白夜 74話 白夜の始まり
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日々が過ぎるクロ達、だが…それは唐突に
アルードを収めた聖櫃は、あの宇宙達を記すブックの部屋、神座の部屋にいた。
聖櫃を前にするメディーサ・ディアとアシェイラに、隣にあるテーブルにはアムザクの仮面が置かれている。
アムザクの仮面が
「心配かね?」
アシェイラが
「いいえ」
そう告げた後に聖櫃が開き、そこから深紅の髪をなびかせて白い装甲の鎧に身を包む二十歳まで戻ったアルードが現れた。
アシェイラが微笑み
「お帰り、アルード」
復活したアルードが微笑みも向けて
「ああ…ただいま、アシェイラ、メディーサ」
メディーサ・ディアが微笑む。
アムザクの仮面が浮かび
「これで、準備は整った。ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンの四人は…ゴッドレガリアシステムの調節を行っている」
アルードが肯き
「どのくらいで調節が終わる?」
アムザクの仮面が
「明日には…」
アルードは何度も肯き
「そうか、そうか、では二日後にしよう。四人にも休息は必要だろうし、これが終われば彼ら四人も自由になる。全ては…整っている」
メディーサ・ディアが
「聖帝達に対処される可能性は?」
アルードが
「どうだろう? どう足掻こうが。我々が望む結果にはなる」
アムザクの仮面が
「その通りだ。その為に私もいるのだから」
アルードが聖櫃に触れて
「アムザク、お前の復活も…予定通り行える。聖帝ディオスの抑えは…頼んだよ」
アムザクの仮面が明滅して
「楽しみだ」
と、告げると同時に聖櫃も同じ明滅を繰り返す。
◇◇◇◇◇
聖帝ディオスは通信で、とある人物と話をしている。
その人物とは、アムザクの遺産を保護管理している天臨丞王だ。
天臨丞王の通信を前にするディオスが
「どうも…匂うというか…何というか…」
天臨丞王は通信で
「つまり、何らのアムザクの遺産を使う者達がバックにいる…と」
ディオスが肯き
「クロード殿が、アルテイル時空共和国の歴史の管理者になったので、アルテイル時空共和国が秘匿していた歴史のデータまで見る事ができましたので…それで…」
通信の天臨丞王が
「つまり、アルテイル時空共和国の裏には、隠れた者達が…」
ディオスが
「クロード殿が時空消滅爆弾で消えた後の五年後、アルテイル時空共和国の元となるアルテイル時空連合の裏や、その後の…アルテイル時空共和国の様々な建国に関するアシストや維持、そして…ティリオが巻き込まれたオージン様の事、多時空輸送組織レッドリへ超高次元多結晶体が提供していた組織も…アルテイル時空共和国を裏から支え操作していた者達と…」
通信の天臨丞王が渋い顔で
「これから、どうなると思う? ディオス殿…」
ディオスが頭を振って
「分かりません。不確定要素が多すぎる。起こったとしても全ては後手に回ります」
天臨丞王が考えながら
「アムザクの遺産が関わっているなら、協力はするが…」
ディオスが
「アルテイル時空共和国が大変な事になっても、協調という手段でしか…」
天臨丞王が
「そちらは繋がりがあるのだろう」
ディオスが肯き
「ええ…それなりに…信用を構築して置いて良かったですよ」
天臨丞王が
「我らも入る場合は、ディオス殿と共に動く。それは約束しよう」
ディオスが
「こちらこそ、よろしくお願いします」
天臨丞王との話し合いが終わった通信室にティリオが来て
「父さん、大事になるの?」
ディオスがティリオの隣に来て肩に手を置いて
「すまない。なるかもしれん。子供達が産まれて一番大変な時に、すまない」
ティリオが首を横に振り
「いいよ。ボクの方も根回しを…」
ディオスが
「頼む。出来る限り、頼めそうなツテは多い方がいいし、話も通して置いて欲しい」
ティリオが肯き
「分かった。色々と話を回して置くよ」
ディオスも
「私の方も、これから話を通す書類やら何やら、本当に…みんなの手を煩わさせるよ」
◇◇◇◇◇
アルテイル時空共和国を長年に渡って統治した評議会議長ガージェストから、クロ達のようなアルテイル時空共和国で産まれた新たな超越存在達の統治へ変更が始まる。
クロの力を増幅源として、アルテイル時空共和国にいる超越存在のエネルギーが広まる。
それによって、新たな時代の幕開けを予感させていた。
クロも今までのような雇われ家業ではなく、レナ達のような新たな超越存在の傘下にいる形で、アルテイル時空共和国と繋がる事になった。
クロ本人が望む望まず関係なしに、世界は回る。
超越存在と同等の存在となったクロでも、所詮は世界という大海にいる生命。
その大きさが島サイズだとしても、その大海は島を呑み込む程に圧倒的に巨大だ。
そして、その大海は大きな波を起こして島を沈めてしまう。
クロも超越存在と同等である神越存在となっても、アルテイル時空共和国の人々が営む世の中の大海に呑まれるしかない。
クロは、窓の外を見る。
時空戦艦グルファクシで移動している。
向かう場所は、エネルギー供給のネットワークが細い星間だ。
そこで、新たなエネルギー供給のネットワークを構築、繋いで満たす。
それによって、そこのエネルギーが安定して更なる発展が見込まれる。
クロは…それで良かった。
「これが望まれる事なら…」
そう、クロが戦った古の時代、五百年前の争いの時代は…終わったのだ。
戦いではない。繋がりを構築して流れを起こして…
このまま、それが続いて欲しいと…
クロは思っている反面、アルードが。
◇◇◇◇◇
レナは、アークシア達と共にデウスバベルにいて、超越存在のエネルギーを増幅している。
レナはクロが向かった星間の星々を見つめていると、アークシアが来て
「レナ、ソロソロ…エネルギーを投入する準備を…」
レナが肯き
「うん、行くね」
と、アークシアに続いた。
レナとアークシアが並んで通路を進んでいると、巨大な気配を二人は感じた。
アークシアが青ざめ
「まさか…」
そこへナイツの六人が駆けつけて、クリニアが
「アークシア様! レナ!」
同じ気配を感じて駆けつけた。
レナとアークシアが見つめる深淵の宇宙が裂ける。
レナが驚愕の顔で
「来たのね」
アルテイル時空共和国、三十近い時空群の上、高次元領域からその全ての時空群を覆い尽くす存在が現れて、アルテイル時空共和国の宇宙達へ介入する。
時空の裂け目、高次元領域からの干渉。
それによってアルテイル時空共和国が侵攻された。
アルテイル時空共和国を覆い尽くす巨大な王冠の如き存在、ゴッドレガリアシステム
それを操作するのは、アルード達だ。
アルードが
「さあ、兄さん…ボク達の時代を取り戻そう」
と、狂気に笑っていた。
王冠の如きゴッドレガリアシステムの先端、八つの先には、一人一人、アルードが覚醒させ作り出した超越存在達がいた。
ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュン、メディーサ・ディア、アシェイラ、アルード
その超越存在達が先端にいるコアがアルテイル時空共和国の宇宙へ突き刺さった。
アルードの計画、大いなる絶対王を創造する。
それが始まった。
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次回、APEX(頂天)