幽玄の王 第12話 最強の力
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レイは、ベイルスと戦う事になり…
レイは、アリの人であるベイルスに運ばれて訓練の島に来る。
そこには生物はいない。荒れ地で中心に山があり、その山は大きな空洞の洞窟が見える。
アリの人のベイルスの後ろをギアで飛ぶレイ。
ベイルスが着地して、レイも同じく。
ベイルスが対面になりレイに
「ここには、生物も建物も何もない。戦闘訓練にはもってこいだ。だから…全力で来なさい」
レイは、少しためらうもギアをセイントグリッドに変えて
「では…」
と、構える。
三メートルのアリ人のベイルス。
白と金のギアを装備するレイ。
その身長差は同じだ。
レイが向かうのを立ち止まっていると、ベイルスが消えた。
「え?」
と、レイが戸惑った瞬間、ベイルスが目の前に来て甲殻の拳でセイントグリッドのレイを殴った。
その一撃だけで周囲に粉塵が飛び、地面が沈んだ。
ベイルス、アリの人の中でも最強の力を持っている。
そのレベルは、ソルジャーでいうならS級以上、X級だ。
セイントグリッドのレイが吹き飛ぶも体制を直して着地する。
「な…危なかった」
レイは背筋が冷たくなる。
セイントグリッドの力が無ければ一撃で沈んでいた。
ベイルスは、今の一撃を耐えて体制を直した事で理解した。
「なるほど、それ程の力はあるという事か」
と、告げて消えた。
一瞬でベイルスは、セイントグリッドのレイの前に来ると豪速で拳を繰り出す。
セイントグリッドのレイは、同じ速度で拳を繰り出す。
ベイルスとセイントグリッド、その力は互角で拮抗した殴り合いをする。
拳の速度は軽く音速を飛び越えて、周囲に衝撃波の暴威を振りまき、放たれる拳の威力は地面を削る。
凄まじい力の殴り合い。
レイはメビウス・リアクターを使う。
自分が発生させるエネルギーを無限に増幅して、ベイルスの拳を殴り返す。
そして、ベイルスの胸部を捉えて連打を与える。
それにベイルスは腕を組んで防御、ベイルスは後方へ飛び、数百メートル後ろの中心の山へ消える。
レイは分かっている。殴り返した感触から、防御されてダメージが入っていない。
ベイルスが消えた場所から、超音速の何かが特攻する。
それはベイルスだ。音速の数十倍もある速度でレイめがけて走る。
レイは、それを回避できなった。
数キロもある島全体を包み混む程の威力を浴びたレイは空に上げられる。
それに付いていくベイルス。
レイは更にモードを変化させるメビウス・リアクターと共にゾディファール・セフィールへもアクセス、進化を始める。
レイの両手が翼の光を放ち同じ速度の特攻をベイルスにぶつける。
島の周囲で、ベイルスとレイの衝突が爆発して何度も何度も空を轟かせる。
ベイルスは笑み
「ほう、ここまでいけるのか」
と、ベイルスが別形態へ変化する。
アリの人の形態から翼ではなく、背中にロケットのような噴射口を持ち甲殻の全身が鋭く刃の如く変化する。
それは更なる速度を求めた結果だ。
超音速を超えて、亜光速まで達する形態。
ベイルスの姿が残影となり残る。
レイとぶつかるその威力は、もう…一撃で都市を壊滅できる程だ。
その一撃をレイは受けるも、更に進化を呼び起こす。
それは全身が赤く輝き、背中から光の翼が伸びる。
まさに赤き鎧天使となったセイントグリッド、レッドミカエル形態。
亜光速のベイルスに追いつき、両手から光の攻撃を飛ばす。
それにベイルスが押される。
「ほう…」
ベイルスが止まる。
それにレイもレッドミカエルを止める。
ベイルスが
「本来なら、ここまで対応したのだから終わりだが…ここから先は、君で二人目だ」
ベイルスに光が走る。
ベイルスの全身を覆うアリの甲殻が砕けて、光のそれが出現する。
美しい光の鳥、ベイルスの最終形態ブリッツレイ。
それは光だった。
光速で動くベイルス。
光速による無限質量加速がレイのレッドミカエルとぶつかると、核弾頭が爆発した威力を発揮した。
それにレイのレッドミカエルが耐えると、今度も更なる進化を起こす。
肩から背中までの噴射口の翼を持つ白光のギアへ変貌、ラーオロスとなり、光速で動くベイルスのブリッツレイとぶつかる。
レイのラーオロスと、ベイルスのブリッツレイ。
同じ光速での衝突。
それは何度も何度も空に核爆発級の衝撃を起こす。
ラーオロスとブリッツレイのぶつかり合い、ブリッツレイの方が…
ジワジワとラーオロスがブリッツレイに押され始める。
レイは困惑する。同じ光速で動いているのに追いつけない。
そこへブリッツレイのベイルスが
「光速不変の法則。光速はどんな状態であろうとも、一定、それはお互いが光速であろうともだ。同じ秒速三十万キロ。こうして向かい合っても、離れていても、絶対にお互いの速度は変わらない」
ブリッツレイは光そのモノ、故に加速という紛いモノのラーオロスでは一生、追いつけない。
「なら…」とレイは考えて
「追いつけないなら引き寄せるまで!」
と、ラーオロスを新たに変化させる。
空中に止まって、ラーオロスの背中にある翼を広げてエネルギーを収束加速させる。
ラーオロスの翼に包まれて加速し収束するエネルギーが空間を曲げる。
光は空間を進むモノ。空間を曲げられて引き寄せられるブリッツレイのベイルス。
「ほう…そうなるか…」
止まったブリッツレイへ、ラーオロスが
「うおおおおおお!」
攻撃の一撃を放つ。
ラーオロスの右手から巨大な光の柱が伸びて、ブリッツレイを包み混んだ。
ラーオロスが発射し巨大な光の柱は惑星の空を突き抜けて宇宙まで伸びる。
レイは、ブリッツレイを倒してしまった事に困惑して
「しまった!」
と、力を止めて島に降り立つと発射した巨大な光の柱の残像からブリッツレイが飛び出して、降り立ったレイの前に着地する。
ブリッツレイが二つに裂けて、そこからアリ人のベイルスが出てくる。
レイもギアを解除して
「大丈夫でしたか?」
ベイルスが微笑みながら
「動きを止めたまでは良かったが…光で攻撃なんて、光だった自分には無意味だぞ。だが…十分だろう」
レイは肯き
「その…ありがとうございます」
自分の力が更に飛躍した。
ベイルスはレイに
「君はクリスタル症になった母親を助けたいと言っていたが、五年前にクリスタル症をもたらしたアイツは、今の自分の全力でも勝てず。無様に逃げてしまった」
レイは静かになり
「それでも…自分は、オレは…」
ベイルスがレイの肩を持ち
「否定はしない。だが、ムリはするなよ」
レイは力強く肯き
「はい、ありがとうございます」
と、再度、お礼を告げた。
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次回、選択の道