表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1012/1109

白夜 67話 争いに美談は存在しない 前編

次話を読んでいただきありがとうございます。

事の発端、そして、辿り着く先は…


 何時の時代も、どんな場所でも、どんな人達でも

 崩れ去る始まりは、一緒だ。

 この崩壊の始まりは、五百年前の小さな小さな亀裂が始まりだった。


 インドラ時空帝国の頂天だったマハーカーラ、二人の宇宙王が消えた事が発端だ。


 インドラ時空帝国は、カレイドという時空連邦と長い争いを繰り返していた。

 例えるなら冷戦…というには、奇妙な調停された戦争を続けていた。


 インドラ時空帝国は、クロードとアルードという二人の宇宙王がいる事で、武力と内政のバランスを保っていた。

 二人の力のお陰で、インドラ時空帝国に連なる時空達は、二人の超越存在…兄弟の宇宙王からもたらされる膨大なエネルギーのお陰で維持されていた。


 それは、カレイド…カレイド時空連邦も同じだ。

 カレイドにも、ハジュンという超絶な力を持った宇宙王がいた。


 兄弟の宇宙王であるマハーカーラ、それに従う宇宙王達の時空国家達、インドラ時空帝国


 カレイドが作り出したハジュンと言われる破壊の権化の超越存在と、それを操作する女王の超越存在、陰陽の夫婦の宇宙王の時空国家連邦、カレイド


 その二つが様々な陰謀、策謀を巡らせて争っていたお陰で、その周辺時空国家達も利益を享受していた。

 巨大な二つの時空国家同士のパワーゲームは、形はどうでアレ…利益の分配になっていた。

 無論、それによる悲劇もあった。

 だが、それをカバーして有り余る利益が、カレイドとインドラ時空帝国から配られていた。

 あまりにも長い長い、両者の策謀と陣取り戦争は、終わる事がないと…思われていた。


 だが、全てには終わりがある。


 インドラ時空帝国の兄弟の宇宙王達が消えた。

 表向きには、カレイドの策略によって時空消滅爆弾が仕掛けられて…。

 実際は、インドラ時空帝国の内部、ガージェストによる裏切りだ。

 カレイドとガージェストは取引した。

 超越存在、宇宙王に代わるエネルギー供給技術の提供と、今後…一切、インドラ時空帝国には手を出さないという密約。

 その証として…超越存在を封印できるシステムを渡された。

 それは、カレイドのハジュンに対応する力として…


 ガージェストは権力欲、野心と野望の男だ。

 兄弟の宇宙王、クロードとアルードが邪魔だった。

 自分が一番トップに成りたかったから。

 だから、乗った。

 これが…カレイドの策略とは知らずに。


 クロードとアルードがいなくてもインドラ時空帝国は成り立つはずだった。

 最初の十年は…持った。

 だが、それから後は地獄が始まった。


 カレイドが極秘裏に新たな時空国家達を立ち上げた。

 それがアルテイル時空共和国の元、アルテイル時空連合国だ。

 このアルテイル時空連合国は、インドラ時空帝国によって被害を受けた時空達の集合体だ。

 それが立ち上がった次の年、カレイドからもたらされたエネルギー供給技術が壊れた。

 そのもたらされたエネルギー供給技術には、罠が仕掛けられていた。

 一気にエネルギー供給が維持できなくなったインドラ時空帝国は、内戦が勃発した。

 そこからは、地獄だった。

 横行するテロや海賊行為。

 インドラ時空帝国の民は、責任の所在と断罪を求めて、憎しみに染まって地獄の様相と化した。

 それはガージェストの肉親達にも及ぶ。

 ガージェストは、エルフとヒトのハーフだ。

 そのエルフとヒトの間に争いが起こり、両者が共倒れした。

 ガージェストは、全ての肉親を妻も子供達も、親達も失った。

 それで、終わりではない。

 カレイドがアルテイル時空連合国と同盟を結び、インドラ時空帝国を崩壊させようと攻めてきた。

 インドラ時空帝国は、残っていた超越存在、アシェイラの力を借りて食い止めたが…それによってアシェイラが死んだ。

 そして、アルテイル時空連合国が、インドラ時空帝国を呑み込んで、アルテイル時空共和国となった。

 そして、新たな超越存在の創造をするとして、メディーサが様々なデザイナーズを生み出し、その中で超越存在に適合したデザイナーズを王家として、アルテイル時空共和国に置いた。

 時空全体のエネルギー供給を行う為に…。

 それでも悲劇は終わらない。

 新たに生み出したアルテイル時空共和国の王家の超越存在では力が足りなかった。

 分配が不足するエネルギー、それによって横行する海賊テロ。

 それを何とかする為にカレイドの軍門に下るしかなったが…

 更に最悪な事に、カレイドの最強だったハジュンが死んだ。

 一気にカレイドは衰退して、体制が維持できなくなり崩壊。

 その余波は、アルテイル時空共和国にも、周辺の時空国家達にも来た。

 不安定なエネルギー供給、安定しない治世、横行する海賊テロ達。


 その結果、アルテイル時空共和国では強権的な政治体制が出来上がるも、それが崩壊する歴史を繰り返して衰退していく。

 

 全てが崩壊して、連鎖して、衰退する。

 その切っ掛けは、強権的と謳われたマハーカーラ、兄弟の超越存在達、クロードとアルードの二人が消えた事だった。

 それを当時は、喜ぶ者達さえも多かった。

 強大な存在の重しが取れて、全てが…晴れ渡る空にように明ける…と

 それは、間違いだった。

 

 アルテイル時空共和国の周辺の時空国家達は、衰退と崩壊を繰り返して、それでも強権的な治世。

 アレさえ、破壊すれば良くなる!という間違った破滅の幻想を続けるしかなった。

 そうしなければ、為政者が殺されるという未来しかない。

 もし、他の時空国家、宇宙王がいる時空へ助けを求めれば、違ったのかもしれない。

 誰かに助けて…と言える勇気があれば。

 自分の弱さを認めて、助けを求める事ができれば…。

 強さは勇気ではない。

 自分の弱さを認めて、助けてと言える事が強さだ。


 だが、それができないのが…ヒトのサガだった。

 自分達が強い存在である思い込みから脱せられない。

 弱いかもしれない、だが、その弱さを武器に相手を攻撃する。

 

 お前達はズルい!

 

 その言葉に取り付かれた者達に、未来は…ない。


 だから、だから

 こんな最悪な時空戦争が始まった。


 ◇◇◇◇◇


 ディオスは、宇宙王達が集まった通信の会議室で頭を抱えていた。

「どうして、こんな事になるまで…」


 通信の会議室にいるアヌビスが

「ディオス、人は敗北を認める事ができないのだ。それを出来る人間は強い」


 通信の会議室に参加しているメルディオルが

「同じだ。天の川銀河連合が誕生する発端と…」


 ディオスの脳裏に自分達の時空、アースガイヤがある天の川銀河連合が辿った歴史を思い返す。

 メルディオルという超越存在に恐れて、天の川銀河の宇宙国家達が戦争をメルディオルに仕掛けて敗北して、天の川銀河連合が誕生した。

 自分達より巨大な存在に、間違った恐怖の幻を見て暴走して滅んだ。


 ディオスが

「このまま、アルテイル時空共和国と周辺の時空国家達との戦争が続けば…」


 アヌビスが厳しい顔で

「このままでは、確実に周辺の時空国家達は疲弊して崩壊、そして…」


 別の宇宙王が

「アルテイル時空共和国や、他の時空国家達へ、時空難民が発生して…大混乱が起こります」


 別の女性の宇宙王が

「アルテイル時空共和国の取れる結論は、二つだと思われます。一つは相手が崩壊するまで防衛を続ける。これは問題ないでしょう」


 別の宇宙王が

「もう一つは、アルテイル時空共和国が攻めてきた時空国家達を取り込む事」


 別の女性の宇宙王が

「防衛をする。それは…大量の時空難民が発生して、周辺に大混乱が起こる」


 別の宇宙王が

「取り込む方は、時空難民が発生する事無く、周辺の時空国家達にも大混乱は起きない」

 

 重苦しい空気が通信の会議室に流れる。

 

 別の宇宙王が

「アルテイル時空共和国のクロード、いえ、クロ殿は…どういうお考えなのか…」


 ディオスが渋い顔をする。

 

 アヌビスが

「選択して貰うしか…あるまい」



ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

ブックマークと☆の評価をお願いします。

次話を出すがんばりになります。

次回、争いに美談は存在しない 後編

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ