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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
幽玄の王 ドミネーター編
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幽玄の王 第43話 ガルガンチュア

次話を読んでいただきありがとうございます。



 杖のガルガンチュア、ドミネーターの中でも王に最も近かった。

 ガルガンチュアの能力が王にとって必要だった事、何より…ガルガンチュアと王は気が合った。

 王にとってガルガンチュアは、身近な友人でもあった。

 ガルガンチュアにとって王は、敬愛すべき方だった。


 ガルガンチュアの他にオルフェウス、グラファラス、グルファクシ、イージスの四人も王の隣にいた。

 王を中心に五人の守護者達、エルダー(五芒星)サインが繋がり、それによって王の力も世界に広まっている。


 そして、ガルガンチュア達五人は、ずっとこのような関係が続くと思っていた。


「我、以外の後継者を探せ」

 それが王の最後の命令だった。


 王は殺された。

 裏切りによって殺された。

 それによって歴史に記されない、最悪の大戦争が起こった。

 あまりにも悲惨だった故に、それは歴史に残っていない。


 それでもガルガンチュアは赦せなかった。

 裏切った者達が生き残り、復興していく。

 

 剣のグラファラス、槍のオルフェウスは、俗世から離れ。

 翼のグルファクシと盾のイージスは、復興していく世界で生きる事に。


 ガルガンチュアだけは、赦せなかった。


 無論、似た考えのダンジョン・マスター達もいた。

 最初は、同じだった。

 復興していく世界へ、裏切った者達への復讐を


 だが、一人一人とダンジョン・マスターが去って行く。


 気付けば…ガルガンチュアだけが残った。


 それでもガルガンチュアは…

 だが、それも終わりを迎えた。ガルガンチュア攻略作戦

 そこで、ガルガンチュアが納得できる二人を見た。

 シロッコとジンだ。

 その強さに、ガルガンチュアは…彼らなら…と思って超空間への封印を受けたが、シロッコとジンは、その気が無かった。


 超空間ネットワークに封印されたガルガンチュアは、偶に開く隙間から外に出て…そこでレイを知った。


 強さは申し分ないが、その優しすぎる心持ちが…認められない。

 その優しさに付け入る連中をガルガンチュアは知っていた。


 故に、ガルガンチュアは…否定する為に…

 いや、もしくは…




 ◇◇◇◇◇


 シロッコとジンは、三十代を終える後年に王の力を受けた。

 王の力を受けた者としてS級になるだろう…という定番に落ち着くと、誰しもが思っていた。

 だが、二人の力はあまりにも飛び抜けていた。


 シロッコとジンは、友好的なダンジョンに存在する最強の力を上回り、ドミネーターを得る事もなく、星一つ、惑星を一瞬で破壊する程の力を覚醒させ、その上昇は留まる事はなく、二百年前に消えた王の再来と、まで言われるようになった。


 だが、そんな周囲の期待とは裏腹にシロッコとジンには、その気持ちがない。


 シロッコとジンは、絶望を味わった者達だからだ。

 シロッコもジンもソルジャーになった当初は、希望を持っていた。

 だが、二人が見たのは地獄だった。

 ソルジャーを使い捨てにする上司達、自分の利益を追求し仲間殺しまで平然とやる者達もいた。

 ソルジャーを束ねるリーダーの99%は、二百年前に王に仕えていた権力者達の血筋ばかりだ。

 ソルジャーを道具として使う冷徹なトップ達。


 レイが出会った小宮やソンのような真っ当でチャンとした者達は少数だ。


 当然のようにシロッコもジンも使い潰されて、ボロボロになった。

 そんな者達が圧倒的多数だった時代のソルジャー。

 絶望をタップリと味合わされたのがシロッコとジンの時代だ。


 それでも生きる為に、一人でダンジョン探索を続けるシロッコとジン。


 そして、人生の半ばを過ぎた頃に、シロッコとジンは王の力を覚醒させた。


 それに、当時の使い捨てにしたトップ達は、利用する事が当然としていたが。


「なんで、お前等に従う必要がある」

と、シロッコが冷徹に拒否した。

 それにジンも続いた。


 トップ達は、あらゆる手段でシロッコとジンを引き入れようとした。


 ある合同訓練の時に、脅しをシロッコにかけたS級のバカがいた。

「オレと勝負しろよ。しないと家族を全員殺すぞ」

と、嘲笑うS級の男、シロッコを使い捨てにしたトップ達の息子の一人だ。


 シロッコの目が冷たくなり

「じゃあ、殺されても文句はないな」

と、再度、その男に尋ねて端末で録音した。


 男は

「バカじゃあねの! お前なんて使い潰されて終わる奴隷の」

の次の言葉を言う前に、シロッコが消えて顔面を掴まれて床に叩き付けられた。

 その後、壁に放り投げられ埋まったそこへ何度も高速で鉄拳を叩き込むシロッコ。


 そのS級の男は手も出る事も出来ず、無惨に壁に挟まれてシロッコの鉄拳の豪雨を浴び続ける。

 それを止めようと他のS級達が駆けつける。

 その中にマルスもいた。

 S級が十五人も駆けつけたが、シロッコは手を止めて、その十五人の脇や腹に鉄拳を叩き込む。

 たった一撃でソルジャーとして最強のS級達が致命的ダメージを受けて床に転がる。

 激痛とダメージによって床にのたうちまわるS級達。


 そして、再びシロッコは男を鉄拳の豪雨で殴る作業を始める。


「た、たしゅけて…」

と、男が死にそうになると急速回復のアイテムを発動させて瞬時に回復、再び、シロッコが鉄拳の豪雨を叩き込むのを続ける。

 それを何度も何度も繰り返す。


 無論、ジンもそこにいたが、冷徹な目で見ていた。

 他の無事なS級が止めるように頼むも無視し続けた。


 止めようとしたマルスは、シロッコに攻撃された脇腹を押さえる。

 あまりにも深すぎるダメージに立てない。

 そして、察した。シロッコは…自分達とは違う…遙か先にいる存在だと…。


 二時間もシロッコによる鉄拳の豪雨が続いて、脅した男はその場に痙攣して倒れた。

 無論、回復はされているが…精神が持たなかった。

 翌日、脅した男は…何処かへ消えた。


 この一件からシロッコとジンの考えが分かった。

 二人にとって、今の世界、いや…ソルジャーを維持する体制なんて価値がないゴミであると…。

 その後、二人に頼るしかない戦いが何度かあった。

 それによって名声や名誉を授けようとしたが、それを全て拒否するシロッコとジン。

 

 拒否する時に嘲笑うシロッコ

「オレ等をゴミのように捨てたお前等に…なんで従う必要があるんだ?」

 それにジンも「フン」と嘲笑った。


 シロッコとジンは、生活する為に依頼された報酬は受け取る。

 それ以外は、どうでも良い事。

 そんな二人の実力は、明らかに飛び抜けていた。

 コーレル時空で、誰も追いつけない。


 コーレル時空のソルジャーを統括するトップ達は戦慄した。

 誰も、シロッコやジンを押さえられない。暴走して…最悪な事になっても…

 こんなバケモノを育てたのは…間違いなく

 今までのソルジャーのトップ達なのだから。

 自分達が搾取し続けた結果、何時でも自分達の全てを破壊して消してしまうバケモノを生み出してしまった。


 絶望して後悔した時しか人は変われない。

 トップ達は変えようとしたが、全ては手遅れであり後の祭り、それが世の常。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

アナタに幸せが訪れますように…

次回、杖のガルガンチュア その7

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