幽玄の王 第7話 予感
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レイは再び小宮達と共にダンジョンの攻略へ向かうと…
レイは、小宮達と合流する。
「どうした! レイ!」
と、小宮は声を張る。
レイは後頭部を掻いて
「ちょっと、その…ダンジョンの崩壊に巻き込まれまして…」
小宮がレイに近づき
「体調は? 大丈夫なのか?」
レイが困惑気味に
「その…検査を受けましたが。問題は無かったので…」
小宮が心配げに
「ダンジョンの崩壊に巻き込まれると…身体にダンジョンのエネルギーが流れ込んで変化する。それは善し悪しがあるが…もし、体調に異変があったら直ぐに言うんだぞ」
レイは肯き「はい」と答えた。
そして、小宮達のチームとソン達のチームとレイは合流すると、ミンが
「え? レイくん?」
と、ミンが見上げるようになってしまったレイに驚きを向ける。
他のメンバーも
「ええ? どうしたんだ?」
「なんで、身長が伸びているんだ?」
「体つきも…」
レイは、ダンジョンの崩壊に巻き込まれた事を説明して、ミンが
「ダンジョンが崩壊した時に放たれるエネルギーで、身体に変化が起こるのは聞いたけど…始めて見たわ」
ソンも来て
「レイくん。もし…体調に異変があったら、直ぐに報告する事。いいね」
レイは戸惑い笑みで
「それ、小宮さんにも言われました」
ソンは心配げに
「小宮も私も、何度か…ダンジョンの崩壊の影響によって身体に変化した者を知っている。善し悪しがある。悪い方向へ転がった場合は、直ぐに治療すれば…対処できる。心配をかけないで欲しい」
レイは、本気で心配してくれるソンや小宮をありがたいと感じ
「はい、ありがとうございます」
と、告げるとレイの身体から小さな光の子犬が飛び出した。
光の犬は軽々とレイの肩に乗って周囲を見渡す。
ミンが
「え? レイくん…これは?」
レイが右肩に乗る光の子狼を撫でながら
「崩壊したダンジョンで出会ったんですよ」
ソンが驚きの顔で
「まさか…ガーディアンなのか?」
レイは肯き
「はい。多分…」
ミンが瞳を輝かせて「かわいい」と告げて両手を光の子狼へ向けて
「こっちにおいで」
光の子狼はレイを見ると、レイは頷き、光の子狼はミンの手に乗って抱かれる。
「フワフワして、本当にかわいい!」
と、喜ぶミンが
「レイくん。この子の名前は?」
レイは少し戸惑いつつも、そうだな…子狼だからロウ…で
「ロウって名前です」
ミンが抱き締める光の子狼ガーディアン、ロウに
「ロウくん、よろしくね」
と、ミンはお気に入りのようだ。
ソンが
「ダンジョン崩壊に巻き込まれて、ガーディアンを得るとは…運が良いなぁ」
レイは頬を掻いて
「そうですね。運が…良かったのかも…」
自分が今までにない力を得た事を隠す事にした。
その一団へ
「皆さん」
と、ディオスがナトゥムラと一緒に来て
「今日も、一緒にダンジョンの攻略に同行してもよろしいでしょうか?」
ディオス達も同行してのダンジョン探索が始まった。
◇◇◇◇◇
レイ達が乗る宇宙船が別の惑星の正面に空間転移する。
レイ達の宇宙に張り巡らされた超空間ネットワークを使って、レイ達がいる惑星から遠くのダンジョンがある惑星へ跳躍し目的の惑星へ来た。
そのレイ達が乗る宇宙船が惑星へ降り立とうとすると、近くにレイ達の宇宙船より何倍も巨大な500メートルの宇宙戦艦が近づき、レイ達と共に惑星の大地へ降り立つ。
その巨大な宇宙戦艦には、彼女…XX級のルリ・ソン・ルーナ、ルリがいた。
レイ達が惑星の大地に降り立つと、そこへルリが近づき
「お久しぶりです。小宮さん、ソンさん」
と、挨拶をした。
小宮が手を上げて
「久しいな。ルリ嬢様」
ソンが
「ああ…ルリ姫」
ルリが気恥ずかしそうに
「それ、止めてください。昔みたいにルリで構いません」
小宮とソンは笑みを交わして、小宮が
「本当に久しぶりじゃあねぇか…どうしたんだ?」
ルリが真剣な顔で
「少し、話をしませんか?」
と、遠くの裏手を示す。
それに小宮とソンは同意の肯きをして、ルリと小宮にソンの三人で一団から離れて話をする事になった。
レイは、小宮とソンがXXクラスのソルジャーと知り合いだった事に驚き、ミンが
「レイくん、小宮さんとソンさんがルリさんと知り合いだったのに、驚いたでしょう」
レイは素直に肯き
「はい。どういう繋がりなんですか?」
ミンが
「小宮さんとソンさんは、ルリさんと遠縁の親戚で、小宮さんの弟さんは別の惑星国家でS級のソルジャーとして活躍していて、ソンさんはルリさんに色々とダンジョンの知恵を教えた人でもあるのよ」
レイは、色んなギルドのパーティーを渡り歩いているが、小宮とソンのパーティーの練度の高さには驚かされていた。
その練度の高さは、XXクラスのソルジャーと知り合いであるなら…と納得する。
◇◇◇◇◇
小宮とソンがルリを前に話をする。
小宮が
「どうしたんだ? こんな離れての話って」
ルリが真剣な顔で
「この惑星のダンジョンで…ソルジャーの2チームが全滅した事件が昨日、発生しました」
ソンと小宮は驚き、ソンが
「まさか…この惑星のダンジョンの階級が上がって…」
ルリが厳しい顔で
「全滅したチーム達を調べた結果、ダンジョンの罠やモンスターによる犯行ではない…と判明しました」
小宮とソンが青ざめて、小宮が
「ソルジャー殺しをしているヤツが…」
ルリが
「遺体や、その他の備品に残っているエネルギーから…彼ら彼女達チーム以外のエネルギー、ソルジャーの反応がありました。現在、その残留エネルギーから犯人の特定を急いでいますが…。そのエネルギー反応には色々とノイズが混じっていて…」
小宮が
「ソン、今日は…止めておくか?」
ソンが厳しい顔で
「ルリくん。それを告げると言う事は…」
ルリが
「捜査に協力して頂けるとありがたいです。私達も出て全力で犯人を捜していますが…見つかっていません。まだ、ダンジョン内にいる可能性があります」
と、告げてデータプレートを取り出して
「これに、犯人が放つ特定のエネルギー反応のデータがあります。これに引っかかる人物に遭遇したら…」
小宮が受け取って
「分かったよ。何か分かった場合と…」
ソンが
「こっちは人数がいる。確保できそうだったら確保するさ」
ルリが頭を下げて
「お願いします」
◇◇◇◇◇
二日前、レイに投げ飛ばされて制圧されたラジャスが
「クソ!」
と、道ばたのゴミを蹴る。
「おや…どうしました? 苛立っているようですが?」
と、一人の男性が近づく。
ラジャスが「ああああ!」と苛立った顔を向ける。
男性が微笑みながら
「実は、一人酒をしていて…お相手がいなくて寂しい思いをしているのですよ。おごりますから…どうでしょう? アナタの愚痴でも聞かせて貰えませんか?」
ラジャスが
「高い酒でもいいんだな!」
男性は肯き
「構いませんよ」
ラジャスが
「アンタの名は?」
男性は微笑み
「ミカボシ」
ラジャスが自分を指さして
「オレは、ラジャスだ!」
ミカボシは笑み
「ええ…では、ラジャスさん…行きましょうか…」
と、背を向けて顔を隠す。
ミカボシの顔には、獲物を獲得したハンターのような笑みがあった。
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次回、新たなダンジョン攻略