幽玄の王 第56話 覚悟の出立
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様々な障害、そして、出発する…レイは…
レイの行動は即決だ。
「姉さん、スイ、母さんを取り戻してくる」
と、姉のアスカと妹のスイに告げて、隣にいる剣のグラファラスと槍のオルフェウスの夫妻に
「グラファラスさん、オルフェウスさん、ぼくがいない間の…」
グラファラスが肯き
「任せなさい」
オルフェウスが
「早く帰って来るのよ」
レイは次に小宮とソンの所へ行く。
無論、それにシロッコとジンが並んで付いていく。
小宮は溜息を、ソンは笑み
「行くのか? レイ」
と、小宮が告げる。
レイは肯き
「ジャバラスを…倒してきます」
ソンが「後々の事は…」とシロッコとジンを見ると二人は不敵に笑う。
「まあ、心配ないか…」
レイが微笑み
「終わったら、多分、ランクは降格でしょうし。後の仕事の…」
小宮が手を振って
「行ってこい。終わった後に仕事に困ったら斡旋してやるから」
レイがガッツポーズで
「じゃあ、存分にやって来ます!」
見送る小宮とソン、ソンが
「レイくんの父親、グランくんが…今の息子を見て、どう思うだろうね」
小宮が笑み
「存分にやって来い!って送り出すだろうよ。グランは、誰かを助ける事にためらわないヤツだからな」
◇◇◇◇◇
レイは、宇宙港に来る。それは惑星の海上にあるプライベート宇宙港だ。
持ち主は、翼のグルファクシ、エンジェルリンクス社の会長だ。
「待っていたよ」
と、グルファクシは微笑む。
レイの行動がバレた瞬間、レイがいる惑星の全ての宇宙港が封鎖された。
レイの邪魔をする為だ。
だが、個人が持つ宇宙港と宇宙戦艦は封鎖できない。
プライベート宇宙港には純白に輝くグルファクシの宇宙戦艦が海に浮かんでいた。
天使の翼のようなエンジンを持つ超光速航行の宇宙戦艦だ。
因みに、惑星間や銀河間、宇宙内を瞬間移動できる超空間ネットワークも使えなくされた。
レイの反応がある限り、どんな宇宙戦艦も宇宙船も使えない。
だから、超光速航行の宇宙戦艦エンジェルリンクス号が必要なのだ。
エンジェルリンクス号へ乗り込もうとすると
「待ってください!」
と、鵜飼担当官が多くの部下と、ゴウ会長を連れて現れる。
鵜飼担当官がギアを、両手足の鎧のギアを装備して
「それ以上、動くなら…ソルジャー規約違反で逮捕します!」
ゴウ会長は、レイと一緒に乗り込むグルファクシに視線を向けると、グルファクシが嬉しそうに微笑む。
ゴウ会長は項垂れて、前に出て
「レイ・フィリックス・神崎さん。そのまま行動すれば、せっかくのSSランクだけではない。アナタのソルジャーとしての人生が終わりますよ。そればかりではない。アナタの力の全てが没収されて…」
レイは明るく微笑み
「ええ…それで母さんを助けられるなら…」
ゴウ会長は、真っ直ぐと輝くレイに圧倒されてしまった。
覚悟を決めている。助ける為…という純真なソレを見てしまう。
レイの後ろにいるシロッコとジンが
「お前等…オレ達に勝てると思っているのか?」
と、シロッコが告げて、シロッコとジンが威圧を向ける。
巨大なバケモノのような威圧に足が縛られる鵜飼担当官と部下達。
その間にエンジェルリンクス号に乗り込み、出発した。
轟音と爆発するような出力を放って、エンジェルリンクス号は飛んでいく。
惑星を飛び立ち、宇宙へ
それを見送った鵜飼担当官が
「行ってしまった」
ゴウ会長が
「あんな覚悟を決められては…仕方ない」
◇◇◇◇◇
エンジェルリンクス号は超光速航行で、目的地へ向かう。
目指すは、ジャバラスが封印された六重ブラックホールの大封印だ。
エンジェルリンクス号の環境で、シロッコが
「レイ、お前とジャバラスが戦う場所を、オレとジンが整えてやる」
ジンが
「そうしたら、封印を解除する」
シロッコがレイの肩に手を置いて
「後はお前次第だ。オレ達は手を出さない」
ジンが
「もし、キミがやられそうになったら、再封印はするだろうが…」
レイは首を横に振り
「その必要はありません。絶対に勝ってきますから」
それにシロッコとジンは微笑む。
一番高い艦長席にいるグルファクシが
「到着するぞ。レイくん後は…頼む」
レイは「はい!」と答えた。
◇◇◇◇◇
漆黒の巨大な球体、数十万光年サイズの漆黒の球体は、六つの光の円環を持っている。
ジャバラスが封印される六重ブラックホールの大封印
その近くにエンジェルリンクス号が到着して、シロッコとジンが飛び出す。
「う゛ぉおおおおおおおお」
「おおおおおおおおおおお」
シロッコとジンは雄叫び、全力を発揮する。
シロッコとジンは全長三十万光年の爆発となり、それが形を構築する。
シロッコは巨大な腕を持つ鎧の超機神サルヴァード・ゼンペスト
ジンは刃の腕を伸ばす鎧の超機神サルヴァード・ラーゼオン
二柱の全長三十万光年のサルヴァードが、六重ブラックホールの大封印を挟むと、それを閉じ込める外の結界を構築する。
その中へ、レイが惑星級の超機神ゼノギアラスへ飛び込む。
同時に、六重ブラックホールの大封印が解かれた。
消えて行く漆黒の球体と解かれる六つの光の円環。
その中心に座する老人、ジャバラス。
三眼のジャバラスは、全ての目を開いてレイを捉えて
「待っていたよ」
まるで、巨木のような雰囲気を放つジャバラス。
レイは敬意を持って
「お待たせしました」
座禅をしていたジャバラスが足を解き立つと
「では、始めるとしよう」
ジャバラスは爆発する。三十万光年の爆発。
そして、形を取る。
結晶の突起を幾つも持つ漆黒の鎧獅子の超機神サルヴァード・シシラスが
ヴォオオオオオオオ
雄叫びを放った。
シロッコとジンの構築した結界さえも超えて、コーレル時空全体を震わせる。
これが九天の、ナイン・ロードされる者達の力だ。
レイとジャバラスの戦いが始まった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回 ジャバラスと対峙




