幽玄の王 第73話 レイと超座 その弐
次話を読んでいただきありがとうございます。
レイは、自身の超座の共鳴反応を使って目的の場所に来ると…
レイが感じた超座の共鳴反応によって到着した時空のとある星系
その真上にレイ達が乗ってきた星艦ジュラスが止まる。
レイが中央で
「ここに?」
隣にいるウルが
「らしいね。こんな…生命もいない星系に…か」
レイの回りにいるミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュン達は、ミカボシが
「星艦ジュラスの探査では…生命がいない星系だと出ているが…」
スクナが
「この星系の第三惑星に…文明の痕跡があるのを発見した」
ウルが
「その痕跡の規模は?」
スクナが
「惑星全体にネットワークのように広がっている」
アテルイが
「どうやら、惑星の中央部分の大陸に…支点のような装置がある。そこから惑星全域に広がっている」
ハジュンが
「まさか…超座を動力システムとして使っていたのか?」
ウルが
「可能性は無くはないが…それでも文明が滅んでいるとは…」
レイが
「とにかく、降りて見ませんか?」
レイの提案に乗って、惑星へ降り立つ。
その惑星は、崩壊して所々に文明の痕跡があり、その痕跡が中心に向かっている。
レイ達が乗る小型宇宙船が、その中心へ向かう。
中心へ宇宙船が到着すると、その上部にある巨大な着陸場の跡地に宇宙船が止まる。
そこからレイ達が降りて来る。
レイは外を見渡す。
海と荒野に荒廃した高度な遺跡達の残骸。
どこか寂しい感じと共に歴史を積み重ねた重さも感じた。
レイの後ろをミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンが通り、次のウルが
「こういう場所が気になるのかね?」
レイは広がる遺跡達を見つめて
「ダンジョン探索が好きな理由の一つに、古い遺跡が好きなんです」
ウルが隣に並んで
「ほう…若い者は古くさいのは嫌いと思っていたが」
レイは、着陸場の跡地の下に広がる遺跡達を見つめて
「こういう古い遺跡を見ると…何か…懐かしい気持ちになって…何かを…」
スクナが着陸場の跡地の下に続く端末に触れてハッキングして
「先への道が開けたぞ」
ウルが
「行こうか…」
「はい」とレイも続いた。
スクナがハッキングした端末が起動する。
六人がいる場所が下がる。どうやら巨大なカーゴ式エレベーターのようだ。
六人を乗せてエレベーターの台座が下がっていく。
下がったそこには巨大な空間が広がっていた。
そこは規則正しく機械達が並び、電子基板の回路のような雰囲気があった。
ミカボシが全体を見渡していると、アテルイが
「どうした? 何か…」
ミカボシが難しい顔で
「何か…雰囲気が似ている」
アテルイが
「どういう意味だ?」
ミカボシが首を傾げながら
「そんな筈はないが…ネオシウス時空の王族達が暮らす惑星のシステムと似ている…と思ってな。だが、ここはネオシウス時空ではないし、似たような設計思想は、似たような雰囲気になるのは当然だろうし…」
ハジュンが
「引き返すか?」
ミカボシが
「いや、気のせいだろう」
六人を乗せたエレベーターが地下深くへ降りていく。
そして、エレベーターが止まった。
その場所は、数キロサイズの超巨大な空間で、その中心に巨大なキロサイズの台座のようなシステムと中心に数百メートルサイズの淡く輝く黄金の石版がある。
その巨大な黄金の石版をウルが
「マルチバースト・ジョイント…なるほど、理にかなっている。超座も一種の超越存在の力、それを閉じ込めて動力システムとして、事象を操作する事象機関として活用するとしたら、正しい」
レイが
「マルチバースト・ジョイントって何です?」
ミカボシが
「高次元とこの次元を繋がる扉、接続装置みたいなモノだ。構築している存在は、エネルギー結晶で、物質ではない。要するにネットワークでいうなら、ハブ…みたいな感じだ」
レイが
「ハブ…ですか」
アテルイが
「あそこから反応があるのか?」
と、レイに尋ねると、レイは共鳴反応を感じて
「はい、あのマルチバースト・ジョイントから…」
スクナが
「行ってみるとしよう」
と、周囲に端末が無いか?と探して端末を探すと、そこに触れてハッキングして、この巨大システム内を移動する小型カーゴを呼び寄せる。
それにレイ達は乗って、マルチバースト・ジョイントへ向かう。
到着すると、そこには三百メートル近い黄金の石版、マルチバースト・ジョイントが浮かんでいた。
「デカい…」とレイは見上げていると、スクナがこの場にある端末を探す。
スクナが床に触れると石柱のように地面が上がり、スクナの腰の高さで止まると、スクナが触れて
「調べて見る」
ハッキングを開始する。
ウルは、レイの隣に来て共鳴反応を感じて
「分からん。誰の超座だ?」
レイが
「自分が受け取ったように超座には、前の持ち主の痕跡があるのですか?」
ウルは肯き
「その通りだ。だから、その痕跡を探っているが…分からない」
レイが周囲を見渡して
「ここまで来る途中の施設を見て、ざっとこうなったのは二百年前くらいだと思います」
ハジュンが
「その見立て、合っていると思うぞ。我の時空を探る知覚でも、ここが放棄されて二百年くらいだと…」
レイが
「これ程の高度文明遺跡です。滅んだ、または…放棄された理由ってなんですかね?」
ハジュンが考えつつ
「考えられるとして、急速な人口の激減、または…この超座があるシステムの暴走によって」
スクナがハッキングしていると「なに!」と声を張る
その次の瞬間、レイ達がいる場所の周囲に無数のエネルギーのリングが形成されて、レイ達を閉じ込めるようにこの場に幾つも連なる。
まるで牢獄のようになった、この場にレイは戸惑い
「一体、何が?」
ミカボシ、アテルイ、ハジュンが鋭い顔になり、スクナが端末の台から手を離そうするが見えないエネルギーに縛られて離れない。
「罠だ!」とスクナが叫ぶ。
エネルギーの牢獄の周囲が、急速に明るくなり、そこには無数の宇宙戦艦や時空戦艦といった艦隊達が取り囲んでいた。
レイは何が起こったのか…分からず困惑していると、レイの頭上からディオスとティリオが降りて来た。
ディオスがレイの肩に触れて
「悪いね」
「ええ?」とレイは困惑し続ける。
ウルが溜息をして
「もしかして…これは…謀れた…という事かね」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、レイと超座 その参




