幽玄の王 第27話 ロアデウスの解析
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ディオスの惑星があるアースガイヤ時空で、回収されたロアデウスの調査が行われていた。
惑星級の兵器と化したロアデウスの調査は何度かあり、その何例目だ。
宇宙空間で巨大な枠に収納される惑星級の兵器のロアデウス。
ティリオが様々な機械を使って調査していると、ディオスが来る。
ティリオは三メートル前後のデウスマギウスに乗って、ディオスは普段の格好だ。
惑星級の兵器を納める惑星サイズの収納装置は、特別な魔導エネルギーが満ちて、酸素と軽い重力に加えて、様々な有害な宇宙エネルギーから守られている。
惑星級の兵器と化したロアデウスは、完全に機能停止しているので、調査に問題はない。
ディオスが
「どうだ?」
ティリオが
「相当に兵器として洗練されている」
ディオスが足下にある惑星級の兵器のロアデウスを見つめて
「そうか…戦闘をしていて分かったが…ロアデウス特有のムダな機能が少なかった」
ティリオが
「戦闘用に形状を特化さているって事か…」
ディオスが
「ロアデウスは、周囲を取り込んで自己増殖する性質がある。その性質によって過剰と思える進化の部分が多い。だが、このロアデウスは違った。洗練された機能に特化している」
ティリオも肯き
「だとしたら…どうやって、こんなロアデウスを開発したんだろう? それなりに実験する場も施設も必要だ。それがあったっていう情報は今までなかった」
ディオスが厳しい顔で
「もしくは…隠しているか…」
ティリオが少し難しい顔をした次に
「父さん、こっちに来て」
と、ディオスをロアデウス内部のとある部分に連れて行く。
そこはマキナが余裕で通れる程の巨大な果てしなく続く円筒の空間で、その空間の壁には人が入れる程の水槽のケースが果てしなく並んでいた。
ディオスは水槽のケースを見つめると
「これは…」
その水槽のケースには人が浮かんでいる。
ティリオが
「おそらく、ロアデウスの兵器達を動かす中枢に組み込む…生体演算装置の為の…」
ディオスが厳しい顔で
「元となっている人物の遺伝情報は…まあ、何処でも手に入るか…」
ティリオが
「主に、盾のイージスさんの因子が使われていると思う。母系に関して同じ遺伝子が使われているから…」
ディオスが
「では、盾のイージスは…元は人だった…と」
ティリオが肯き
「多分、そうだと思う」
「そうか…」とディオスは考えている。
ティリオが
「どうするの父さん? この人達…生きているけど…」
ディオスが全体を見渡して
「引き取り手がいないなら…こっちで」
と、告げた後に懐にあった端末に連絡があり、ディオスはそれを受けて返信して
「ああ…そうですか。分かりました」
と、連絡が終わって端末をしまう。
ティリオが
「誰からの連絡?」
ディオスが
「ロアデウスを回収したコーレイ時空のエンジェルリンクスの会長からだ。このロアデウスと、そこで生まれた彼ら彼女らを引き取りたい…と」
ティリオが
「そうか…引き取り手が見つかったのか」
ディオスが
「余分な戦闘機能だけは外して、渡そうと思う」
ティリオも肯き
「その方がいいよ」
こうして、ロアデウスに製造された命達は、引き取られる事になった。
◇◇◇◇◇
ミカボシが一人、喫茶店でお茶をしている。
窓から外が見える席にいて、一人…注文したデザートを食べていると端末から連絡が入る。
ミカボシが手にして
「ああ…どうも、ロードの王よ」
通信に出ているロードの王が
「ご苦労だった。報酬は…」
ミカボシが笑み
「構いません。我々の目的を達成していただけるなら…」
ロードの王が
「予定通り、レイくんは、盾のイージスを手に入れた。彼女は争いを好まない。それ故に…切っ掛けがなければ…レイくんに力を渡さなかったろう」
ミカボシが
「新たな王になる、レイ・フィリックス・神崎ですか。真っ当な好青年なのは理解できますが。人間性が良すぎて、欲望や権力争いに加わらない。野心が乏しいというのは、こちらの操作を受け付けない。予測不可能な事になる可能性が高いですぞ」
ロードの王は
「構わない。それが…そう…目的だ」
ミカボシが窓から、レイが姉のアスカのお店へ帰ってくる姿を見て
「そうですか。まあ、それがロードの王の望みなら仕方ない」
と、ミカボシは怪しい笑みを浮かべ
「では、次の算段の際には…」
ロードの王が
「ああ…頼むよ。あと…アムザクにもよろしく」
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次回、杖のガルガンチュア その1