最終話 白夜と世界
次話を読んでいただきありがとうございます。
アムザクとの決着、そして…デザイナーズだったレナが得たモノとは?
天元突破の超越達〜白夜と世界〜最終話
アルテイル時空共和国と、アルードが作った新たな時空を、呑み込む程に巨大化するアムザクのレイヴォースト。
それを破壊するには…強大な一撃が必要だ。
クロが
「オレを…弾丸にして、全員の力を乗せて皆本くんを…アムザクを撃ち抜く」
それにディオス達は賛同して肯きをする。
「分かった」とディオスが告げる。
ティリオが
「他に方法が」
アヌビスが
「ティリオ…」
その一言でティリオは察して
「絶対に生きて戻って来てくださいね」
クロが無反応で、隣にいるレナに
「レナ、お前は…」
と、告げるとレナはクロの手を握り
「私も一緒に行く。それなら…クロは死ぬようなバカな事はしないでしょう」
クロが手を握るレナを凝視して
「レナ、いい加減に」
アルードが
「その方がいい。この兄さんは、自分さえ犠牲にすれば…って、最悪な考えを持ちやすいから」
クロがアルードを見つめると、アルードが
「兄さん、絶対に帰って来いよ。そうでないと…ボクは、同じ事を繰り返すかも」
クロが溜息交じり
「分かったよ。何とかやってみる」
アムザクのレイヴォースト、サルヴァードの超獣が反応する。
クロ達七人の超越存在のサルヴァードをはね除ける光の攻撃を放つ。
それは、まるで…ちょうど良い距離が取れるように…
アムザクが仮面の奥を笑みに変える
やれるモノならやってみろ!の挑発だ。
アムザクのお膳立てを受けて、クロが
「シャクだなぁ…」
クロのサルヴァード・シャヴァラスの後ろにディオス達六人のサルヴァード達が付く。
ディオスが
「準備は?」
クロは隣にいるレナを見つめて、レナもクロを見つめて、お互いが離れないように固く手を握り合って
「いいぜ!」
と、クロが声を放つ。
ディオスのサルヴァード・エルディオンが両手を合わせて
「では、皆の者、力をお借りする」
エルディオンから伸びる虹色の翼がアルード、アヌビス、天臨丞王、異端帝王のサルヴァードを包み込み、ティリオのサルヴァードが両手に超高密度に圧縮した光の槍を構築する。
四柱のサルヴァードの力を集約させて、ディオスのサルヴァード・エルディオンは砲身を構築、その発射の撃鉄の槍をティリオのサルヴァードが作った。
その砲身を背にクロのサルヴァード・シャヴァラスが立つ。
ティリオが発射のタイミングを取り
「クロさん、また…会いましょう」
撃鉄を起こす超高密度のエネルギーの槍を投擲する。
それに、ディオスがサルヴァード達の力を集約させて作った砲身で加速し強大化させて、サルヴァード・シャヴァラスが背負う光の津波となった。
サルヴァード・シャヴァラスは、無限数に匹敵する光の津波を背負い
「行くぜ!!!!!!」
「うん!」
と、クロとレナがいるサルヴァード・シャヴァラスは、アムザクのレイヴォーストへ発射される。
光の津波をサルヴァード・シャヴァラスは、左手にある龍達の顎門の錫杖で束ね、前に聖断の剣ゼディウスを突き立て
「おおおおおおおおおお!」
巨大な光の一撃となってアムザクのレイヴォーストへ
アムザクのレイヴォーストと、光を背負うクロとレナのシャヴァラス。
アムザクのレイヴォーストを押し上げて、シャヴァラスが彼方へ押し飛ばす。
アムザクのレイヴォーストは、アルテイル時空共和国達から離れて、凄まじい速度で超高次元の果てへ飛んで行く。
アルテイル時空共和国達は、解放されて救出されたが、クロ達はアムザクのレイヴォーストを遙か遠くへ飛ばし運ぶ。
膨大なエネルギーを背負ってレイヴォーストを突き立てるシャヴァラス。
アムザクが
「全く、ムチャクチャだな…」
クロが笑み
「そのぐらいの方が面白い…」
レナが悲しげに
「どうして、アナタは…アムザクさんは、進化を求めるのですか?」
アムザクが仮面の奥にある瞳を細めて
「それが、我の本質だからさ」
クロが
「いいや、違うね」
アムザクの仮面の奥にある瞳が鋭くなる。
クロが笑みながら続ける。
「許せないんだろう。彼女達を救えなかった、力の無かった自分が…」
アムザクがフンと鼻息を荒げて
「そんな思い遠くの昔に忘れ去ったさ」
レイヴォーストの胸部に亀裂が入る。
クロが
「どうする? ここで…」
アムザクが
「いいさ。また、私は復活できる。何度でもな…この新たなアムザクの遺産となるレイヴォーストの破片達によって」
レイヴォーストは、シャヴァラスが突く胸部から砕けて、シャヴァラスがアムザクのレイヴォーストをつらぬいた。
レイヴォーストが幾万、幾億の光の破片となり、その中にミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンの四人もいて、四人は時空へ、宇宙達へ落ちて戻る。
レイヴォーストが粉砕されてアムザクだけが残り、そこに聖断の剣ゼディウスの全てが集中して、アムザクが蒸発するように消え始める。
超高次元を進む膨大なエネルギーに焼かれて蒸発の崩壊を始める。
クロが
「皆本くん、また…会う事があったら…」
アムザクが
「私は、アムザク。進化を起こすモノ」
と、告げて消失した。
同時に、クロ達のサルヴァード・シャヴァラスが運んでいた膨大なエネルギーを引き連れて、クロとレナのサルヴァード・シャヴァラスが力を失って崩れ落ちる。
サルヴァード・シャヴァラスの力までも引っ張りこみ、飛んでいく巨大なエネルギーの光を見上げて、クロはレナを抱き締めて落ちて行く。
クロとレナが向かう先は、自分達が生きる場所、宇宙へ、アルテイル時空共和国へ帰還した。
◇◇◇◇◇
レナは、始めて見る白夜の空を見上げていた。
「キレイ…」
太陽が沈まない、水平線の上を滑っていく世界。
レナがいるのは、アースガイヤの北極圏だ。
位置としてはディオスの屋敷がある地方から数百キロ北にいった場所。
そこに観光に来ていた。
そして、レナが乗っている船は、アースガイヤの魔導文明が作った飛空艇という乗り物だ。
その巨大な客船の飛空艇のベランダから見える世界は、絶景だ。
その隣にクロが来て
「オレも始めてみるなぁ…」
と、レナと並ぶ。
レナが
「前世じゃあ見なかったの?」
クロが皮肉な笑みで
「そんな暇、無かったから…さ」
レナが一緒にクロと白夜を見つめて微笑み
「じゃあ、一緒に初めてが出来て、嬉しいな」
と、レナがクロの手を握り、近くのベンチへ座らせる。
クロとレナが一緒に並んで座るベンチ
クロが頭一つ半も低いレナに微笑む。
その意味をレナは察して
「クロ、私は…チャンとしたレディーなんだから。いい加減に保護者になるのは止めて」
クロが内心を見抜かれてハッとして
「悪い悪い。つい…な」
レナは膨れた顔を向けて
「私はクロと対等なの。そう…一緒の…」
と、クロに微笑み
クロがその頬に手を置いて微笑み
「悪かったよ。そうだな。オレと対等だ。対等な…」
と、子供のように額にキスするのではなく、口づけをする。
クロとレナは、口づけをすると、その後ろで待っている人物がいる。
ナイツのクリニアだ。
「あの…」
「は!」とクロとレナは驚き、クリニアは呆れ顔で
「二人の時間は、夕食の後でお願いしますね」
クロは赤くなり、レナは少し照れて
「うん。ありがとう」
と、告げてレナはクロの手を取って立ち
「行こう。クロ」
クロは肯き
「ああ…行こう。レナ」
彼女は、愛を手にした。
ずっとこれからも変わらない。クロとレナの絆
白夜と世界(終)
次は、幽玄の王へ続く。
クロ達が乗っている観光の客船の飛空艇のゲストルームで、聖帝ディオスと天臨丞王が話をしていた。
天臨丞王が
「またしても、アムザクの遺産が拡散してしまった」
ディオスが
「ええ…これから…起こるであろう影響を考えると…頭が痛いです」
天臨丞王が
「そして、悪い事にアムザクは…何度でも復活するという事実を…」
ディオスが
「アムザクの復活をやった。ミカボシ達四人は、以前…行方知れず」
天臨丞王が
「アルテイル時空共和国のアルード殿は、こちらに協力的で、アムザクが何をしていたのか…のデータまでくれたが。正直…」
ディオスが
「どれが事実であるか? もしくは…もっと裏で…」
天臨丞王が
「全く…問題は尽きない」
ディオスがとあるデータ端末を取り出して
「アムザクがミカボシ達を使って研究していた事、超越存在を覚醒させるトリガー型の超越存在の覚醒の方法。そして…それにはもう一つの…」
天臨丞王が
「ゴースト・トリガー・プロジェクト…」
ディオスが
「私は、これを追ってみるつもりです。ジョウドさんは?」
天臨丞王が
「すまん。お願いするしかない。私達は、拡散した新たなアムザクの遺産の回収に専念せねば、ならない」
ディオスが肯き
「また、何か進展や問題の時は…お願いします」
天臨丞王が微笑み
「それは、こちらのセリフだよ」
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