幽玄の王 第41話 杖のガルガンチュア その5
次話を読んでいただきありがとうございます。
レイの新たな依頼、それは小宮達と…
レイは小宮達と共にダンジョン探索へ向かう事になった。
小宮がレイに
「大規模なダンジョン探索が行われるんだよ。それにオレ達のギルドも参加する。レイには何時も通り、アイテム管理や運用を頼みたい」
レイは小宮から貰った資料データを見ると…ここ最近、見つかった新たなダンジョンらしい。
レイは驚きと共に
「へぇ…新たなダンジョンか…珍しいなぁ…」
レイの時空、コーレル時空にあるダンジョンのほとんどは、二百年前に存在した王によって造られたモノばかりで、新たに発見される事はない。
それが、新たに発見とは…本当に珍しい事だ。
レイは何時も通り、予定のアイテムを買い込んで小宮達と合流した。
「小宮さん!」
と、小宮達の宇宙船へ来る。
小宮達が宇宙船の下に集まっていて
「おう、今日もよろしくな、レイ」
ミンが
「よろしくね。レイくん」
他の仲間も「レイ、よろしくな」と「頼むぞ、レイ」と声をかける。
レイは微笑み
「はい、よろしくお願いします」
と、挨拶をした。
そして、レイが乗り込んで宇宙船が出発する。
その移動中にレイが
「こんな合同なんて、久々ですね」
小宮が
「ああ…そうだな…」
歯切れが悪い。
レイが小宮を見つめて
「どうしたんですか?」
「あ! レイくん」
と、若葉が現れレイに近づき
「レイくん、よろしくね」
と、ウィンクした。
レイは困惑する。
レイくん?
凄く距離感が近くなった。まあ、ダンジョン・パラダイムシフトを共に乗り越えたのだから…まあ…分からないでもないが…
「う、うん、よろしくね。ええ…」
若葉が笑顔で
「若葉って呼んでね」
レイが肯き
「若葉くんも一緒にダンジョン探索をするの?」
「ううん」と若葉は首を横に振り
「宇宙船にいて、お父さん達のサポートをするの。武器の整備とか、色々とね」
レイが若葉を見つめて
「ソルジャーには成らないんだね」
若葉は肯き
「私の適性は、作成や整備のこっちだから。レイくんは?」
レイは右腕を掲げて
「オレは、何時も通り仲間のアイテム管理と運用だよ」
と、言いつつ横にいる小宮を見ると溜息を漏らしている。
ああ…何となく…小宮さんの歯切れが悪い理由ってこれか…
若葉がレイの右腕に抱き付き
「レイくんと会えて嬉しいな」
レイは「ええ…」と困惑すると、後ろで冷たい感じがする。
ミンが笑顔だが…冷たい空気を放っている。
ミンは笑顔だが威圧で
「モテモテだね…レイくん」
レイはミンからの威圧を感じ
「いや、その…これは…」
若葉がミンを見つめる。ミンも若葉を見つめる。
そこに見えない何かの圧力のぶつかり合いをレイは感じる。
何が起こっているんだ?とレイの困惑が続く。
そうしている間に宇宙船は、目的の惑星に来る。
レイが宇宙船から下りると、そこには多くの宇宙船達が降りてソルジャー達が出てくる。
相当な数のソルジャー達にレイが
「こんなに大規模な合同ダンジョン探索、自分は初めてかも…」
小宮が隣に来て
「オレもこの規模は久々だ。今回の合同ダンジョン探索を持ちかけたのは、Sランクのジェインのギルド、セイントドラゴンだ」
レイが驚きで
「へぇ…S級の方のギルドがですか…」
小宮が
「普通なら、発見したダンジョンを独占して、おこぼれに預かるくらいしか出来ないが…どういう風の吹き回しか…」
レイは考える。
確かに、小宮さんの言う通りだ。ダンジョンを発見するって事は、膨大な富を独占できるチャンスだ。それを…なんで?
「あ、レイくんだ」
と、カナが現れる。
レイはカナを見て
「ああ…どうも」
カナの後ろにはソルジャーの面々がいた。
カナが
「レイくんも参加してくれたんだ」
レイは肯き
「はい、小宮さん達の手伝いで」
カナが後ろを向いて
「紹介したい人がいるの」
カナの後ろにいるソルジャー達から一人だけ出て
「初めまして、セイントドラゴンのギルドに所属するチーム、イレブンのリーダーのジェン・オーソンです」
と、握手を向ける。
レイもそれに答えて握手して
「初めまして、レイ・フィリックス・神崎です」
ジェンが
「アナタが所属する小宮さんのギルドは、私達と一緒に行動する事になりますが…よろしいでしょうか?」
レイは、ハッとしてアイテムの一覧を見る。
小宮達に頼まれたアイテムしかない。他のチームのアイテムまでは…
小宮が
「大丈夫だ。そっちはそっちでやるから…レイ」
レイは胸をなで下ろして
「そうですか」
ジェンが
「では、ダンジョン探索へ向かいましょう」
ジェンのチームのメンバーがレイに注目する。
そう…ジェン達には別の目的があった。
ジェンの上司であるジェインからの命令
「レイ・フィリックス・神崎から、様々な情報を引き出して…そして、ランクの再測定へ向かわせるようにしてください」
ジェンが
「兄さん、ウワサは…本当だったんだね」
ジェインは弟のジェンに
「このチャンス、逃す訳にはいかない。シロッコやジンのような二の舞だけは…」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、杖のガルガンチュア その6