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白夜 69話 いびつな力

次話を読んでいただきありがとうございます。

クロは、自らを犠牲にする選択をした。それに…


 クロは一人、敵地の真ん中にいた。

 アルテイル時空共和国へ宣戦布告した時空国家の一つにエンジェリオンで飛んでいき、そして、ワザと捕まった。

 その口元には、優しい笑みを浮かべていた。


 宣戦布告した時空の司令官がクロを見つめて

「どうして、来たのですか?」


 クロが優しい微笑みで

「明日には、アルテイル時空共和国と聖帝ディオス達の合同軍団が、この時空国家達へ攻め入る。勝てそうか?」


 司令官は首を横に振る

「いいえ、ムリでしょうな。それを知らせる為に?」


 クロが

「いいや、違う。オレは、過去の亡霊だ。だが、そんな亡霊にもやれる事がある」


 司令官とクロを囲む士官達がクロを見つめる。


 クロが

「アンタ達の時空に、最後の希望の芽を残しにやって来た」


 司令官がハッとして

「つまり、アナタは…自分を犠牲にして我々に」


 クロが肯き

「オレがトリガー式の超越存在覚醒のスイッチになって、この時空国家達に…超越存在を残す。小さな芽だろうが…時間を掛ければ…」


 司令官が被っている帽子のツバを握り

「我々の為に…アナタは犠牲になると…」


 クロは微笑み

「奪われる辛さは、十分に分かっている。そうなってしまった、そうならざる得なかった理由も分かる。やってはいけない事に手を染めてしまう気持ちも分かる。その結末は、破滅だってのも重々承知さ。だがよ…未来に生きる子供達には、罪はねぇ」


 それを聞いて司令官や士官達が涙する。

 司令官が

「本来なら、我々が…我々の暴走を止めるべきでした。ですが…」


 クロは全てを承知した微笑みで

「分かってる。止められねぇ…事だってあるさ。仕方ない時だってあるさ。止めたかったけど、止められなかった人達がいるのも分かっている」


 士官の一人が

「申し訳ありません」

と、頭を下げる。

 そして、次々と士官達が帽子を取って、クロに頭を下げる。

 全ては自分達の失態、原因なのを分かっている。

 こんな愚かな結果になったのも、自業自得。

 それでも、クロは未来を、この時空国家達に残そうとしてくれる。


 司令官が涙する顔を向けて

「アナタは、本当の英雄だったのですね」


 クロは優しく微笑みながら

「オレは、オレの力を継承させた娘がいる。今のオレは、それの残りカスだが、使い道はあるはずだぜ。だから、英雄なんかじゃあねぇよ」


 司令官が

「いいえ、アナタは英雄だ。私達は、それを伝えていきます」


 そこへ、別の者達が入り込む。

 愚かな結末をもたらした権力者の親衛隊だ。

「何をしている! 早く、ソイツを連れて来い!」

と、愚かな権力者の兵隊がクロを連れていく。


 愚かな権力者の兵隊の隊長が

「バカな男だ! 我々の元に来て! 停戦の話し合いを出来ると思ったか! 愚か者め!」

 

 それを聞いて司令官や士官達が歯を食いしばる。


 クロが愚かな権力者の兵隊、親衛隊に連れられて行く。

 その後ろを司令官や士官達が見つめる瞳は優しく…後悔と感謝があった。


 クロは、連れて行かれる。

 その場所は、とある惑星の中心都市だ。


 そこには数千キロにも及ぶ天に突き立つマシンタワーがあった。

 宇宙と地上を結ぶ巨大なタワーにクロは連れて行かれて、そのタワーの中心部へ運ばれる。


 その中心には、巨大なミズアベハの装置があった。

 白磁器の円柱、中心に水晶体、全体に電子回路模様の金糸が広がり、脈動する光を放っている。

 その数キロサイズのミズアベハの上には、あのトリガー式の超越存在覚醒の装置があった。

 五色に輝く結晶体と、中心に何かが浮かぶ液体円柱が何本もあり、その装置をチェックしているのは…

「え? ミカボシ?」

と、クロは口にする。


 トリガー式の超越存在覚醒のシステムを調整するのはミカボシだった。


 運ばれたクロにミカボシが視線を向ける。

 ミカボシの隣には、権力者達がいて

「これで、我々は…最強の力を手にする事が!」

と、獣のような笑みを浮かべて醜悪を晒している。


 ミカボシが淡々とクロに近づき

「ほう、大半の力を継承させたのか…」

と、クロを見つめる。


 超越存在覚醒を望む権力者達の一人が

「どういう事だ?」


 ミカボシが淡々と

「コイツは、自分の権能を別の誰かに継承させたようだ」


 権力者の一人が

「では、我々の覚醒が!」


 ミカボシが淡々と

「問題ない。そうだとしても、コイツの深度、神化を誘発する力は別だ。全員が望むような結果にはなるだろう…な。まあ」

と、小さく聞こえない程度の声で

「万が一、億が一、ミスがなければな…」


 クロがそれを聞いて

「おい、なんで…お前がここにいる?」


 ミカボシが淡々と

「雇われたからだ。それ以外に何がある」


 クロがミカボシを見つめて

「雇い主は…誰だ?」


 ミカボシが無言でいると、超越存在覚醒を望む権力者の一人が

「我々だ! この宇宙のある程度の権利を譲渡する代わりに、我々の覚醒を依頼したのだ!」


 クロは答えた側を見ないミカボシを見つめると、ミカボシが嘲笑の如く目を細める。

 

 クロはそれで分かった。

「お前等! コイツは!」

と、言う口をミカボシが右手で塞ぎ、左手で麻酔の注射銃を撃ちクロを眠らせた。


 ミカボシが

「ウルサいので、眠らせた」


 クロは意識が遠くなりながら

「これ…は…ワナ…」

と、クロは眠る。


 そう、クロは察した。ミカボシは、別の狙いがある…と。

 裏切る…と。


 ミカボシは、クロをトリガー式の超越存在覚醒システムのケースに入れて、装置の起動に入る。

 権力者達十二名は、自分が超越存在覚醒へ成せると思われるケースに入る。


 クロが入ったケースを中心に十二個のケースが円形に並ぶ。

 そのケースの中へ権力者達が入った。権力者達は超越存在覚醒へ至れると思い込んでいた。

 親衛隊の一人が

「これで我らの未来が開けるのですね」

と、喜んでいる。


 ミカボシが淡々とシステムを起動させようとしたが


「待ちなさい!」

と、飛び降りた者達がいた。

 アクジス星系の時にクロに力を貸したナージャが部下を連れて、上から飛び降りて来た。


 ミカボシがナージャを見て

「また、お前か…アナスタシア…」


 ナージャ、ネオシウス時空の超越存在、宇宙王のアマテラス。

 かつて、ミカボシの双極であった超越存在の彼女が部下を伴って出現した。


 アマテラスのアナスタシアが

「ミカボシ、いえ、オルス…それはダメよ!」


 ミカボシが怪しく笑み

「親衛隊の皆さん、敵です。対処をお願いします」


 権力者の兵隊である親衛隊と、アナスタシアの部下達がぶつかる。


 混乱する場にも関わらず、ミカボシは作業を始める。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

ブックマークと☆の評価をお願いします。

次話を出すがんばりになります。

次回、覚醒する者

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