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白夜 72話 亡霊だった者達

次話を読んでいただきありがとうございます。

アルテイル時空共和国への戦争が終わった。その結末は…


 全ては終わった。

 アルテイル時空共和国へ戦争を仕掛けた十二個の時空達は、サタンヴァルデット達の審判大量虐殺によって、壊滅を越えて破滅した。

 人口の30%が消失

 サタンヴァルデットの効果によって、男性が生まれにくい状態となった。

 サタンヴァルデット、罪喰らいの大神は、行動した時空の高次元に干渉して…罪を生み出す存在を抑える法則を残す。

 自然的な状況では、男女半々であるからこそ、人口のバランスは取れる。

 それでも人口を男女のバランスが壊れても維持できるのは、文明の力があるからこそ。

 つまり、文明の力が無い知的種は滅びるのだ。

 これから先、破滅した十二個の時空達は、男女比が圧倒的に女性が多い時空として続けるしかない。

 まあ、宇宙規模、時空規模の文明なら問題はないが…それでも援助が必要だ。


 アルテイル時空共和国は、周辺の十二個の時空達を取り込んで大きくなった。

 領土を拡大させた…とも言えるが。拡大した領地を管理する事ほど難しいモノはない。

 何時の時代も、時空を越える文明の時代になっても、自らを維持する事こそ難しいのだ。


 アルテイル時空共和国は、新たに手にした十二個の時空達へ支援を始める。

 十二個の時空達は個々に30%の人口が消失している。

 これを回復させるには、百年以上の時間が…いや、永遠に影響を与え続けるだろう。


 降伏ではない、サタンヴァルデットによって破滅した事実は、後々にどう…作用するのか?

 不確定と不安要因として…。


 ◇◇◇◇◇


 レナは、アークシア達と一緒に働いている。

 レナは超越存在として覚醒していた。

 度重なるクロとの接触と、クロをこの世界に固着させた接続者として、クロの力をトリガーに超越存在に覚醒していた。

 そして、クロの超越存在としての力を継承して、クロは残りカスになった筈だった。

 だが、アルードの更なる力への覚醒によって、クロは…


 レナは、アークシアとヤライを継承したレイセン、そして…他のアルテイル時空共和国の四大王家に繋がる超越存在と一緒に、とあるシステムを起動させる作業をしていた。


 その装置を作ったのは聖帝ディオスだ。


 巨大な星系サイズの黄金の円錐型装置、デウスバベル 


 その中核では、聖帝ディオスがレナとアークシア、レイセン、他の超越存在達とリンクさせる作業をして

「これで、君達の超越存在としての力がリンクされて…」


 アークシアが

「私達の力を始動源にして、父上の力が…」


 この星系サイズの装置の大半は、クロの力を入れる為の器だ。

 それをクロの力を納めた全長一光年単位の巨大円盤の中心に、増幅させる超越存在のエネルギーを乗せて、時空達へ伝播させるシステムの…これまた星系サイズ、一光年サイズの巨塔がある。


 クロの力は、超越存在と神越存在としての二つの力を持っている。

 この二つが混ざり合った力は、超越存在のエネルギーのように様々な力を便利に取り出せる訳ではない。

 だが、投入したエネルギーを無限大に増幅させる力はある。

 それを利用して、アルテイル時空共和国の超越存在達の力を増幅させて、アルテイル時空共和国や、他の時空達に伝播させる。

 

 聖帝ディオスの技術アシストを受けつつ、アルテイル時空共和国の全体へ超越存在のエネルギーを伝播させるデウスバベルが起動した。


 これで復興の足掛かりにはなる。だが…時間が必要なのは変わりない。


 作業を終えたレナは、クロの気配を辿ってクロがいる場所、デウスバベルの中核の下部へ向かう。


 レナがそこへ来ると、エネルギーを増幅して、時空間同士に巡らせた超空間ネットワークへエネルギーを送る装置の前にクロがいた。


「クロ…」

と、レナが呼びかけて近づく。


 クロが振り向き

「ああ…どうしたんだ?」


 レナがクロの隣に並んで

「作業が終わったから…」


 クロが視線を装置に戻して

「そうか…」


 レナがクロの横顔を見る。

 その顔は、どこか…寂しそうだ。

「クロは、どうしてここにいるの?」


 クロが

「もし、この装置が…五百年前にもあったら…って思っていた」


 レナが

「もし…あったら…クロは苦しまなかったの?」


 その問いにクロは目を閉じて

「どうだろう…別の問題が…そうだよなぁ…終わった過去を悔いても仕方ない」


 レナがクロの手を握り

「クロは、弟さん達が…生きていた事をどう思う?」


 クロが目を開けて

「オレは、オレ達は過去の亡霊だ。インドラ時空帝国の亡霊。終わった時代、戻らない過去、それが…なのに」

と、告げて後ろを振り向き

「隠れて聞いているのは、悪趣味だぞ」


 角に隠れていた聖帝ディオスが現れて

「悪いね。良い雰囲気だったから、邪魔をしたくなかった」


 クロが近づく聖帝ディオスに

「何か、聞きたい事があるんじゃねぇの?」


「う…ん」と聖帝ディオスは唸りつつ

「まずは、ミカボシとの関係だが…」


 クロが装置を見つめながら

「ディーエ時空連合の時、オージンと共に色々と関わりがあった。知り合いに近い友人未満って感じではあった。オレはな…」


 聖帝ディオスがクロの隣に来て

「ディーエ時空連合の戦争シェアリングを構築した時分の頃か」


 クロが肯き

「ミカボシ、スクナ、アテルイ、ハジュンとな。オージンはその前からだ。そして…」


 聖帝ディオスが

「前世、君がクロードの前の時の…」


 クロが自嘲気味に

「オレが、なんでユーティック機関について詳しいか、分かったろう。ユーティック機関が創設された万年前の時代に、ユーティック機関の始まりの組織にいたのさ」


 聖帝ディオスが腕組みして

「なるほど…で、ミカボシの前々前世は、そのユーティック機関で共に研究員として働いていた…と」


 クロが肯き

「初期のユーティック機関は、ミズアベハを研究して高次元領域へのアクセスをしていた。その最中に事故が起こった。高次元領域との未知の接続が発生して、オレは…それに巻き込まれて高次元領域へ呑み込まれて死んだ」


 聖帝ディオスが

「だが、生き残った者もいた」


 クロが

「後で…ユニックインダストリーの時に確認したが…二名、生き残っていた。一人がミカボシの前々前世の若本くん、そして…もう一人が皆本 光一くん。若本くんは会社をクビになって流行病で死亡。皆本くんは、その後…消息不明だった」


 聖帝ディオスが

「その若本という人物が…ミカボシに…」


 クロが

「不思議じゃあない。オレと同じく高次元領域の突発な接続に巻き込まれたんだ。何らかの変化をしていたんだろう。皆本くんも同じで…どこかに…」


 聖帝ディオスが溜息を漏らして

「色々と…ゴチャゴチャになりそうだな」


 クロが装置を見上げて

「アルードが、次に何をするのか…分からねぇ。でも、止めなければいけねぇ。だってよ…オレ達は、過去の亡霊だ。愚かな幻想に溺れた亡霊だ。未来は…」

と、クロは右にいるレナを見て、レナの頭を撫でて

「この子達のモノなんだ。亡霊は成仏するべきだ」


 レナが頭をなでてクロの手を握り締めて

「クロも、今を一緒に生きる仲間だよ」

 レナの優しさがクロに染み入るのであった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

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