幽玄の王 第23話 盾のイージス 前編
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盾のイージスの捜索を開始するレイ達、シロッコが襲撃する場所の予測を立て…
レイとジン、シロッコの三人。王の力を継承した者達による盾のイージスの捜索が始まった。
街中を歩くレイ達の三人、シロッコが肩を解しながら
「さて…どう、連中を見つけようかねぇ…」
ジンが
「連中が狙いそうな場所は、分かっているのか?」
レイが
「え? もしかして…襲撃された所を押さえるのですか?」
シロッコが笑みを向けて
「そりゃあ…捕まえて喋らせた方が早い」
レイが心配げに
「仲間を裏切るとは…思えませんが…」
そう、捕まえたとしても正直に全てを話すとは限らないし、仲間を簡単に裏切るとは思えない。
レイがそう思う事は真っ当だ。
だが、シロッコは
「それは…キミが真っ当な人間だから思う事であって、こういう事をするヤツ等は…人じゃあない。動物と同じさ」
レイが微妙な顔で
「そうなんですか?」
その疑問にシロッコは自信ありげに
「ああ…そうさ」
と、シロッコは先を行く。
その背中をジンとレイが追いかける。
シロッコが向かう先、この惑星にあるソルジャー達が獲得した資源を保管する施設前に来た。
まだ、襲撃を受けていない保管施設。
それをレイが見上げて
「本当に…ここに現れるのでしょうか? 他にも…色々と保管施設はありますし…」
シロッコが
「連中が狙っている保管施設は、主に換金率が高いエネルギー結晶を保管している場所だ」
ジンが
「なるほど、エネルギー結晶なら少量でも高額な売買が可能だし、裏ルートを知っていれば…」
シロッコが自信ありげに笑み
「そういう事」
と、ジンとレイに語りかけた瞬間、施設から爆発が起こった。
レイはそれを見て
「ええええ…」
ジンがフンと鼻で笑い
「ビンゴ…という訳か…」
シロッコが指を解しながら
「ビギナーズラックを引いたぜ」
ジンはギアを装備する。黒い鎧武者のギアを装備したジンが
「行くぞ」
シロッコもギアを装備する。白い角張ったギアを装備して
「あいよ」
ジンとシロッコが飛翔して先を行く。
「待って!」
と、レイもギアのセイントグリッドを装備してジンとシロッコに続いた。
ジンのギア、黒き鎧武者のムラサメ
シロッコのギア、白き戦車の如きタイガード
レイのギア、白騎士の如きセイントグリッド
三つのギアの光が爆心地に到着する。
そこには…
「え!」とレイが戸惑いの声を放つ。
背中から幾つもの触手を伸ばす漆黒の鎧、それはラジャスが使っていたモノと同じだった。
つまり、ロアデウスを装備した者達がいた。
ジンはムラサメにエネルギーの刃を握らせて
「まさか…あのソルジャー達を襲撃したヤツが使っていたモノと同じ存在がいようとは…」
シロッコが
「ああ…ジンが関わったレッドタートルのダンジョンのか…」
レイも
「はい。間違いないと思います」
シロッコが
「じゃあ、警戒しつつ行きますか」
と、告げた瞬間、消えた。
シロッコは、ロアデウスの一団の前に来てギアのタイガードの腕に備わっている衝撃波発生装置、インパクトをロアデウスの一団へ放った。
衝撃波の暴力がロアデウスの一団を襲い視界を奪う。
そこへ、ジンのギアのムラサメが斬りかかる。
粉塵に包まれるロアデウスの一団へ無数の斬撃が飛び込んでくる。
その中にシロッコもいる。
だが、シロッコは斬撃より早く動いてロアデウスの一団へ拳を打ち込む。
混乱するロアデウスの一団へ斬撃と拳撃の嵐が襲いかかる。
無数の刃と無数の拳が同時に襲いかかってロアデウスの一団を吹き飛ばす。
レイは唖然とする。
何も打ち合わせもしていないのに、ジンの攻撃にシロッコが合わせたのだ。
転がっていくロアデウスの一団。
「クソ!」
と、ロアデウスの一団が背中から伸びる無数の触手を刃に変えてジンとシロッコを襲う。
だが、それにジンとシロッコは紙一重で避けて肉薄し、ジンは刃の一閃、シロッコは拳の打撃、それぞれを打ち込む。
ロアデウスの一団は四名で、その内の三人がジンとシロッコの波状攻撃で更に吹き飛ぶ。
残された一人は、レイに襲いかかる。
だが、レイにとって一人程度は問題ない。
レイのギアのセイントグリッドが光の刃を飛ばして叩く。
レイと戦うロアデウスの者が「ちきしょう!」と怒りロアデウスの更なる機能を引き出す。
レイの攻撃を全身で受けて吸収し始めた。
レイは
「攻撃を吸収するのか、でも」
と、近接攻撃に変える。
ギアのセイントグリッドで迫りエネルギーの塊を握って打撃を与える。
ある程度の戦う心得があるなら防御で腕を組む筈だが、それをロアデウスの者はしなかった。
それで分かった。
素人レベルの戦闘能力しかない。
レイは隙を逃がさない。
セイントグリッドのエネルギーを握った拳は強大な威力があり、それを何発も叩き込む。
ロアデウスの者は吹き飛びコンクリートの壁に衝突して、崩れる破片に埋まる。
レイは察する。
このロアデウスの一団は、ロアデウスの機能だけに頼った愚か者だ。
どんなに素晴らしい装備を持っていても、それを生かす能力がない限りムダだ。
レイが攻撃したロアデウスの者が
「うあああああ! ちきしょう!」
と、怒り狂いロアデウスのリミッターを外してしまった。
ロアデウスの鎧は暴走して、触手をデタラメな方向に伸ばして周囲にある、あらゆる物質を吸収し始め、歪に身体が膨れる。
「マズい!」とレイは直感し探査で知ったロアデウスのコアを打ち抜こうとしたが、暴走するロアデウスの頭上から強大な圧力が叩き込まれて、暴走するロアデウスを地面に押さえつけた。
「ナトゥムラさん! ティリオ! 今だ!」
レイの後ろから光の速度で飛び出す二名が両手に握る黄金の槍を暴走するロアデウスへ突き刺すと、二名が刺した槍の模様が明滅し暴走するロアデウスの異常を押さえつけて、ロアデウスの暴走が止まると同時に、ロアデウスの装備が外れて男が現れた。
レイが後ろを振り向くと、光の幾何学模様の円陣に包まれるディオスがいて、ディオスが魔法という力を放っている姿があった。
レイが驚きで
「でぃ、ディオスさん!」
ディオスが魔法の円陣を解除して近づき
「レイくんか、どうしてここに?」
驚きを向け合う二人、だが
「父さん!」
と、ティリオが呼びかけた先には、暴走を始めて巨大化する三つのロアデウスが見えた。
ディオスが
「とにかく、アレの対処を先にする。レイくん、手伝ってくれ」
レイは肯き
「もちろんです」
そして、ディオス達も加わって、速やかにロアデウスの一団を取り押さえる事が出来た。
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次回、盾のイージス 中編 捜索