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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
アニエス事変
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第103話 占い師ユエの予言

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


情報を求めて、地元で長く有名な占い師ユエの所へ来ると、そこで、とんでもない占いがディオスに降りかかる。


 ディオスはユエの占いの館へ来る。

 一軒家の庭が綺麗なそこは、普通の民家の佇まいの一部屋を占いの部屋にしていた。

 ディオスは来て戸惑った。

 普通の家の門構え、まあ…中華風だが。

 そこの玄関から上がって獣人の孫娘が、占いをしている祖母の部屋で案内した。


 そうか…ちゃんとした店ではなく、所謂、家庭的な感じでやる商売。

 カウンセラーの様な感じかなぁ…

 ディオスは思う。


 ユエの占いの部屋に入る。

 部屋は、色んな飾り品があって派手でも無く簡素でもない。

 丁度良い。

 六人という大人数なので、イスはご高齢のイルドラに譲られる。

 

 ユエはシュトリを見て

「おや…シュト坊じゃないか…懐かしいねぇ…」


 ディオスはシュトリを見て

「知り合いですか?」


 シュトリは微笑み

「ええ…祖母が…色々と…」


 ユエは微笑みながら

「嫌な事があったけど…シュト坊に会えたし、帳消しかな」

 ユエはイスに座ったイルドラを見て

「アンタ…王様かい」


 イルドラがハッとして

「ワシを知っているのか?」


「いいや、世間に疎くてねぇ…。でも、王様っていう顔をアンタはしているよ。王様になるヤツは、皆…情に対する懐が深いヤツが多い。民が一番大事だから、どうしても、そういう気持ちが深いヤツがなりやすい。それがないヤツが王様になっても、長続きしないさ」


 それをディオスは聞いてフッと笑う。

  確かに…ロマリア皇帝ライドルも、フランドイル王ヴィルヘルムも、ソフィアも、そんな所がある。

 ライドルやイルドラも、自分の子供以外に沢山、養子にしている。

 アインデウスだって、子供や自国の民に甘い所がある。

 成る程…。


 笑んでいるディオスに、ユエが

「おや…アンタ…アタシが言った事に憶えでもあるのかい?」


 ディオスは肯き

「ええ…懐や情が深い分、怒ると超怖いですけどね」


 ユエはそれを聞いて

「はははははは」

 楽しげに笑う。


 イルドラが笑み

「まあ、今は引退した身でなぁ…。後進の為に、色んな国を回って地固めをしている所さ」


 ユエが

「気をつけなよ…アンタみたいに懐が深い男は、色んな所で女を引きつける。女は分かるんだよ。愛情が強くて大きな男だって。だから…そこの赤髪坊主」


 ヴァハは自分を指さし

「え、オレ?」


「そう、アンタ、モテたいスケベ男だろう。この人と、そこの黒髪の魔導士の男を見習いな」


 イルドラは笑む、黒髪の魔導士…ディオスを言ったのだ。


 ディオスはそれを聞いて「フゥ…」と溜息を漏らし

 これ以上、嫁さんを貰う予定はない。

 そう思っていると、ユエが占いのカードを取り出し

「何を占って欲しいんだい」


 イルドラが

「この星麗の未来だ」


 ユエはそれを聞いて笑み

「やっぱり、王様をやっていた男は違うわ」


 ユエはカードを切る。

 百八枚の意味があるカードを切りながら、綺麗に輪にしてイルドラの前に置いて

「好きなモノを選んで、前に置きな」


 イルドラは、一枚を取って、自分の目の前に置き


「捲ってみな」とユエが告げる。


 イルドラは捲ると、女神が天秤を持っているカードが出た。


 ユエがそれを見て

「どうやら…裁きを下す時が来るみたいだね」


 イルドラはそれを聞いて

「成る程…」

 つまり、これから起こる事に、裁きを自分が下すという暗示だ。

 確実に何かが起こるという事だ。


 ディオスが

「オレも占って貰っていいか?」


 ユエはカードを回収して切り

「ああ…いいさ」


 ユエはカードに魔力を込めると、カードは舞い上がって自分達を包む。

「好きなモノを選びな」


 ディオスの占うのは、この先、どのように自分達が動くか?という事だ。

 何気なく、ディオスは

「アレで」

と、指さすとそのカードがテーブルに置かれ、部屋を覆っていたカードは、ユエの前に戻る。


 ディオスは選んだカードを捲ると…そこには不思議な柄があった。


 黄金の翼を持つ馬が傅き、その頭を受ける人物が、片腕を掲げてそこから黄金の光が放たれている。

「なんだコレ?」

 ディオスは首を傾げた。


 さっきの女神の天秤は分かり易かったのに…意味が理解出来ない。

 

 ユエはそのカードを見て度肝を抜かれた。

「そんなバカな…」


 ユエの驚く反応に、ディオスは

 うわぁ…なんかヤバいカードを引いたか?


 イルドラが、そのカードを見て

「これは…もしかして、聖帝のカード」


 ユエはディオスが引いたカードを戻して、また切った後、イルドラと同じく輪にしてテーブルに置いて

「もう一回引いておくれ」


「ああ…うん」

 ディオスは戸惑いつつ、真ん中の輪のカードを引いて置いた。

 やっぱり、良くないカードだったのかなぁ…

と、思いつつ引いたカードを捲ると、またしても同じく聖帝のカードを引いた。

「げ、二連続かよ」


 全員の視線がディオスに集中する。


 ディオスは

 ヤバ――― そんなにヤバいカードを二連続も引いたのかよ!

 内心で青ざめていると


 ユエが

「このカードは…数十年とやってきたけど、誰一人して引いた事がないカードだよ」


 ディオスは内心で

 つまり、大凶の大凶を引いたって事?


 ユエが

「他の同じカードを使う連中でも、このカードを引いたヤツなんていない。イカサマして、ワザと引かせた次の日には、その客と占い師が死んでいたっていうとんでもないカードだ」


 ますますそれを聞いてディオスは青ざめ

 どうしよう…

と、思っている。


 ユエは

「アタシはイカサマをした事なんて一度もない。これは、正真正銘、アンタが持っている力だ。アンタは…聖帝だ」


「何? 聖帝って?」

と、ディオスは引き気味に尋ねる。


 ナトゥムラが

「お前、聖帝を知らないのか?」


 ヴァンスボルトが

「今から五千年ほど前、この世界に広がった人々は、各地で生活を始めたが…その地に大量にいる魔物に悩まされていた。そんな時、一人の人物が立ち上がった。凄まじい魔力と奇跡と言われる魔法技で、魔物達を討伐し、人々を纏め上げ今の王国達の礎を築いた」


 リュートが

「その者の元へ、今の王国の王の祖先達が集結した時に、天より、黄金に輝く一角の翼馬、天麒馬が現れた。その天麒馬が踏みしめた大地は黄金に輝き、黄金の草を生やし、大地を豊穣にしていく。天麒馬が、その者の前に来た次に、その者に頭を下げ傅いた」


 イルドラが

「傅いた天麒馬にその者が触れた瞬間、天麒馬が黄金の光の風に変わって、その者の中へ入った。その者の右腕には、聖なる証、聖印が刻まれた。聖印を持つその者は、王の始祖達と共に、大地の魔物達と戦い、遂に大地を平静させた。聖印の者、聖帝と呼ばれ、この世界にあまねく光をもたらした」


 ナトゥムラが

「聖帝には子供達がいた。その子供達は、王の始祖達に貰われ、始祖達の子供と交わり、その子孫がこの大地を治める権能を持つと…」


 ディオスは自分が教えられた知識を総動員させて、その聖帝に関する事を探すも、全く思い当たらない。

「本当にそんな歴史があったの?」


 ヴァンスボルトが

「五千年前の歴史には、大きな混乱が多すぎたので、詳しくは乗っていないのが現状。王国や国家の成り立ちには、冷静な歴史的な事実が必要だが…。聖帝に関しては信じられない事実が多すぎて、正式に歴史として扱われていない事がある」


 ナトゥムラが

「ディヴァスってヤツ、分かるか?」


 ディオスは上を向いて

「ディヴァス…ディヴァス…。あ、五千年前に国々の間を取り持ったっていうヤツだよね」

 日本でいうなら坂本龍馬みたいな人物だ。


 ナトゥムラが腕を組み

「歴史には、資料として残っている国々を取り持ったっていう事しか、歴史の教科書には載っていない。だが…そのディヴァスが、聖帝っていう話は有名で、各地に伝説が残っている。まあ、後々の国家の運営を考えた場合、そんな凄いヤツがいたら、国家が纏まらないから、そういう伝説じみた話は、闇の彼方にされたが…。今でもアーリシア、ユグラシア、アフーリア、アンメリカ、アルスートリの各大陸にはその聖帝伝説が残っている」


 ヴァハが

「まことしやかは知らないが、二千年前からある大きな三大宗教の、シューティア、レスラム、フツ教の開祖、三人も同じ聖帝の聖印を持っていたっていう話があるぜ」


 ディオスはそれを聞いて頭が痛くなった。

「そんな話ではなく、今後の事を占いたいですよ」

 何が伝説的人物だ。

 カードだって偶々、運が良かったから二連続引いたんだ!

 ディオスの中で否定の嵐が渦巻いているが、ディオス以外の五人は、その聖帝のカードを引いた事に不思議と納得している。

 アーリシアを四度も絶望に落としたヴァシロウスを倒し、様々な超絶魔法技で問題を解決、分裂していた国々を纏めてあげている。


 ナトゥムラが

「アンタ…コイツの正体を知っているのか?」

と、ディオスを指さすと


 ユエはフッと笑み

「さっきも言ったろう。アタシは世間に疎いんだ。知るわけもない」

 ユエはディオスが引いた聖帝のカードを掲げ

「アンタはこの力がある。大丈夫さ、なんとかなる」


 ディオスは、根拠ない事を言われて

 占い嫌い

と思ってしまった。


 イルドラが金貨の入った皮袋を二つ置いて

「こっちは占い料。そして、こっちは情報を売って欲しい」


 ユエは鋭い顔をして

「客の情報は絶対に売らないよ」


 イルドラが

「そういう事ではない。ここ最近、どういう事が悩みが多くて占いとなっているか知りたい。基本的な恋愛、仕事、家族以外でな」


 ユエは視線を横にした次に、ディオスを見て

「まあ、面白い占いを見せてくれた礼だ。妙な連中、何だろう…考えが固くなった若造達が、大きな事をするから、それの占いを知りたいとして、来ていた。結果はボチボチだったけどね」


 ヴァンスボルトが

「時期的な事で何か?」


 ユエは首を傾げながら

「一ヶ月前だったか…そのぐらいに良く来ていて、日付としても今くらいを聞いていたわ」


 それを聞いてイルドラは肯き

「そうか、ありがとう。迷惑を掛けたな」

 席を立ち、占いの部屋から出て行った。




 ユエの家から出たディオス達は、ディオスが

「警戒レベルを上げた方がいいですね」


「うむ」とイルドラは頷いた。


 シュトリは不安な顔をしていると、そこへナトゥムラが

「大丈夫だ、聖帝様がついているから」

とディオスを指さす。


 ディオスはそれにムッとして

「おれは、ディオス・グレンテルって名前があるんです」


「ははははは」とナトゥムラは、ちゃかして笑った。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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