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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
幽玄の王 はじまり
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幽玄の王 第11話 アリの楽園

次話を読んでいただきありがとうございます。

アリの楽園へ情報を求めに来たレイは、そこの女王と対話して…


 アリの楽園、それはレイの住んでいる惑星の近くにある惑星のアミューズメントパークだ。

 アリの人とされる昆虫人が住んでいる惑星で、アリという昆虫種が様々な種に分別して広がり、アリの世界を構築している惑星で有名なアミューズメントパークでもある。


 レイは小宮と共にアリの楽園、アント・パラダイスの宇宙港へ到着すると

「ようこそ! アント・パラダイスへ!」

と、昆虫と人のハーフである観光お出迎え娘達が花束を渡してくれる。


 因みにアント・パラダイスは、ちょっとした常夏な惑星なので、過ごしやすい。

 そして、一部のマニアな男性達に人気で、かわいいアリの人の娘達を求めて入植し、アリの人と人類のハーフが爆発的に増えた。

 アント・パラダイスの都市部を支えているのは、アリの人とのハーフだ。


 アリの人のハーフの娘は、カワイイといえばカワイイ

 人の顔にアリ独特の甲殻な身体は手足が細く、スタイルがいい。

 そういう感じの女性が好きなら…。

 まあ、レイにその気はないが…。


 小宮はレイと共にアント・パラダイスの都市を歩くと、小さな飲み屋に来る。

 店に入ると小宮が

「おーい。ベイルス、いるか?」


 飲み屋の奥で掃除をしているアリ娘が

「ああ…ベイルス兄さんなら、二階に」


「なんだ、騒々しい」

と、階段から三メートル近い長身のアリ人が降りて来る。

 それは、人とのハーフではない。完全に昆虫が人型となったアリ人で、レイが一瞬、背筋が冷たくなる。


 ベイルスがアリの甲殻眼球を申し訳なさそうにして

「すまん。普段は抑えているのだが…」


 小宮が

「コイツはオレと同じソルジャーだから、分かるんだよ」


 ベイルスがレイに近づき

「初めまして、ベイルスです。何でも屋をやっています」


 小宮が

「コイツは、アント・パラダイスで唯一生まれた男性で、このアント・パラダイスでの最終兵器さ」


 レイが驚き

「え? 確か…アリの人はメスしか生まれないから…外から男性を補充するしか…」


 ベイルスが

「私は、そういうアント達の統括や、防衛を担って生まれた存在だ」


 レイはベイルスを見上げる。

 殺気はないが、奥深くに巨大な力を感じる。


 小宮が

「ベイルス、女王に会いたいんだけど」


 ベイルスが

「母上か…大丈夫だろう。案内する」


 こうしてベイルスの案内で、レイと小宮は巨大な山へ向かい、その中腹にある巨大な洞窟の穴から内部へ入ると、そこは象のように巨大なアリ達が蠢いている。


 ベイルスが巨大なアリ達に何かを語りかけると、巨大なアリ達は道を空けて

「こっちだ」とベイルスを先頭に小宮とレイも続く。

 入り組んだ巨大洞窟、所々に文明のような箇所、そして迷路

「あれ? これって…ダンジョンと似ている」

と、レイは漏らす。


 それに小宮が

「その通り、アント・パラダイスの女王は、ダンジョンの主なのさ」


 ベイルスを先頭に奥へ、女王がいる場所へ到着する。

 そこは巨大な洞窟で、壁の全てが結晶で構築され、その中心に全長が100メートルの巨大なアリの女王が鎮座している。


 巨大なアリの女王が小宮とレイに顔を向けて

「ベイルスから聞いたよ。ようこそ…小宮の坊主ちゃん」


 小宮が恥ずかしそうに頭を掻いて

「アンタにそう言われるのは仕方ないぜ。女王様」


 ベイルスが

「母上。小宮が聞きたい事があるらしい」


 小宮がレイから貰ったメモを取り出して

「オレの隣にいるレイだが。ダンジョン崩壊に巻き込まれて力とガーディアンを得てな、そのガーディアンが与えてくれた情報らしい」


 ベイルスは、そのメモを受け取り女王の元へ持って来ると、女王は後ろから巨大な老眼鏡を取り出して

「ベイルス、もうちょっと下がって」


「はい、母上」

と、ベイルスは後退していきちょうど良い場所で止まる。


 女王は、そのメモの文字を読み

「なるほど、なるほど…って事は…」

と、老眼鏡をしまってレイを見つめる。


 レイは全身の中を覗かれている感覚を感じた後。


 女王が

「そうかい、あのホワイト・フェンリルが…アンタに託したのかい」


 レイはハッとして

「もしかして、ダンジョンのマスターの…」


 女王が

「ベイルス、小宮の坊主ちゃん。この子と二人で話がしたい」


 ベイルスは肯き、小宮は肩をすくめて、二人はその場から離れる。


 女王とレイだけになり、女王は前足を組んで頭を乗せてまるで語りかけるお婆さんのような雰囲気を醸し出して

「さて…アンタは…その王の力をどう使うんだい?」


 レイはその問いに

「分かるんですか?」


 女王は、背中の奥の場所からレイが座れるイスを取り出して、レイの後ろに置いて

「座りな」

と、レイを座らせて

「さて、小宮の坊主ちゃんからは…ダンジョンについてどこまで教わっている?」


 レイは

「元、王が作った力で…それが拡散してダンジョンになった…と教習で教わった程度です」


 女王から暖かい気持ちが放たれて

「アタシも、ダンジョンなのさ。ただ、人間に害を与える側をダンジョンと呼び。アタシのような人間と共存する側をガーディアンと呼んでいる。本質は同じなのさ」


 レイは驚かない。ソルジャーをしていると…ダンジョンと人間と共存するガーディアンの違いがない事に自然と気付く。

 そして、教習で得た、元は同じ王の力。


 女王が

「最初はね。ダンジョン側と人間側が争ったよ。それにガーディアン側に回ったアタシ達も人間側と一緒に。でも、月日が流れすぎた。人間に戦って資源を得させて、人間が入る事で放たれる特殊なエネルギーを回収して維持するようになってダンジョンとなり、人側と共存して、アタシ等のようになった側をガーディアンと…」

 女王は哀愁を感じて

「アタシ達を生んでくれた王を殺された事は、憎んださ。でも…憎しみは続かない。時が経てば立つほど、どうでも良くなった。そして、ダンジョンってモノで資源を得る人側と、その人側が放つエネルギー、ギアのエネルギーを回収するダンジョン側で利害が自然と一致して、今に至るってわけさ」


 レイは思っていても口にしなかった事を改めて説明されて、腑には落ちているが…少し悲しい感じがする。結局、大きな歯車の一部になっているソルジャーとダンジョンの関係。悪い訳ではないが…世知辛い…という感じが正しい。


 女王はレイに

「坊主の名は?」


「レイです」とレイは名を告げる。


 女王は優しく母親のように

「アンタは素質があった。王になれるかもしれない素質さ。見た所…王の記憶には侵食されていないようだね」


 レイは、記憶には侵食されていないにハッとして

「は、はい…その寸前で…」


 女王は

「大抵の場合は、王の記憶の侵食で…冷たい感じになるんだけど。アンタは違う。始めてだ」

 

 レイは、ラジャスの時に出会ったジンを思い出す。

 鋭い剣先、魔剣という感じに近いジンが女王の言っている記憶の侵食の影響なのだろう…と。


 女王は続ける。

「アンタの渡された情報の五つの存在、それは…王の力の中でも最も王に近い力だ。ダンジョンのマスター以上の存在、ドミネーターって存在さ。最も王の力で王に近く強大な存在達だ」


 レイは問う

「どうして、そんな情報をボクに?」


 女王はレイを見つめて

「アンタは、レイくんは…王の記憶の侵食を受けなかった。そんな人物がどう…何を選ぶのか…ホワイト・フェンリルは、最も王の傍にいたからね。王を大切に思っていたからこそ憎しみが強かった、でも…時と共に気持ちは変容して、そんな時にアンタが来た」


 レイの中からロウが飛び出して、レイの肩に乗ってレイを見つめる。

「ロウ、君は…何を願って自分の所に来たの?」

 ロウは間違いなくホワイト・フェンリルの意思から生まれたガーディアンだ。

 

 ロウの純粋な眼差しがレイを見つめる。

 まるで、どこまでも見ているよ…というメッセージに感じる。


 女王は告げる。

「レイくん。どうするんだい? 王の力を…何に使うんだい?」


 レイは暫し考える。そして過った事は

「母さんを助けたい。そのドミネーター達を…得れば、クリスタル症になった母さんを…」


 女王が

「五年前、あのZ級のダンジョン、ジャバラスの事かい」


 レイはグッと拳を握り

「オレは、それを倒して…母さんを救いたい」

と、真っ直ぐな瞳を女王に向ける。


 女王は小さく肯き

「なるほど。なら、いずれは…その子が導いてくれるかもね」

と、ガーディアンのロウを見る。


 レイはロウを撫でながら

「いずれって何時ですかね…」


 女王が

「アンタがその資格、力を得た時さね。そうだね…少しだけ手伝うかね」

と、告げた後に

「ベイルス」

と、息子を呼ぶ。


 ベイルスが奥から来て

「母上、話は終わりましたか?」


 女王が

「ベイルス、この子に胸を貸してあげな。話は聞いていただろう」


 ベイルスは無言になる。小宮と共に離れて優れた聴覚を使って会話を聞いていたのがバレている。

「しかし、母上…良いのですか? それは母上が望む事では…」


 アリの女王は暖かい気持ちの波動を放ち

「時ってのは残酷なもんさ。時間と共に気持ちも変わる。見て見ようじゃあないかい。この子が、レイくんが…どういう王になるのかをね」


 ベイルスは肯き

「分かりました」

と、告げた後にレイを見て

「私と戦って貰う。それで、君の力が向上するだろうから」


 レイは戸惑いつつも微笑み

「はい、ありがとうございます」


 ベイルスが肯き

「構わん」


 こうして、レイはベイルスの手ほどきを受ける事になった。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次回、最強の力

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