白夜 64話 有罪布告〜お前が!〜
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突如出現した者達、その目的はクロの…
獣人型装甲がクロに向かって走る。
一歩前に出た瞬間、音速を突破、衝撃波を伴ってクロへ向かう。
それに少年少女の装甲兵士達が追随する。
クロは
「行くぞ!」
と、跳躍して獣人型装甲へ突貫する。
獣人型装甲とクロが衝突して、空気が爆発して押し出された。
クロと獣人型装甲は組み合ったまま空へ昇る。
クロはグングルニルの巨大剣銃の先を獣人型装甲へ向け、銃口を獣人型装甲が握って押さえている。
「クロ!」
と、レナが叫び昇った空を見上げる。
そこへ少年少女の装甲兵士達が向かってくるも、ナイツの六人が少年少女の装甲兵士達を弾き飛ばす。
クリニアが
「レナ、今は…父上にあの相手を任せて、こっちは…」
弾かれた少年少女の装甲兵士達が再び、レナとナイツの六人を睨む。
ナイツのガルダスが
「おいおい、なんか…こっちをロックオンしてねぇ?」
少年少女の装甲兵士達の一人が
「お前達は卑怯だ」
ナイツの六人が視線を交差させる。
レナが
「どうして、そう思うのですか?」
少年少女の装甲兵士達の一人が
「私達は、アナタ達のようになれなかったからだ」
再び、レナとナイツの六人と、少年少女の装甲兵士達の戦いが始まった。
◇◇◇◇◇
獣人型装甲が両手を構えてクロに突進する。
空中を直角に有り得ない軌道を描いてクロへ向かう。
クロは、落下しつつ獣人型装甲へ両手のグングルニルの巨大剣銃を発砲する。
獣人型装甲に爆発が連続する。
クロのグングルニルが放った攻撃が確実に届いている筈なのに、ダメージがない。
獣人型装甲は巨大な鉤爪の手でクロを攻撃する。
鋭く速い大振り、見切れそうな大振りなのに、その速さが桁違いだ。
軽く音速を突破、超音速の域で、衝撃波を振りまいてクロを切り裂こうとしている。
それにクロは、黒天の力を発動させて自分を黒天の力で引っ張って予測不能な動きで回避する。
それに獣人型装甲が
「ほう…オメガデウスが操縦するだけの動力源あり操作AI程度ではない…という事か…」
クロは、獣人型装甲へ攻撃を向ける。
弾丸が見えないグングルニルの発射。
獣人型装甲の光る目が笑うように細くなる。
通常なら発射した弾丸が見える筈だ。だが、クロが放つグングルニルには弾丸が見えない。弾丸が見えない、だが、当たった感触と爆発がある。
つまり、物理法則を使った攻撃ではない。
「超越存在としての権能か…」
獣人型装甲の胸部が開き、水晶体とその回りに何かの電子回路模様があった。
クロが困惑で
「それは、ミズアベハか…」
獣人型装甲の開いた胸部から何かを吸収するように周辺から光を集める。
そしてクロが放つ攻撃がそこへ呑み込まれた。
クロは黒天の力で空中に止まり
「お前…その装置、どこで手に入れた?」
獣人型装甲が開いた胸部の装置ミズアベハを小突き
「これを知っているのか? いや、当然か…お前を産み出したユーティック機関、その系譜に連なる組織なら、この装置…ミズアベハがどんなモノかを理解している筈だ」
クロがグングルニルの銃口を向けたまま
「オレは、命まで奪うつもりはない。その装置を使い続ければ…死ぬぞ」
獣人型装甲の光る目が笑うように細くなり
「お前は…知らないだろう。あらゆる望みも希望も失い、絶望の中でしか生きる事が許されないのなら…そんな場所、地獄の底のような場所で、命の価値さえ、只の回数券となった最低最悪な場所でしか生きられないのなら…己の死こそが幸福である…と」
クロが鋭い目で
「お前等…本当に何者だ?」
獣人型装甲が「ふふふ、ははははは」と乾いた嗤いをして
「お前の因果によって、我らは復讐をしに来たのではない。ただ、お前を殺して…その超越存在としての力を奪う。その奪う事こそ正義となったのだ」
クロが怒りの顔で静かに語る。
「マトモじゃあねぇ」
獣人型装甲が
「マトモ、正常? それは余裕がある者の考えだ。そうだろう…マハーカーラよ。お前は、余裕があるからそう思える」
獣人型装甲が消えた。
いや、消えたのではないミズアベハの力で空間転移した。
クロは超越存在の知覚で移動した場所を察し、そこを攻撃する。
獣人型装甲は、そこに現れたが…攻撃をミズアベハに吸収させて、クロへ掴みかかる。
「オレ達が死んで救われるか? お前から奪って救われるか? 選ばせてくれ」
と、獣人型装甲は右手でクロの頭部を掴み、左手でクロのグングルニルを押さえて、墜落する。
流星の如くクロと獣人型装甲は墜落してクレーターが出来る。
クレーターの底で獣人型装甲がクロを押さえてクロの頭部を掴む右手で、クロから命を奪う力を発動させる。
獣人型装甲にある胸部の装置ミズアベハがクロから力を命を奪う。
だが
「愚オア嗚呼アア」
獣人型装甲の右腕が吹き飛んだ。
爆発してグロテスクな人工筋肉と黒い人工血液を振りまき、獣人型装甲が右腕を押さえて下がる。
クロは立ち上がり、頭部についた獣人型装甲の右腕を振って外した。
獣人型装甲が
「ははははは! そうか、英雄として名をはせた者として、目に光を宿していると思い込んでいたが…そうか、そうか…お前は」
クロが獣人型装甲の額に銃口を向けて
「これ以上は…戦闘不能だ」
と、語る目に光はない。まるで深淵の闇の如く光が消えている。
獣人型装甲が目を細める。
クロは、左手にあるグングルニルで獣人型装甲の左下を撃った。
何かの装置が内部爆発して壊れた。
「自爆はさせないぞ」
獣人型装甲は自爆装置を起動させようとしていた。
獣人型装甲が項垂れて
「死に損なったか…」
そこへ二名の少年少女の装甲兵士達が来て、獣人型装甲を抱えて下がらせる。
少年少女の装甲兵士達は、焦げて損耗している。
そこへレナが来て
「クロ、大丈夫?」
クロが頷き
「ああ…レナの方は…まあ、レナが来たって事は…」
レナが
「ナイツの人達と四人は押さえたけど、二人が逃げて」
クロがグングルニルを下ろして獣人型装甲に近づくと、獣人型装甲を抱える少年少女の装甲兵士の二名が鋭い顔をする。
クロが膝を崩して
「もう、オレ達はお前等と戦わない」
その場の空から光の装備、ネオデウス装甲に身を包んだ聖帝ディオスのセイントセイバー部隊が到着して、クロとレナの周囲を守るように配置して、セイントセイバー部隊の数名が
「アナタ方を捕縛します。治療はこちらで行いますので…」
と、セイントセイバー部隊の一人が告げる。
クロが
「何が始まるんだ?」
と、獣人型装甲へ問いかける。
獣人型装甲が装甲の頭部を上げてクロを見つめて
「お前が強大な超越存在、宇宙王、絶対の神王ゆえに、それを…奪えるとして…超越存在が無き者達による争奪戦が始まるのさ」
クロが驚きと怒りの顔で
「誰が、それを指揮した?」
獣人型装甲が無事である左手で自分の胸部の装置ミズアベハを指さして
「ユーティック機関さ」
それを聞いてクロが鬼の顔になった。
レナはクロから信じられない程の怒りを感じて怯えた。
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次回、真っ白で真っ黒な戦争