幽玄の王 第44話 杖のガルガンチュア その7
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杖のガルガンチュアと衝突するレイ…
ドミネーターとの戦い、最後のドミネーター、杖のガルガンチュアとの争い。
ガルガンチュアの後ろから、轟音の如き雄叫びが轟く。
全長が七千メートルの超巨大な鎧の超龍達が七柱も空を泳いでくる。
ガルガンチュアがレイと共にいるジェン達を指さして
「王を裏切った愚かな者達の子孫よ! お前等も一緒に滅するまで!」
空を埋め尽くす七柱の超龍達が咆哮を広げて、世界を滅ぼす程の咆光を放った。
レイは前に出て
「ラーオロス!」
と、ギアを展開して強大なシールドを形成する。
剣のグラファラスと槍のオルフェウスは、無数の兵士達の津波を放ち、レイのラーオロスのシールドと共に咆光を防ぐ。
世界が七度も滅ぶような威力の嵐を耐えるレイ達。
信じられない光景にジェン達は棒立ちになる。
だが、伝わる威力と漏れる熱量によってそれが現実と知る。
ジェンが
「全員、ギアを構えて防護の体勢!」
閃光の世界で、レイ達は耐える。
そして、閃光が晴れたそこには、膨大な熱量によって焼かれたマグマの残骸と、無重力に広がる宇宙なのか?大地なのか?が混在した世界だった。
レイがガルガンチュアに
「この人達は関係ない!」
ガルガンチュアが吠える。
「いいや! 違う! その者達は関係者だ! お前の力を手にしようとして、偽物のダンジョンを造り、お前を仲間に引き入れようとした! 王を裏切ったあの時から、全く変わっていない! 己の利益の為に悪行を繰り返す祖先と同じだ!」
レイはジェンを見つめて
「どういう事ですか?」
ジェンは視線を逸らす。
それがガルガンチュアの言葉の正解を示していた。
レイは呆れるも気を持ち直して
「それでも! 関係ない!」
と、ラーオロスからレッドミカエルへ変形してガルガンチュアへ突貫する。
ガルガンチュアが生じた七柱の超龍達がレイのレッドミカエルへ向かって無数の光の刃を発射する。
超龍達の全身から発射される、一つの光が数百メートルサイズの光の刃を、超光速で回避してレッドミカエルはガルガンチュアへ迫る。
だが
「おおおおおおおお!」
ガルガンチュアが雄叫びを放つ。
ガルガンチュアの足下から星を飲む程の超龍が生じてガルガンチュアを呑み込んで融合する。
その余波で、ジェン達がいる足場が飛ばされる。
それを槍のオルフェウスが結界を形成して保護し、星を滅ぼす程の余波を剣のグラファラスが切り裂いて守る。
剣のグラファラスが
「ガルガンチュア…最初から全力とは」
槍のオルフェウスが
「それ程までに…レイくんを認められないのね」
剣のグラファラスと槍のオルフェウスに守られるジェン達は、明らかに自分達が対処できない戦いに指を咥えて見ているしかない。
惑星サイズの超龍、ヘラジカの角のような頭部、黄金に輝く全長一万二千キロの超巨躯、世界を瞬殺する全力を持ってガルガンチュアはレイを潰そうとする。
レイは機神ゼクティオンを呼び出す
「ゼクティオン!」
ゼクティオンがレイから飛び出して、レイを胸部のコアに入れる。
レイの力を動力にして機神ゼクティオンが更なる力を呼び起こして光輝く。
レイがゼクティオンのコアに乗り
「行くぞ!」
と、ゼクティオンの両手にアラクモの両手剣が握られる。
「おおおおお!」
と、レイが叫び、ゼクティオンの両手にあるアラクモの両手剣から惑星を両断する程のエネルギーの刃が伸びる。
ガルガンチュアも雄叫び
「おおおおお!」
惑星級の超龍の躯体を惑星両断剣とぶつける。
その余波で、戦場となっている宇宙空間が揺らぐ。
そして、破れる。
出た場所は、ダンジョン探索していた惑星の直ぐ隣だ。
ガルガンチュアが形成した絶対領域さえも耐えられない衝撃で、コーレル時空の空間へ飛び出した。
突如、現れた黄金の龍躯体にヘラジカのような角の頭部を持つ惑星級の超龍と、光を放ち惑星を両断する程のエネルギーの刃を伸ばす機神ゼクティオンに、コーレル時空は大混乱した。
「うおおおおおおおおお!」
「おおおおおおおおおお!」
機神ゼクティオンのレイと、惑星級の超龍のガルガンチュアが雄叫び、ぶつかる。
その衝突で生じるエネルギーの余波は、周囲の星系を乱し、超空間ネットワークに多大な影響を与える。
その二つがぶつかる光景は、直ぐにコーレル時空の全てに放映されて、それを見ている者達の全員が唖然とする。
翼のグルファクシもそれを見て
「ガルガンチュア、レイくんか、そんな…ガルガンチュア、殺す気か!」
◇◇◇◇◇
コーレル時空に広がる苛烈な二人の戦い。
ガルガンチュアがぶつかりながら叫び告げる
「お前は! 我らの王を汚す! 許さない! 我らの王は一人だけ! あの御方だけ!」
ガルガンチュアの超龍の衝突に合わせて、レイは惑星両断剣をぶつける。
ガルガンチュアが怒り吠える。
「認めない! お前のような者を! お前は! 我らの王ではない! お前は、お前は!」
レイが惑星級の超龍の衝突を受けながら
「ええ…その通りです」
ガルガンチュアが
「なら! 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
レイが吠える。
「出来ません! オレは…母さんを助ける! ジャバラスを絶対に倒さないといけない!」
ガルガンチュアが
「キサマの我欲の為に! 王の力を汚すな!!!!!!!!!!」
レイが怒る
「汚くない!!!!!!!!!!」
と、惑星両断剣でガルガンチュアの惑星級の超龍へ向かう。
「うおおおおおおおおお!」
と、ガルガンチュアは全力を出す。
惑星級の超龍の全身、全長一万二千キロの超巨躯の全体を使った宇宙を半壊する程の閃光インドラを放つ。
それにレイが乗った機神ゼクティオンが呑み込まれた。
「消えろ!!!!!!!!!!」
ガルガンチュアの全てを消す完全消滅にレイは、機神ゼクティオンと共に呑み込まれた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、杖のガルガンチュア 終わり