幽玄の王 第35話 ダンジョン・パラダイムシフトの戦い
次話を読んでいただきありがとうございます。
ダンジョン・パラダイムシフトでの戦い、そして…
レイはマルスと共に周囲を見回る。
マルスと歩くレイは
「あの…もしかして…色々と気付いています?」
マルスは、明らかに槍のオルフェウスについて知っているような感じが…。
マルスは笑み
「ドミネーターってヤツだろう」
レイが立ち止まる。
そして、レイから剣のグラファラスが出て
「久しいね」
と、マルスに微笑みの視線を向ける。
マルスはフンと鼻息を荒げて
「アンタがソイツに付いているって事は…」
レイは、マルスと剣のグラファラスを交互に見る。
剣のグラファラスが
「ああ…中々に良い子だったからね」
マルスがレイを見て
「なるほどね…」
マルスは、レイと同じく王の力を受けたが…剣のグラファラスと戦って負けて、力を得た。
剣のグラファラスが
「サラ女王に言われて来たのか?」
マルスが背を向けて
「それもあるが…ただ、単に帰って来たら…こうなっただけだ」
マルスのギアは、エネルギーが包む通常のギアだが、レイと同じく王の力を受けたなら…形状変化して
マルスが
「それに…だ。シロッコとジンのヤツ等が気にしている人物に注目が集まるのは…」
レイが「過大評価ですよ」と呟く。
マルスがそれを聞いて笑む。
その目の前に…無数の巨大なモンスター達が現れる。毛皮を着たモンスター達、肉食獣の如き牙と爪を備えた身体は、明らかに危険を放っている。
レイが両手にシロッコから貰った剣アラクモを握りエネルギーの刃を伸ばすとギアをセイントグリッドに変えた。
マルスもギアを鎧のように変える。その姿は巨漢のゴーレムのようだった。
その両手に巨大な斧を握り
「じゃあ、行きますか…」
と、いの一番に飛び出す。
砲弾の速度でモンスター達へ突っ込む。
セイントグリッドになったレイは、ロウも取り出して
「ロウ、後ろを頼む。グラファラスは…」
隣にいる剣のグラファラスは
「任せろ、被害を外には広げないようにする」
剣のグラファラスの背後の影が伸びて無数の剣の眷属達が出現し、更に影が空に伸びて翼を背負う眷属の騎士達も出現し、大部隊となった。
レイはマルスに続く。
先行したマルスは、両手の斧を使いコマのように回転してモンスター達を切り刻む。
レイも続き、アラクモの両手剣でモンスター達を切り刻む。
レイは、アラクモの両手剣の性能に驚く。
軽々とモンスターを両断できるのだ。モンスターはその強さに応じて強度があるが、それを無視して倒せる。
だが、このアラクモの両手剣はもの凄くエネルギーを使う。
レイのような無限にエネルギーを生成するメビウス・リアクターが無ければ…エネルギーを吸われて瞬時に終わっているだろう。
つまり、シロッコは…レイの性質を知っているという事だ。
その性質に合わせた武器を渡したという事だ。
マルスもモンスターを倒しながら、レイの動きを追っていた。
あの力…なるほどね。
レイの強さを見る。明らかに…今の自分より上なのは間違いない。
「シロッコとジンが、一緒に仕事をする事を許す訳だ」
シロッコとジンと比べれば、まだ下ではあるが…いずれは…。
レイが次々とモンスターを倒していくと、巨大な十五メートルのモンスターが出現する。
マルスが「ち、デカいな…」と
レイも見上げると、右腕に刻まれた機神ゼクティオンの印がうずき光る。
レイは右腕を伸ばして
「ゼクティオン、頼む」
右腕から黄金の光が噴出して、そこから機神ゼクティオンが出現する。
十五メートルのモンスターと同じ機神ゼクティオンが両手に剣を握ると、向かって来た巨大なモンスターを一刀両断した。
そして、次々とモンスター達が森の奥から湧いてくる。
そのモンスター達をレイとマルスが相手をする。
漏れたり広がろうとするモンスター達をロウや剣のグラファラスの眷属の騎士達が狩る。
巨大なマキナサイズのモンスター達は、機神ゼクティオンが倒していく。
見回りの筈が…現れるモンスター達の討伐となってしまった。
◇◇◇◇◇
若葉がいるテント拠点、そこで槍のオルフェウスがレイ達の活躍を映す立体映像を見せていた。
若葉とカナに男性が驚きの顔だ。
槍のオルフェウスが
「彼らが広がるのを防いでいるから、こちらには回ってこないでしょう」
若葉が驚きで
「これがソルジャーの戦い…」
カナが首を横に振り
「こんなのソルジャーの戦いじゃあないわよ!」
男性が
「すげ…こんな戦い見た事ない」
カナは驚きで無言になってしまう。
ジェインの調査依頼は、どうせ…ウワサだった…くらいで終わらせるつもりだった。
だが、これはウワサ程度ではない。
そして、改めて槍のオルフェウスを見る。
おそらく、ガーディアンではない。それ以上の存在だろう。
これを報告すれば…いや、だからこそ報告すべきだ。
キャンプ拠点から遠くで、レイ達が戦う轟音が響いていた。
その音を頼りにライガが向かっていた。
そして、ライガは…辿り着いた先に、あのキャンプ拠点がいて…
安心してキャンプしている若葉達を見て、不条理な怒りが沸く
オレが…あんなに苦しい目にあっていたのに!
自分の落ち度なのに、それをどこかへ飛ばして、若葉達にぶつけようとしていた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
アナタに幸せが訪れますように…
次回、最後の時に…