表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
幽玄の王 ロードの王編
1077/1109

幽玄の王 第50話 シロッコへの相談

次話を読んでいただきありがとうございます。

翼のグルファクシにシロッコの家を訪ねて…


「えええ…と」

 レイは、小型端末を起動させてグルファクシから貰ったシロッコの自宅の案内のデータを使って、シロッコの家へ向かっていた。

「ここだよね…」


 森林に囲まれた田舎の村落、その点在する家の一つがシロッコの自宅らしい。

 その家の前にレイが立ち玄関の呼び鈴スイッチを押そうと…


「アンタ、誰?」

と、レイの後ろから女性の声がした。


 レイが振り向くと、そこには腰に手を当てているランがいた。


 レイは、初めてランを見る。

 年齢は、妹のスイより少し上だろう。

 身につけている装備、腰の部分にはエネルギー剣の柄と、アイテム回収ボックス、服装が頑丈そうなズボンと動きやすそうな上着だ。

 ソルジャーで間違いない…とレイは確信して

「もしかして、シロッコさんの知り合いの方ですか?」

と、ランに尋ねる。


 ランがレイに近づき

「アタシの旦那に何の用?」


「え?」とレイは驚く。

 シロッコさん、結婚していたの?

 ??????? 

 シロッコの年齢は、明らかに小宮と同じ四十代くらいで、ランはスイと近いから十代後半か、二十歳くらい。

 つまり、年の差が二十も離れた…カップル?


 そこへ

「誰が、お前の旦那じゃ」

と、ランの後ろにシロッコが現れる。


 ランが直ぐに振り向き

「アナタ、お帰り!!!!」

と、シロッコの左腕に抱き付いた。


 それにシロッコは呆れた顔をする。


 レイがその雰囲気から察して

「シロッコさん。彼女は?」


 シロッコが顔を引きずって

「オレの弟子か妹みたいなもんだ」


 レイは、盾のイージスで一緒に仕事をしていた時を思い出した。

 そういえば…そんな事…言っていたなぁ…

と、レイは改めてランを見つめると…確かにシロッコにとって、妹か弟子と言われれば納得する雰囲気があった。


 シロッコが

「レイ、珍しいな。オレの所に来るなんて…」


 シロッコの腕に抱き付くランがハッとしてシロッコから離れて

「アンタがウワサの…」


 レイは渋い顔をして

「ウワサになっているつもりはないんですけどね…」


 シロッコがレイに

「何か面倒な事にでも巻き込まれたのか?」

と、告げる感じは、何処となく察してくれている感じを放っている。


 レイは

「実は、相談がありまして、エンジェルリンクス社の会長からシロッコさんの家を教えて貰ったんです」


 シロッコが訝しい顔で

「あのオーズ会長が?」


 レイは息を呑んだ後に

「ジャバラスの封印について…です」


 シロッコはハッと察した後に、レイを家に招く

「あがりな」


 ◇◇◇◇◇


 シロッコの家に上がって畳みの部屋でレイは座り、シロッコがお茶を出してくれる。

 シロッコがレイの対面に座ると、その左に当たり前のようにランが座る。


 レイがシロッコに

「相談とは…」

 レイがジャバラスを倒してクリスタル症の母親を救いたい…という話だ。


 シロッコがお茶を飲み、レイも同じく口にする。

 シロッコは

「どこまで、オーズ会長から話を聞いている?」


 レイが

「シロッコさん達がジャバラスの封印を作り、それをエネルギー増殖炉として使っていると…」


 シロッコが肯き

「その通りだ。ジャバラスと戦った時に、ジャバラスを倒すと…この時空が消し飛ぶのを防ぐと共に、それを有効活用する手段を造った」


 レイが厳しい顔で

「つまり、ぼくが…ジャバラスを倒すと…この時空が消し飛ぶ…と」


 シロッコが腕を組み

「コーレル時空を消滅させないで倒せた…としても、その封印から得られていた莫大なエネルギーの喪失は、コーレル時空にとって、相当な痛手になる」


 レイは俯き

「それじゃあ…倒さない方が…」


 シロッコが

「かと言って、レイの母親のようにクリスタル症で苦しんでいる者達を…放置というのも問題だ。確かにジャバラスを倒せば…クリスタル症は消える。つまり…社会全体を上から見た。メタ的な視点では、クリスタル症で苦しむ者達と、ジャバラスの封印によって得られるエネルギーとでは、明らかにジャバラスの封印から得られるエネルギーが利益が高いって事だ。実際、レイの母親の治療費は負担してもらって、レイ達には請求されないだろう」


 レイは、ドキッとする。

 クリスタル症という特殊な病気だからこそ、今までの治療費を無料にされていると…思っていたが、実際は違った。

 裏側を知ってしまった。多くを助ける為に少数が犠牲になるのを許容する。

 それが社会の本質でもある。

 犠牲というピラミッドによって頂点の者達が幸せなら、その犠牲は受け入れられる。

 残酷な事実がそこにある。


 では、レイが願い通りに母親を救ったとして…その結果は、今まで社会を維持する犠牲のピラミッドが崩壊して…大混乱となり…

「クソ…」

と、レイが苦しそうに呟く。


 苦しそうにしているレイを見つめる、シロッコとラン

 ランが

「ねぇ…シロッコ…」

と、シロッコの脇を突く


 シロッコが溜息を吐いて

「レイは、どっちが大事だ?」


 レイはシロッコを見つめて

「どっちが大事…とは?」


 シロッコが冷静に

「母親を助ける事が大事か? 自分の…そう、己が大事か?」


 レイは真っ直ぐと

「それは、母さんを助ける事が大事です」


 シロッコが顎を摩り

「レイの力は、更なる飛躍を秘めている。レイがジャバラスを倒し、ジャバラスの九天君主の力を呑み込むとして、それをどう使う?」


 レイがシロッコの言葉を

「ぼくが、ジャバラスを倒して、ジャバラスの力を呑み込んで…は!」

 シロッコの言おうとしている事が分かった。

「そうだ。ぼくがその穴埋めになればいいんだ…」


 シロッコがレイを見つめて

「そうなったら…レイにとって、相当な負荷を受ける事になるぞ」


 レイは微笑み

「別に構いません。色んな成り行きや巡り合わせで、ここまでの力を得ましたから」

と、自分の手を、自身の力を見つめ

「精々、死なない程度。家族が守れる程度の力さえ残れば十分です!」


 シロッコがレイの結論に

「そうか…レイの思う通りにすれば良いが。だが…オレはそこまで、レイを鍛える術を知らない。ジンもな」


 レイが考えて

「聖帝ディオスなら、出来ますかね?」


 シロッコが微妙な顔をして

「ああ…まあ、聖帝ディオスなら色んな術を持っているから…あり得るんじゃあないか?」


 レイはシロッコに頭を下げて

「シロッコさん、相談、ありがとうございます」


 やる気になったレイにシロッコが

「もし、レイの望み通りになったら、連絡をくれよ。ジャバラスの封印へ入る手段を渡すから」


 レイは直ぐに行動へ移す。

 その後ろ姿を見送るシロッコとラン

 ランが

「私がSランクになる頃には…」


 シロッコが

「もっと早いんじゃないか…」


 ランはシロッコを見つめて

「そんなに伸びしろがあるの? 彼は…」


 シロッコが

「元の性格が良いからな。人間性が良く、さらに力があるなら幾らでも伸びるさ。それこそ…そう、コーレル時空の次世代の…」


 ランが

「そうなったら、シロッコも最強じゃあなくて、その下の何かになるから…色んな圧力から解放されるかもね」


 シロッコが肩をすくめて

「さあ、それは時が知るだけさ」



ここまで読んで頂きありがとうございます。

アナタに幸せが訪れますように…

次回、聖帝の修行

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ