幽玄の王 第32話 杖のガルガンチュア その2
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レイに依頼が来た。その依頼とは?
レイは、久しぶりの依頼の仕事が来て準備をしていた。
レイは無限収納というアイテムを無限に収納して、チームの仲間へ配る力を持っている。
なので、小宮達とは違うソルジャーのギルドメンバーが、レイに依頼を頼む事がある。
この依頼もその内の一つだ。
レイは、姉のアスカのお店に行き、依頼したギルドがお願いした補充を買い足している。
姉のアスカのお店は、ソルジャーの装備やダンジョン探索に必要なアイテムを売る店だ。
なので、必要なアイテムが何時でも購入できる。
店番をするアスカが
「今回は、けっこう…荷物を買い込むみたいね」
レイがアイテムの一覧をチェックして
「うん、何でも十人近いメンバーでダンジョン探索するらしいから…その分のアイテムとレーションを十分に買い込んで欲しいって」
姉のアスカが
「長期なの?」
レイが日程表のデータを見て
「いいや、二日くらいだけど…まあ、ダンジョンのランクがBクラスなんだ」
姉のアスカが首を傾げて
「どんなメンバーで行くの?」
レイが姉のアスカへメンバーのデータを見せて
「有名人だよ。AAランクでSランク間近だって言われる。ライガ・獅子道さん達のメンバーだよ」
姉のアスカがデータを見つめて
「なるほどね。このライガさんって人に、多くのダンジョンを経験させてランクを成長さるのが目的か…」
レイが肯き
「だろうね。そうなれば…十三人目のS級が出てくる事になるから」
姉のアスカが「そう…」と答えた後
「レイは、ランクの再審査をしないの?」
レイは微笑み
「面倒くさい。このままで十分だけど…まあ、必要になったら…」
姉のアスカが
「どうするかは…レイの自由だけど、あまりムリはしないでね」
レイはアスカに肯き
「分かっているよ」
◇◇◇◇◇
レイは、目的のチームの宇宙船の前に来ると…何かもめている。
「どうしたんだ?」
と、レイが近づくと、ライガのチームと…とある二名が話し合っている。
ライガと話している長身で大柄な男が
「こっちの面倒は、こっちで見る」
ライガは渋い顔をして、大柄な男の隣にいる娘を見つめて
「他国のSランクだからと言って、横暴が許される訳では無いぞ」
大柄な男、マルスは肯き
「その当たりも分かっている。ただ、体験をさせるだけだ」
レイがマルスと若葉の二人に近づくと、若葉がレイに気付いて
「あれ? もしかして…スイの…お兄さん?」
レイがハッとして
「スイを知っているのか?」
若葉がレイに近づき
「スイと同級生の若葉・ラード・小宮です」
レイがお辞儀して
「ああ…どうも、何時も…妹がお世話になっています」
マルスが「どうした若葉」と告げた次に、レイの姿を見て視線が鋭くなる。
レイは、それを自分が知らない男がいて、警戒していると思った。
レイが
「怪しい者では、ありません。今回のダンジョン探索でアイテム管理を任された者です」
マルスとライガがレイを見つめて、レイにライガは
「今回のアイテムの管理を頼んだ。レイ・フィリックス・神崎だな」
レイは肯き
「はい…」
ライガは溜息を漏らした後に
「そちらのアイテム管理者の護衛とするなら…」
マルスは肯き、レイに手を伸ばして
「若葉の叔父のマルス・ラード・小宮だ」
レイが記憶を探る。
この風貌、マルス…他国のS級…
「は、アメリス国の…S級…」
マルスは肯き
「そうだ」
レイは記憶を探る。
そう言えば、小宮さん、弟さんが他国でソルジャーしているって言っていたなぁ…
体格は大きいけど、確かに雰囲気が小宮さんと似ている。
って事は、若葉って子は…小宮さんの娘か…
レイがマルスに
「自分も、小宮さん…アレスさんにお世話になっていますので…お嬢さんのガードを手伝いますから」
マルスは微笑み
「悪い、助かる」
こうして、マルスと若葉も加わってダンジョン探索が始まる。
今回のダンジョン探索の目的は、ダンジョン中心に生じた大型のモンスターを討伐する事だ。
相当に巨大で、多くの資源やエネルギー結晶が取れる…という計画だ。
レイは計画書を見ていると…
ええ…それにしては…短期間だなぁ…普通なら四日くらい必要な筈なのに…
この計画はウソで、実際にはライガは、上司でありギルド長のオウガが
「この人物の実力を見極めろ…」
と、言われた。
それは、レイだ。
ライガは苛立つ
「E級の荷物持ちが…」
ライガは、レイのウワサを知らない。
マルスも計画書を見て、直ぐに察する。
本来の目的は…コイツの…とレイを横見する。
様々な思惑がありつつも、目的のダンジョン探索の場所に到着した。
山脈地帯のダンジョンだ。
宇宙船から下りて、各々のギアを展開してダンジョンを進む。
ライガを先頭にメンバーが続き、その後ろをマルスや若葉にレイが続く。
宇宙船から離れて、ある程度の場所で、突然、小型の角兎のモンスターが現れて
「今すぐ、引き返して!」
と、角兎のモンスターが叫ぶ。
一団が困惑して止まる。
角兎のモンスターは、ダンジョン・マスターの使いで
「ここは、パラダイムシフトが」
一瞬だった。
角兎のモンスターは消えて、雪原が現れた。
若葉が困惑して怯えて
「ええ? ええ」
レイとマルスは周囲を見渡し、レイが
「ダンジョン・パラダイムシフトが…起こったのか…」
ダンジョン・パラダイムシフト、通称、パラダイムシフトは…本来あるダンジョンの姿とは別のダンジョンに強制変異させられる現象で、ダンジョン・マスターの力が及ばない何者かによる改変なのだ。
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次回、ダンジョン・パラダイムシフト