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白夜 66話 真っ黒で真っ白な戦争 後編

次話を読んでいただきありがとうございます。

始まったクロの時空と、周辺の時空国家達との時空間戦争。


 アルテイル時空共和国と外時空との境目。

 時空間境界線のそこは、時空同士が接触する境界。

 紫真珠のような巨大な時空同士が隣接する場所を膨大な数の時空戦艦の艦隊が移動していた。

 艦隊が向かう場所は、アルテイル時空共和国だ。

 アルテイル時空共和国は、時空が数個も集まった連合だ。

 その時空達へ時空艦隊が向かっているのだ。

 通常なら時空同士を繋ぐ時空間トンネルを通じて行き交う筈が、アルテイル時空共和国は、巨大な時空サイズのシールドに自身を包み、近接する時空達との航行を止めている。

 その代わり、アルテイル時空共和国を覆うシールドを形成するに力を貸す聖帝ディオスの超越存在達の連合の時空達との航行は可能だ。


 その時空艦隊の目の前には、一機のオメガデウス・ヴァルヤを先頭にメガデウス六機と、時空間の戦闘用に改造されたマキナ(人型機体)達が数十機も連なっている。


 オメガデウス・ヴァルヤに乗るのは、クロとレナだ。


 クロ達は向かってくる時空艦隊に応戦する為に向かっている。


 クロとレナが乗るオメガデウス・ヴァルヤを切っ先にして、時空艦隊へ攻撃を開始する。


 数千億と広がる時空艦隊をオメガデウス・ヴァルヤは駆け抜けて、その時空戦艦達の腹部、後部、前部に砲身を突きつけて破壊するオメガデウス・ヴァルヤ。


 ナイツの六人が乗るメガデウス達は、光の刃となって時空戦艦を切断して破壊する。


 それに続くマキナ達は、三機一体の編成で時空戦艦を破壊する。


 次々と時空艦隊を破壊するクロ達。


 その時空艦隊の中心、全長百キロサイズの時空戦艦が変形する。

 人型、マキナ型の時空戦艦の機神になって、クロとレナが乗るオメガデウス・ヴァルヤへ襲いかかる。


 クロが操縦席で苛立った顔をして

「こんなバカな事をして…何になる!!!!!!!!」


 オメガデウス・ヴァルヤが両手に握る砲身を百キロの機神達に向けて発射する。

 一撃一撃が惑星を破壊する超爆発をして、百キロの機神達を沈める。


 数千億に及ぶ時空戦艦は、その半数が破壊される。

 艦隊が10%以上の損失が意味するのは、大敗である。

 即時撤退か、白旗を揚げるのが普通だ。

 だが、時空艦隊は攻撃を緩めない。

 最後の一艦になっても戦い続けようとする。

 まるで全滅する事を求められているかの如く、戦いが続く。


 クロ達が戦っている合間に、聖帝ディオスのゼウスリオン部隊が時空艦隊のシステムにハッキングする。

 破壊された時空戦艦の破片から、無事なネットワークシステムを取り出して、時空艦隊のシステムに介入する。


 そのハッキングの部隊を指揮しているのは、ティリオだ。

 ティリオは、聖帝ディオスの部隊セイントセイバー隊の者達と連結して、一斉に時空艦隊のネットワークへ入り、戦闘システムを停止させる。

 そして、時空戦艦の操縦システムに介入した。

「よし、これで」

と、ティリオが制圧した…と思った瞬間。


 一斉に時空艦隊の時空戦艦達が自爆した。


 時空艦隊は残り四分の一だった。

 その数百億もの時空戦艦の全てが自爆した。


 ティリオは青ざめる

「そんな…どうして…」


 自爆していった時空戦艦を見つめるクロは

「クソが、クソすぎるだろう…」

と、悲しい声色を前の席にいるレナが聞いて

「クロ、クロが…悪い訳じゃないから」


 クロは、苛立って操縦席を殴ってしまった。

 レナが怯えた。

 それを感じたクロが

「ごめんレナ、悪い」

 怯えさせた事を謝る。


 レナが

「いいの。クロの苛立ち…分かるから」


 ◇◇◇◇◇


 クロ達、アルテイル時空共和国は聖帝ディオスとその超越存在の連合の力を借りてアルテイル時空共和国を守る事にした。


 周辺の時空国家達からの突然の宣戦布告。

彼らの目的は、クロを殺す事。

 クロを殺した後、トリガー式の超越存在覚醒の装置を使って、自分達が望む超越存在を生み出す事。


 クロが死ねば、その存在は高次元領域へ帰還する。

 帰還したクロの魂を回収して使う事で、超越存在を作る。


 超越存在を誕生させるには、那由他の果て程の確率が必要だ。

 それを聖帝ディオスが分の悪い賭けレベルまで落としたが、その技術を持つ者、持たない者との間には、大きな差がある。

 聖帝ディオスは、その技術を広めようとは思っていない。

 好き勝手に生み出せば、大きな問題を抱えるのは目に見えている。

 それは、例えるなら核兵器競争という無意味な争いになると同じだ。

 資質、条件、環境、その他、多くの…その時空が超越存在を正しく持てるという事実がなければ、悲劇しか生み出さない。

 理性や倫理、正論で考える者と、欲する動物的な欲望を大義名分で隠す者達には、空と海の差がある。


 クロが、どうして、超越存在を生み出すトリガー式の超越存在覚醒の材料になるのか?

 オージンが語ってくれた。


「クロード、ワシは昔、お主を高次元領域から召喚して宿せたのは、偶然ではない。とある組織からの支援があったからだ」

 オージンは、昔、エネルギー生命体となったクロを召喚して肉体を与えた事があった。

 それは、オージンの連結式の超越存在を作る研究の一環だった。

 最初、オージンは高次元領域へアクセスして超越存在の魂の残滓を探し出して、それを辿って作ろうと考えていた。それには時間が掛かるのは目に見えていた。

 だが、オージンが元の時空から離れた時に支援していた組織が、とある魂のエネルギーを持っていた。

 それがクロのエネルギーだった。

 オージンは、なぜ…そんなモノを持っていたのか?と疑問に思うも、時間が掛かる作業が短縮できる利点を選び、それを使ってクロを召喚させて復活させた。


 それと同じ事だ。


 宣戦布告した時空国家達は、トリガー式の超越存在覚醒とクロの魂のエネルギー、アストラル体を持っている。

 だから、可能になったのだ。


 ◇◇◇◇◇


 クロは、アルテイル時空共和国の星艦ガルズの格納庫で座って休んでいた。

 ポケットからチョコレート菓子のスティックを取り出して、口にして天井を見上げる。


 そこへ、壊された時空戦艦から救出された兵士達が連行されて行く。

 ドローンと数名の兵士達によって連行される捕虜達。

 その年齢差は、千差万別だ。老人から子供、男女、バラバラ。

 

 クロがそれを見て嫌な顔をしていると、連行される列から一人の捕虜の女の子が飛び出して、連行する兵士から銃器を奪ってクロに向かって走る。


「死ねーーーーーーーーー」

と、捕虜の女の子がクロに銃口を向けて発砲する。

 飛び出すエネルギー弾。

 それをレナがエネルギーソードで叩き落とす。


 ナイツのクリニアとガルダスが捕虜の女の子を押さえた。


 レナがクロを見て

「クロ!!!!!!!!」

と、怒りの顔を向けた。

 クロはワザと撃たれようとしたのを分かっている。


 クロがその場から動き、押さえられる捕虜の女の子の近くに来ると、捕虜の女の子が

「死んでよ! アンタが死ねば! 全てが上手くいくんだよ! お願い…死んで…」


 クロは虚無の顔をしていた。


「ふざけるな!」

と、怒声がクロの左から飛んで来る。

 飛ばしたのは、戦闘に参加しているベイルラム・インダストリーのミリアスだ。

 ミリアスが立たされた捕虜の女の子の前に来て、頬を叩き

「自分達が解決するべき問題を他人に押し付けて解決させる。じゃあ、アナタは…自分の大切な人を、世界の為だって言って殺させるの?」


 捕虜の女の子が泣きながら

「でも、そうでもしないと…私達は、私達は…」


 ミリアスが捕虜の女の子の顔を両手で挟み

「こんな事をする前に、私達に相談する勇気をもって欲しかった!」


 捕虜の女の子は泣きながら運ばれていった。


 それを見たクロの心は沈んでいた。

 そこへ、今回の時空艦隊の士官の捕虜が来て

「貴殿がクロード様ですか?」

 士官の捕虜は兵士達に挟まれている。


 士官の捕虜がクロに

「どうか、我々に勝ってください。私達は…自分達がやるべき事を先延ばしにし続けた結果、こうなってしまった。愚かな甘言に惑わされて、このザマに成り果てた。どうか…アナタ様の手で、終わらせてください」

と、深々と頭を下げて連れて行かれた。


 クロは「ふざけるなよ」と小声で呟き歩き出すとその腕にレナが抱き付く。

「レナ、一人にさせてくれ」


 レナはクロの腕に抱き付いたまま

「こういう時に、クロを一人にして置けない」


 クロは呆れる。

「分かったよ。好きにしろよ」

と、クロはレナを連れて静かな公園区域へ向かった。

 気分を落ち着かせる為に…。


 ◇◇◇◇◇


 聖帝ディオスは、他の超越存在の宇宙王達と通信で会談をしていた。

 その中には、何時ものメンバーである黄金創世民のアヌビスと、ディオスの時空で同じ超越存在のメルディオルもいる。


 聖帝ディオスが

「全く、こんな事になるとは…」

と、頭を抱える。


 宇宙王達と通信会議で、開示されたアルテイル時空共和国の周辺の時空国家達の現状に頭を抱えた。

 彼は…滅ぶ寸前になっていた。



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