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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
幽玄の王 はじまり
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幽玄の王 第1話 あらすじ

次話を読んでいただきありがとうございます。

新編、幽玄の王のはじまりです


 レイ・フィリックス・神崎

 ボクの世界の話をしよう。

 昔、昔、ボクの曾祖父、ひいお爺ちゃんくらいの時代に…最強の王様が誕生しました。

 ボク達の世界、宇宙を統治する最強の王様は、自分の力を使って最強の軍団を作ろうとしました。

 でも、それに反対する人達がいました。

 これ以上、王様の力が大きくなれば、王様が間違った時に止められなくなる…と。

 危惧する人達と、王様の間で争いが起こりました。

 そして、王様はアッサリと倒されて、そして…王様が残した最強の軍団を作る力が取り残されてしまい。

 それも、危惧する人達によって破壊されようとしましたが。

 最強の軍団を作り出す力が、自らを守る為に暴走して、ボク達の世界、宇宙へ拡散しました。

 拡散したソレ等が、ダンジョンという領域を構築して、それに入って狩りや採取をする仕事が誕生しました。

 ダンジョンと、ダンジョンを探索し狩猟するソルジャー

 ソルジャーはダンジョンで戦える素質、力を持ち、それをギアと呼びます。


 ボクはソルジャーをしています。

 ボクのギアは…無限にアイテムを収納できる無限収納という荷物運搬系で、戦う為のソルジャーの資質はありませんでした。

 それでも、ボクは…家族を支える為に…


 

 とある惑星、ダンジョンの上空から一隻の宇宙船が下りて来る。

 その船にレイ・フィリックス・神崎であるレイが乗っている。

 レイの年代は二十歳、高校を卒業して大学に行かずに、ソルジャーになった。


 レイは、自分のギアを展開する。

 レイの周囲に光が集まってエネルギーの装甲を構築する。

 175のレイより一回り大きなエネルギー装甲の鎧、それがギアだ。

 ダンジョンを探索するにはソルジャーとしての資質が必要だ。その資質とはギアだ。

 ギアを構築するエネルギーを発生させて物体として装備する。

 ギアを持つ者、それがソルジャーだ。


 そして、ソルジャーにはランクがある。

 S、A、B、C、D、E

 Sが最上位で、Eが一番底辺だ。

 大抵のソルジャーは、Cランク以下が70%

 Bが20%、Aが10%、最上位のSは12人しかいない。

 Sランクを超越した者もいる、それはレイのようなEランクや一般人には関係ない。社会のトップクラスしか関わる事が許されない。


 レイが乗っている宇宙船の隣に、何倍も巨大な500メートルの宇宙戦艦が通り過ぎる。


 レイが甲板に立っていると、一人の女性が巨大宇宙戦艦の船首甲板にいるのが見えた。

 金髪で麗しい女性、誰しもが彼女の名を知っている。

 Sランクを超えたXXクラス、国家レベルのソルジャー、ルリ・ソン・ルーナ

 彼女は、血筋さえも最上位だ。

 彼女の主筋は、この世界で最強だった存在、ダンジョンを作り出した王の直系。

 彼女は、その王の直系ゆえに、王の力を生まれながらに宿している。


 レイが彼女が乗った宇宙戦艦を見ていると、その肩に腕を掛ける男が

「よう、最弱の荷物持ち!」

と、バカにしたような顔を向ける。

 レイは離れようとするが、男はレイを掴み

「おいおい、つれない事をするなよ。荷物を運ぶだけしか能が無い無能ソルジャー」


 レイは男を振り払おうとするが、払えない。

 男はCランクのソルジャーで、力が強い。


 男、ラジャスはレイをバカにするように

「大変だよなぁ…最弱のEランクの荷物持ちじゃあ、お先、真っ暗だもんなぁ。だってよ…ソルジャーランクは永遠に変わらないし、生涯…弱者のままなんだから」


 レイが無視して、何とか離れようとするが、ラジャスはレイを掴み離さないで

「オレが面倒を見てやろうか? お前の妹や姉貴をオレに差し出すなら…考えてやってもいいぜ」


 レイがラジャスを睨む。


 ラジャスが苛立った顔をして

「あああ! オレは慈悲で言ってやっているんだぜ」


「何、している!」

と、二人の後ろから声が


 ラジャスがレイを離して

「これは、小宮さん」


 壮年の男性である小宮と、その部下達四人が、ラジャスを凝視している。


 ラジャスが焦った顔で

「小宮さん、これは…ちょっと話をしていただけで」


 小宮がラジャスの襟を掴み

「話は全部、聞いているんだよ! お前、船を降りろ!」


 ラジャスが焦り

「いや、こんなダンジョンの上で降ろされても」


 小宮がラジャスを睨み

「お前みたいな、トラブルを起こす輩なんて、オレ達には必要ないんだよ!Cランクのお前なら、今、降りても近くの都市まで行って帰れるだろうが!」


 ラジャスはヘコヘコして

「小宮さん、すいません。でも、これだけなんで」


 小宮がラジャスを睨み

「謝る相手が違うだろうが! もういい」

と、ラジャスを小宮は引っ張って行く。


 解放されたレイがホッと安心すると、小宮の部下達の一人で女性のミンが来て

「レイくん。ごめんね…」


 レイは微笑みミンへ

「いいですよ」


 他の部下の男性達も

「本当、アイツには頭が痛かったよ。抜けてくれて正解だわ」

「そうそう」

「ああ…いうヤツは独断行動して、みんなに迷惑かけているなんて分からないし、それが後々に…」


 レイが四人に頭を下げて

「助けていただいてありがとうございます」


 ミンがレイの手を取って微笑み

「私達、仲間だもん。ランクなんて関係ない。レイくんが多くのアイテムを抱えてくれるから、それを受け取って私達が戦えるんだもの」


 部下の男性が

「そうだぜ。戦いは兵糧、物資が基本。それを疎かにすると破綻する」


 ◇◇◇◇◇


 ラジャスは、小宮に追い出された。宇宙船にある小型船によって出された後…

「クソ…あの最弱が悪いんだ!」

 自分が原因であるのを分からない愚か者だ。


 宇宙船の下部、ラジャスを追い出した小宮の隣に、同じ壮年の男性ソンが来て

「追い出したのか…」


 小宮が

「レイに度々、ちょっかいを出して、更に…周囲にも悪影響を与えていた。潮時さ」


 ソンが溜息交じりで

「ラジャスには、私の部下達も損害を受けたからな、適切な判断だ」


 小宮が

「だが、ああ…いうタイプは自分の原因を他人に責任転嫁するバカだ。もしかしたら、ダンジョンで…」


 ソンが肯き

「その時は、その時だ。ダンジョンで捕まえて…後は、警察だ」


 小宮が

「ランクがCランク以上になると、増長する輩も多くなる。どうにか…成らんのかねぇ…」


 ソンが思い出すように見上げて

「かつて、最強の王が残した力がダンジョンを生み出し拡散させた。それを攻略する力を持つソルジャーは、ギアという特別な力を纏い、ダンジョンから世界を守る。とても、口当たりがよくカッコイイように聞こえるが、実質は…自分がヒーローに成りたいという愚か者達が集まる巣窟になってしまった」


 小宮が

「本当に王様は、どうして…力を与える輩を選ぶ機能を持たせてくれなかったのか…」


 ソンが

「そういうヒーロー願望がある愚か者達が集まるから、ダンジョン攻略が成り立っている」


 小宮が鋭い顔で

「本当の事実を…知らないで、よくやれるよ」


 ソンは悲しげな顔で

「それだからこそ、成り立っている部分も多い」


 小宮とソンは並んで去っていた。


 ◇◇◇◇◇


 レイは、宇宙船にある倉庫で、自分が持つソルジャーの能力、無限収納に必要なアイテムを入れて整理する。

「ええ…と回復アイテム、食料、予備武器と、機動兵器(マキナ)、あと…野営のテント…」

 入れては、直ぐに取り出し可能なように組む。


 そこへ

「あの…」

と、声を掛ける男性がいた。


 レイが後ろを向くと、二人の壮年の男性がいた。年齢的にソンや小宮に近い四十代後半だ。

 一人は黒い全身ローブに、見た事もない装飾が施された鎧を中に着込み。

 隣の男性は、青髪に…これもまた見たことが無い装飾が施された全身鎧を纏っている。


 黒髪、全身をローブに待とう男が

「アルス・ラード・小宮さんを探しているのですが…」


 レイは肯き

「小宮さんですね。案内します」


 黒髪、全身ローブの男が

「良いんですか? 作業をしているようでしたが」


 レイが微笑み

「終わって区切りがよかったので、大丈夫です」

と、レイは二人を小宮達がいる艦橋へ連れてきた。

 その移動中の最中、黒髪、全身ローブの男が前を行くレイを凝視していた。

「まさか…」

と、呟くと仲間の青髪の男性が

「ディオス…何か?」


 黒髪、全身ローブの男ディオスが

「この青年…」

と、言っている間に艦橋に到着して中へ入ると、小宮が

「ああ…すいません。お手を煩わせて、ディオス様、ナトゥムラ様」

と、黒髪、全身ローブの男ディオスと、青髪の男性ナトゥムラを迎えた。


 レイが艦橋にいるミンに近づいて

「ミンさん、どういう人達なの?」


 その問いにミンがレイの小耳にささやく

「別時空から来たお客様らしいわ。何でも…この時空に調べたい事があるらしくて…来たとか…」


 小宮が気をつかって喋っている様子から相当の客人だとレイは察する。


 小宮と話した後、ディオスはレイに近づき

「案内をありがとうございます」

と、手を差し向けると

「いいえ、そんな」

と、レイはディオスと握手する。

 

 レイの全身に何かが駆け巡った感覚を感じた一瞬の後に、ディオスは手を離して

「では…」

と、離れる。


 レイは戸惑いながらディオスを見つめると、ミンが

「どうしたの?」


 レイは、頭を振って

「何でも無い」


 ◇◇◇◇◇


 レイ達が乗った宇宙船がダンジョンの近くに降りる。

 このダンジョンは最近、発見されて、ダンジョンのエネルギー計測値からCランクと判断されて、小宮達にダンジョン探索の依頼が来た。

 小宮とソンのソルジャーランクはB、他の多くの者達もCランクと戦える部隊レベルの実力を有しているので、Cランクのダンジョンの調査に問題は起こらないだろう。

 そう、ソルジャーギルドも判断していた。


 ダンジョンは巨大な円形ドーム型で、土に埋まった神殿のような雰囲気を醸し出していた。

 レイ達は宇宙船から下りて、そのダンジョンのドームへ向かう。

 大きく開いた洞窟から入ると、内部は土に埋もれた神殿のような感じで洞窟の壁面に人工的な壁や装飾のような石像が転がって、朽ちた草色をしている。


 入口は広く、十数メートルの幅と高さがあり、大人数でも余裕な感じだ。

 小宮の部隊は、小宮を併せて六人。ソンの部隊も同じく五人と客人のディオス達二人。

 十三人が横に並んでも余裕がある通路だが、それは…つまり


 小宮の部下の一人で男性のルオが

「小宮さん、奥から…」

 ルオは探査能力に優れている。


 小宮がギアを展開する。

 180近い小宮の身長がエネルギー装甲のギアを被り三メートルになり

「数は?」


 ルオがギアを展開して

「おそらく30から50です」


 全員の目の前から、狼型のモンスターが出現する。その四つ足で立つ高さは一メートル半のモンスターで、背中に生物的な砲身やら槍の触手が生えている。

 ウェポン・ウルフというモンスターで、主にダンジョンの入口や周辺に生息し、探索するソルジャーを襲う。


 ソンが

「全員、構えろ!」


 ソルジャー達全員がギアを展開、エネルギー装甲の鎧を装備して、レイも同じくギアを展開した。


 ヴォオオオオオオ!

と、ウェポン・ウルフが雄叫びを上げると一斉に襲いかかる。


 ソルジャー達が攻撃を開始する。遠距離攻撃が得意なギアは、周囲に火炎エネルギーの球体を発生させて

”ガトリング”

 無数の火炎の弾頭を発射。

 それに続いて、近接のギアを持つソルジャーがウェポン・ウルフへ攻撃する。


 レイは、無限収納をギアに接続すると、火炎のガトリングと共に粘着や痺れを起こすスタンの弾丸を混ぜて飛ばして、ウェポン・ウルフを足止めする。


 ウェポン・ウルフが火炎のガトリングの弾頭にあるスタンと粘着に囚われている間に、近接のソルジャーがギアに持つエネルギー剣や、エネルギー斧、エネルギー槍、エネルギー拳でウェポン・ウルフを粉砕。

 

 レイは、近接攻撃のソルジャーの回復アイテム転送に集中する。


 その連携を客人のディオス達二人は、レイの後ろで見つめていた。


 内部から湧き出したウェポン・ウルフ達は、瞬く間に数を減らして撃退された。

 倒されたウェポン・ウルフは、転送アイテムであるテレポートボールが投げられて、宇宙船に転送されて回収された。


 その様子を見つめるディオスが

「倒されたモンスターは、遺骸が残るのですね?」

と、近くにいるレイに質問する。


 レイは肯き

「はい、大半のモンスターの構築物質は、エネルギーや様々な物質の合成物なので、それを分解、再利用して資源して活用します」


 ディオスは興味深そうに

「ほう…なるほど…」


 レイはディオスに

「あの…お聞きしてよろしいでしょうか?」


 ディオスがレイを見つめて

「ええ…答えられる範囲でしたら…」


 レイが好奇心を向けて

「どこから、お越しに?」


 ディオスが笑み

「ああ…アースガイヤという惑星がある時空ですよ」


 レイが更に

「先程の質問では、我々が倒したモンスターのような事も、そちらではあるのですか?」


 ディオスが微笑みながら

「ええ…ありますよ。でも、エネルギーの塊みたいなモノで、倒されるとエネルギー結晶になって消えて、コアの魔導石というモノしか残しませんから」


 レイが肯き

「そうなんですね」


 ディオスが

「ええ…だから、とても興味深いです」


 ◇◇◇◇◇


 レイ達の探索は続く。

 Cランクのダンジョンなので、先程のようなウェポン・ウルフや、それに近い兵器を触手として背負う動物系のモンスターばかりなので、レイ達は対処に困らない。


 小宮がレイに

「レイ、アイテムの消費は?」


 レイが無限収納のアイテム一覧を開いて

「全体の20%です」


 小宮が考え

「まあ、問題は…ないか…」


 レイが

「危険ラインの50%ではないし、みんなの損耗もそんなには…」

 レイのギアは、チーム全員の個々のステータスが見られる。

 そのステータスも、それほど減ってはいない。


 それを見せられても小宮が

「そうだな…だが…」


 レイが

「小宮さん。何か…引っかかっているんですか?」


 小宮が自分達がいる大きな通路を見つめて

「この規模のダンジョンでCランクってのが…どうもなぁ。この規模ならSに近いAランクのダンジョンって感じだが。出てくるモンスターはCランクのダンジョンだし」


 ソンが近づいて

「小宮、先へ進むか?」


 小宮が

「ソン。なんか…このダンジョン、チグハグしねぇか?」


 ソンも肯き

「小宮も思うか? オレも…そう感じる」


 レイが

「アイテムは十分に余力は、ありますし…最悪、ヤバそうになったら即撤退って事で、良いのでは?」


 小宮もソンもその提案に肯き、小宮が

「そうだな。そうするか…」

 

 更にレイ達は奥へ進み、分かれ道が現れた。上に向かう小さな通路、真っ直ぐと向かう通路。

 客人のディオス達二人が

「私達は、こちらへ向かいますが」

と、上に向かう通路を示す。


 小宮とソンは視線を合わせた次に、小宮が

「分かりました。ですが…危険と判断したら、即撤退してくださいね」


 ディオスが肯き

「はい」

 ディオスとナトゥムラは上の通路へ向かい、レイ達は下の通路へ向かう。

 

 そして、レイ達が辿り着いた場所。

 そこは…

「なんだ、これは…」

と、小宮が驚きの声を漏らす。

 そこは、巨大な数百メートルサイズの空間でビルのような構造物が下から上に突き出て天井を支えている。

 それは、まるで地下神殿のような雰囲気だった。


 レイ達がそこへ足を入れると、レイは不意に背後に気配を感じて振り向く。


 それにミンが

「どうしたの? レイくん」


 レイが見つめる先には、何も無い。

「いえ、気のせいです」

 

 ミンにもレイにも、見えなかったが。

 それは存在していた。

 幽玄と燃えるように揺らぎ立つ騎士のような存在。

 幽霊のように誰も見えないそれが、レイを見つめていた。


 

 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、神殿

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