幽玄の王 第10話 事情聴取
次話を読んでいただきありがとうございます。
ラジャスの事件に関して事情聴取を受けるレイ、そして…ロウを得たダンジョンのマスターが残した情報を追って…
テイア・リー・アースはジンに近づきラジャスの首が入っているバイオ液のケースを見て
「まだ、生きている?」
ジンは淡々と
「死んでいる。意識は完全に消えた」
テイアは残念そうに
「そう…生きていればもっと簡単に脳内を解析して記憶を回収できたんだけどね」
ジンが
「おそらく、コアを破壊された瞬間、死亡するようにされていた。力を与えた者に関するの記憶も消去されている可能性が高いが…殺人を行った部分は、残っている筈だ。それなら十分な証拠になる」
テイアが
「じゃあ、私達のソルジャーをやった証拠も得られる?」
ジンが肯き
「おそらく…」
小宮がテイアとジンに近づき
「お聞きしますが…二人は…シンラ国の…」
テイアがハッとして
「申し遅れました。テイア・リー・アース。シンラ国のソルジャーの纏め役をしています。そちらでは、ルリ・ソン・ルーナと同じ立場になります」
と、敬礼した。
ソンも近づき
「事情の説明をお願いします」
そこへ数名のソルジャーのギア達が駆けつける。
それはルリの部隊だ。
ルリがテイア達を見て
「貴女方が先に対処したのですね」
テイアが「いいえ…」と告げてレイを見つめて
「そちらの部隊の方達がね」
ルリは小宮とソンを見つめて
「ありがとうございます。小宮さん、ソンさん」
そして、ディオスとナトゥムラをチラッと見つめた後、次に
「テイア・リー・アース様。できれば…犯人に関する情報を」
テイアが
「ああ…ちゃんと渡すわ。それに、この犯人は、そっちが知り合いだったみたいだし」
と、小宮とソンを見る。
ルリが
「小宮さん、ソンさん」
小宮が手を上げて
「後で話をする」
ソンも頷く。
こうして、事件は終わった。
◇◇◇◇◇
レイは帰宅する。
帰宅したのは、二日後だった。
遅くなった理由は…レイがラジャスを倒したからだ。
レイは…メチャクチャ検査された。
ラジャスを倒した力、ナイトレイドの所在について聞かれたり、それを展開して検査されたり…その結果は…
「んん…問題ないですね」
と、検査結果をまとめて報告する技術医師が告げる。
「はぁ…」
と、レイはその技術医師を前にして座っている。
医師のデスクで、レイと技術医師は話をして
「アナタのようにダンジョン崩壊に巻き込まれると、普通のソルジャーとは違う特殊なギアを得る方はいます。アナタと同じようになった方も最近いましたし…大丈夫ですね」
と、技術医師は説明する。
レイは肯き「はぁ…」と
技術医師が
「どうしますか? ソルジャーランクの再認定をしますか?」
レイは首を傾げて
「どうしますかねぇ…? 迷っています」
技術医師が
「してもしなくても、困る事はありません。EランクでもBランクまでのダンジョンへは入れますし。それ以上のダンジョンとなると…危険性が高いので、逆に資産家やお偉いさんのご子息なんかは、ワザとE級に落として審査してくれって親御様に頼まれる事があります。それにE級だとマキナや様々な武装の携帯に関して緩いので…ワザとE級にしている方もいるくらいですね」
レイは
「そうですね。このままで…」
技術医師は肯き
「では、E級のまま…という事で…」
ソルジャーとしてE級は、その弱さ故に様々な武装の携帯に関して緩い。
それを欲してワザとE級として欲しい者達は多い。
隠れE級なんてザラで、実際…ソルジャーランクがD級以上になると、もしもの場合の徴兵の義務が加わるので、E級のままの方が便利だったりする。
再認定を受けて、E級以上となるとランクは落とせない。
検査の後、レイは色々と事情聴取された。
ラジャスとの関連性、ラジャスを倒した方法、どこで力を得たのか?
細々と聞かれる。
事情聴取の場所は、刑事の取り調べのような場所ではなく、会議室のような場所で…目の前に三名のギルド協会職員がいて、その三人の真ん中にいる男性の眼光は鋭い。
三人の中で一番偉いのだろう。
事情聴取の前に名刺を渡されて、名前をタケル・ラス・鵜飼とあり、左右の職員から
「鵜飼担当官」と敬語で話し合っていた。
鵜飼担当官は、レイの調書を取り…気付けば丸一日を使っていた。
事情聴取が終わってレイは、やっと終わった…と疲れが襲ってきた。
帰り際に鵜飼担当官が
「もし、何か問題が起こりましたら。名刺の方に…ご連絡ください」
レイは苦笑して
「はい、ありがとうございます」
と、告げて帰宅した。
レイはベッドで横になりながら
「さて、どうしよう…」
と、眠りそうな意識の時に、ガーディアンのロウが出てレイのホホを撫でる。
「そうだ…アレの…事を」
と、レイはロウを得たダンジョンのマスターが残した遺言を思い出して眠る。
翌日、レイは小宮の所にいて
「小宮さん、これについて…何か分かりますか?」
「んん?」と小宮はレイのメモを受け取る。
メモには…
剣のグラファラス
槍のオルフェウス
翼のグルファクシ
盾のイージス
杖のガルガンチュア
と、ある。
レイが
「どこかのダンジョンだと思うのですが…調べても出てこなくて」
小宮が
「どこで、こんな情報を得たんだ?」
レイはロウを取り出して肩に乗せると
「ロウを拾った時に、ロウから流れてきた情報なんです」
小宮が
「なるほど、ダンジョンで得たガーディアンが持っていた情報か…悪いオレは知らないが…詳しいヤツに聞いてみた方がいいな、ツテはある」
レイは目を見開き
「どこですか?」
小宮が笑み
「お前じゃあ会えねぇよ。オレが連れて行ってやる」
レイは頭を下げ
「ありがとうございます。で、どこに?」
小宮が肩をすくめて
「お前だって知っているだろう。アリの楽園さ」
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次回、アリの楽園