幽玄の王 第46話 ジャバラス
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その男は、上下左右、前、後と超重力のブラックホールの封印の中にいた。
座禅して、目を閉じて額の第三眼で外を観測する者。
ロード、九天君主の一人ジャバラスだ。
男は、高齢の身体を静かにさせて、座禅し瞑想している。
その背後に、ウルが立つ
ジャバラスが座禅の瞑想を続けたまま
「ウルか…久しいな」
ウルが微笑み
「ユノ…いや、蛇刃羅王よ…ついに時は来た」
ジャバラスは笑み
「知っている。アレが…覚醒したのだろう…」
ウルが肯き
「あと…一押しだ。そうすれば…完全覚醒して…」
ジャバラスが顎を上げて懐かしむように
「我の罪、やっと終わるという事か…」
ウルが悲しげに
「すまないね。ユノ…損な役割ばかりで…」
ジャバラス…ウルの仲間であったユノは微笑み
「気にするな…あの方の為に…ハジュン様は、我らに希望を与え、そして、我らは…絶望を与えてしまった。その釣り合いを取る必要がある」
ウルが帽子を押さえながら
「九天の星はそろっている。あとは…」
ジャバラス…ユノが
「我が終われば…それが継承されるか…」
ウルが肯き
「そうだ。それがハジュン、覇遵様が作った超越存在の王座、超越の座…超座の原理だ」
ジャバラスは微笑み
「我が終わり、継承させる者は…優しい青年だ。我が殺されるに十分に値する程の優しさを持つ者だ」
ウルが
「キミが納得するほどに、優しく野心も野望もなく、暖かな青年だ」
ジャバラスが
「あと…少しで来る。とても、今は…心が穏やかだ。やっと、我は終わる事ができる。やっと、涅槃へ終わりへ至れる。ウル…感謝している」
ウルが
「いずれ、私も同じ場所に行くだろう。先に待っていてくれ」
ジャバラスが肯き
「ああ…先に行っている」
ウルが姿を消す。
ジャバラスは、瞑想を再び始める。
彼が現れて戦う、その時までに…穏やかにいる為に
レイが…ここに来るのを待っている。
「覇遵…様…全てをお返し致します」
と、ジャバラスは呟いた。
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アナタに幸せが訪れますように…
次回、封印の相談