三男カケル
この三人は、カケルを失い、カレイドに離反して…殲滅の女王エリザスによって…
その魂は巡り巡り…
離反する前にハクとシンは、造炎轟王と絶技閃王の超座を…オージンに託して…
魂は巡る。
その刻まれた宿命も運命も呑み込んで、輪廻は巡る。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、レイと超座 その参




