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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
幽玄の王 ドミネーター編
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幽玄の王 第16話 剣のグラファラス 後編

次話を読んでいただきありがとうございます。

姿を現した剣のグラファラス、その戦いは?


 剣のグラファラスの剣舞は凄まじい。

 それは、まるで芸術の域だ。


 花弁のように残像を残す剣舞。

 それにレイは為す術がない。


「ならば!」

と、レイはレッドミカエルになって超音速で…


 グラファラスの鎧の瞳が笑みで曲がり

「その程度…」

 グラファラスが瞬時に同じ超音速となって、レッドミカエルのレイに追いつきレイの感覚で終えないレベルの百にもなった剣の突きに襲われる。


 レイは下がり、ラーオロスに変身したが


「襲い」とグラファラスが一閃を背中から浴びせて、ラーオロスのレイは剣の広間に叩き付けられた。


「がは!」

 切られたダメージはない。剣撃を受けた衝撃が内部にいるレイを襲う。


 倒れるラーオロスのレイの足下にグラファラスが立ち止まる。

「斬りつけないハンデを与えているんだ。もう少し粘ってくれよ」


 レイは力で圧す事を考えて

「おおおおおお!」

 ラーオロスの最大の力、地の果てまで突き破る巨大な光の柱を立て、グラファラスへ攻撃する。

 だが…


「やれやれ、子供の駄々っ子と同じだ」

 その攻撃の全てをグラファラスは回避して、振り下ろし続けられる光の柱を走ってレイに迫ると、光の速度を超えた九つの斬撃をレイに浴びせる。


 レイは全身を…両肩、両腕、胸部、両足のモモ、両足のスネを打ち付ける九つの斬撃を浴びて吹き飛び、剣の広間の石柱に埋まった。


 ダメージを受けるレイは痛感する。

 桁が違う。お互いに無限にエネルギーや力を生じる事が出来る。能力的には対等な筈だ。なのに…全くレイの攻撃が通じない。


 グラファラスが石柱に埋まるレイに近づき

「目覚めた王の力、ドッラークレス(超龍)を使って、この剣の広間を破壊すれば…私の力の一端は持って行ける。それで終わりでも構わないぞ」


 つまり、要するに…グラファラスに勝つ事は出来ないが…力は持って行けるという事だ。

 勝負には負けるが、力は得られる。


 グラファラスが石柱に埋まるレイを見つめて

「あの時、剣の世界を破壊した君は、王の力を得る権利を得た。だから私に勝てなくても…この剣の世界の力は得られる。それでよしだ」


 石柱に埋まるレイが

「じゃあ、その剣の世界の力を得れば…母さんは…助けられるんですか?」


 グラファラスがレイの視線を見つめて、レイの記憶を見つめる。

 レイの母親は、Z級のダンジョン災害で、父を失い、母をクリスタル症にさせられて…


 グラファラスが溜息交じりで

「なるほど、ロードであるジャバラスを倒してクリスタル症の母親を救いたいか…」


 レイが石柱から抜けてその場に膝を付けて

「剣の世界の力を得れば…できますか?」


 グラファラスの鎧の向こうにある光る目が苦しそうに曲がって

「残念だが、できない。君なら他のドミネーターに遭遇して、そのドミネーター達の世界を得れば、相当に強い…我々と同程度までのレベルには来られるだろう。その程度では…ロードに…勝てない」


 レイが俯く


 グラファラスが

「それでも、相当な領域だ。ソルジャーの最高位で、圧倒的に君は突き抜けるだろう。そして、今、無事だった者達を生きている間まで守れる力はある」


 レイの気配が静かになる。


 グラファラスが

「君は良くやった。ここまでは誰も来られなかった。母親の事は残念かもしれないが…だが…」

 グラファラスがためらい気味に

「この世には、絶対に出来ない事がある。それを知るという事は、成長するという事なんだよ」

 

 グラファラスの口調は攻撃的でもない、かといって嘲笑っている訳でもない。

 説得するように、説法を説く仏のように…大事な事を教えようとしている。


 グラファラスが告げる。

「この世には、変えられない事がたくさんある。変えられない出来事より、今、自分ができる事に集中する。それが一番大事なんだよ」


 グラファラスの口調からグラファラスも苦悩して来た感じがレイに伝わる。

 グラファラスもグラファラスなりに…悩み苦しんでいたのだろう。

 グラファラスが悪鬼のような存在だったら、グラファラスの行いによって犠牲者が出ていた筈だ。だが、そんな報告は一度も聞いた事がない。


 レイは項垂れたままだ。


 それを静かにグラファラスは見つめる。

 焦らせる必要はない。レイはそれを理解できる力を持っているのをグラファラスは記憶を見つめた時に分かっている。


 レイは

「オレは、オレは…」

 受け入れて諦めよう、ここまで出来れば…十分だろう、と…

 脳裏に父親の願いが過る。

 母さんを、アスカとスイを…頼んだぞ…。

 レイは顔を上げる。

 その目は、光に満ちていた。

「やっぱり、諦めたくない」


 その強いにグラファラスが押され下がる。

 意思の強さで負けた。

「ははは…なるほど…」


 ウオオオオオオオ!

 レイが雄叫び全力で意思を燃やす。


 グラファラスが構えて

「では! 参る」

と、グラファラスの万にも及ぶ剣撃が飛ぶ。

 壁のような剣の攻撃がレイに向かってくる。


 それにレイは突進する。

 レイのギアが変化する。赤いナイトレイドから黒を貴重としたギアに、セイントグリッドとは逆のギアだ。レイの新たなギア、ヴェイル。

 

 ヴェイルのレイに、グラファラスの万の剣舞が襲いかかる。


 剣の津波をヴェイルのレイは受け止めた。

 その衝撃は凄まじい。一撃一撃が意識を刈り取る程の威力だが、レイは止まらない。


 津波のような剣撃を浴び続けてレイは、グラファラスを掴んだ。

 グラファラスは驚愕するも嬉しかった。

 無限の力を持つ者同士のぶつかり合いは、どちらかの意思が負けた方が勝ちだ。

 レイの一撃、たった一つの拳がグラファラスを捉えて鎧の頭部へダメージを刻む。

 鎧の身体を持つグラファラスが頭部から砕けて行く。


「ははは」とグラファラスが笑う。

 勝敗は決した。

 レイの諦めない気持ちが、無限の力を引き出す王の力、メビウス・リアクターから更なる神化を引き出し、ゾディファール・セフィールがその意識の輝きを更に強めた。


 鎧の人のグラファラスが砕けると、そのドミネーターとしての本体が露呈する。

 膨大な光と共に全長が十キロの超龍、剣の超龍が出現する。

 頭部と背中、腕、足に無数の剣を伸ばすグラファラスの超龍が出現した。


 それにレイは、同じ自分の超龍を発動させる。

 白光と輝くレイの超龍と、剣を全身に伸ばすグラファラスの超龍が、対峙する。


 レイの超龍が、グラファラスの超龍へ攻撃する。

 光を爆発させてグラファラスの超龍へ特攻するレイの超龍。


 それをグラファラスの超龍は受けて粉々になり、レイの超龍の中へ消えて行く。

 あの剣で戦った時に勝負は決まっていたのだ。


 潔くグラファラスは負けを認めて、レイの中へ取り込まれた。

 レイは、剣のグラファラスを取り込むのであった。


 そして、レイは最初に入った場所に戻ってきた。

 そして…

「レイくん…」

と、目の前にミンがいた。


「あ…」とレイは青ざめた。

 

 ミンに見られていた。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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