幽玄の王 第31話 ライガと…カナと…
次話を読んでいただきありがとうございます。
動く者達の思惑が…
オウガがギルド長を務める会社のオフィスで…
「今回の依頼は…ダンジョン探索による資源獲得が目的ではない」
と、オウガがライガ・獅子道に告げる。
ライガ・獅子道
ソルジャーランクはAだが、Sが目前のAAランクだ。
ライガは特異体質のソルジャーで、ダンジョンを経験すればするほど、ダンジョンのエネルギーを吸収して成長する。
その為に、オウガの次席としての期待も寄せられているが…高慢な部分がある。
自身の能力を過信して、特攻する気質が問題だ。
それで、今までダンジョン探索で問題になった事はないが…組もうとするソルジャーは減った。
要するに自分以外のソルジャーを消費するコマとして見ている。
オウガは、それに頭を悩ませている。
上に立つ者に必要なのは、高い能力もそうだが…人としての力、人間性だ。
能力は高いが人間性が終わっている者が上に立つと、組織は崩壊する。
一時は良いだろう。
だが…終わる。
短期的な利益だけを生み出し、未来に対しての遺産を残さない。
勇猛果敢な将ほど取り立ててはならない。
冷静沈着な将を取り立てよ。
しかし、勇猛果敢な将ほど目立つので、人は取り立てようとするが、それだけは絶対にやってはいけない。
破滅する。
ライガは、残念ながら勇猛果敢な将なのだ。
オウガが冷静にライガに伝える。
「この人物の力量を見極める事、それが目的だ」
と、レイに関する資料を見せる。
そのデータを見たライガが
「E級の足手まといが…」
オウガが淡々と
「今は、Eランクのままだ。だが…」
「フン」とライガは鼻息を荒げて
「分かりました。大して能力がなかった…という報告をお待ちください」
と、ライガは出て行く。
オウガは頭を抱えて
「全く、あの気質…昔のオレを見ているようだ…」
オウガもかつて、ライガと同じ部分を持っていた。
その高慢という過信を打ち砕かれた。
そして、今のギルド長という地位にいる。
どんなソルジャーや、ソルジャーでない者も、力を持っていて、その大小でもない、向き不向きでもない。適切な場所で、適切な権限を与えれば…必ず力を発揮するのを知った。
組織は能力主義では成り立たない。
組織を動かす歯車のように人を扱えば…組織はモノとなり、突然の変化に対応できず潰れる。
三十代のオウガの悩みの種である。
◇◇◇◇◇
ジェインがとあるソルジャーの女性を前に説明している。
「この人物の力量を見極めて欲しいのです」
女性はカナ、本名は別にあるが、偽装の身分で侵入する。
カナが
「これは…例の彼ですか?」
と、ジェインから渡された資料のデータを見る。
ジェインは肯き
「はい。ウワサのレイ・フィリックス・神崎です」
カナが厳しい顔で
「話は聞いています。あのシロッコとジンが一緒に仕事をする事を認めた…と」
ジェインは
「デス級の二人は、足手まといが嫌いです。S級だろうと何級だろうと…足手まといと判断した場合は、絶対に付き添わさない。だから、こそ…彼の…レイという人物が気になるのです」
カナが肯き
「分かりました。ですが、所詮は…ウワサだけだった事も…」
ジェインが
「分かっています。それでも…」
こうして、ジェインからの密偵が入る事になった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら
ブックマークと☆の評価をお願いします。
次話を出すがんばりになります。
次回、杖のガルガンチュア その2