白夜 60話 太陽神(優しい神様)
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救いを拒絶する者と過去の怨霊達の気持ちが一致してしまった。それにどう…答えるか?
囚われているヴァイレンがレイセンとのリンクを拒絶している。
レイセンが呼びかける。
「お願い、ヴァイレン…私はアナタを助けたいの…だから」
ヴァイレンの意識波動が広がる。
それは、ティリオにもレイセンにも、通信で繋がっているナイツの六人やクロ達にも伝わる。
悲しみと怒り、デザイナーズという目的の為に生まれた命、それに対する憎しみと絶望が伝わる。
”所詮、道具として生きる命なら…ここで…”
ヴァイレンの悲しさと、超越存在の八雷神を作る犠牲にされた者達の意識が相乗的に繋がって増幅し合っている。
意味が有る命の空しさ。
意味が無い命の空しさ。
その二つの違う立場が、お互いに理解し合って…怒りとしてファイライ時空を憎んで破壊したいと…
そこにあるのは、同じ結果を繰り返す世界を壊したいという願いだ。
レイセンが涙しながら
「そんな、でもね、でもね…」
レイセン一人が手を伸ばしても、多くの手がヴァイレンと繋がって離れない。
別の場所、サルヴァードのセロ・シャヴァラスとリヴォルリアサン・デロが組み合う。
両者が放つエネルギーの波動がぶつかって、波のように宇宙へ広がって様々な場所で質量、星々を誕生させるエネルギーを生み出す。
クロが組み合うリヴォルリアサン・デロに
「お前も…オレ達と同じってか」
コアから見えるリヴォルリアサン・デロは、無言だ。
クロが微笑みながら
「確かに、世界は変わっていねぇよ。お前達を産み出した悲しみが繰り返すのかもしれない」
レナがクロを見つめてて
「クロ…」
クロはレナの頭を優しく撫で
「でもよう。それだからって、未来を奪っちゃあいけねぇ…。確かにオレ達を苦しめた連中が生きていて、そして、世界は変わらなくて、憎しみの再生産ばかりよ。でもよ」
と、セロ・シャヴァラスの組み合う両手が強くなり
「だからよ! オレ達の痛みは、オレ達だけのモノだ! 相手に同じように与えちゃあならねぇ! それは、オレ達を傷つけた連中と同じになってしまう!!!!!!!!」
セロ・シャヴァラスがリヴォルリアサン・デロを押す。
「オレ達が出来る事は、こんな悲劇があったって歴史に残す事だ! それが…どう影響するかは…未来の連中に選ばせればいい」
セロ・シャヴァラスはリヴォルリアサン・デロと組み合う両手からエネルギーを伝達させる。
クロが
「オレ達は、ソロソロ…終わるべきだ。過去の残滓は過去に還る。そうだろう!」
リヴォルリアサン・デロへ浄化を促進する力を流す。
◇◇◇◇◇
オメガデウス・ゼノディオスからレイセンが飛び出して、目の前にあるヴァイレンがいる結晶の十字架へ飛び出して抱き付き
「ヴァイレン…わたし…」
双極の指輪を通じてヴァイレンにレイセンの思い。
一緒にいたい…お互いに…隣に…
純粋で暖かい願いがヴァイレンに伝わる。
ヴァイレンは
「それに…自分は相応しいとは…え?」
と、唐突にヴァイレンの背中が押されて、ヴァイレンが結晶の十字架から解放されて、抱き付くレイセンと共に宙に放られるが、それをティリオのオメガデウス・ゼノディオスが両手でキャッチした。
唖然とするヴァイレンが、解放された場を見ると、光の十字架の向こうに微笑む男性がいた。
八雷神、ヤライだ。
クロが注いだ浄化の力にヤライの力が混じっていて、それがヴァイレンを解放する力になった。
幽玄のヤライが微笑み
”いいじゃないか。君の事を何よりも大切に思ってくれる彼女の為に生きる。理由としては十分すぎる”
ティリオは急いでオメガデウス・ゼノディオスにヴァイレンとレイセンを入れて、脱出する。
脱出したと当時に、超龍帝リヴォルリアサンが爆発して、イージスの盾が光になって巨大な光の柱を伸ばす。
「うあああああああ」
と、イージスの盾を維持していたナイツの六人のメガデウスが弾き飛ぶ。
全長四十万光年サイズの光の十字架が現れる。
それによって更に時空許容量が増えた。
セロ・シャヴァラスにいるクロとレナ、レナが
「クロ! イケるよね」
クロが微笑み
「あああ!」
セロ・シャヴァラスが更に神化する。
爆発して、全長二百億光年となって、サルヴァード・シャヴァラスが出現する。
クロとレナは共に手を繋いでいる。
サルヴァード・シャヴァラスのコアに二人が浮かび、レナが
「もう…おやすみの時です」
クロが
「浄真成仏、滅欲、丞賢、悪滅、活仏、汝達の苦しみ。ここで終わりぞ」
サルヴァード・シャヴァラスの左手にある光の縄、九天龍頭がサルヴァード・リヴォルリアサン・デロと、超龍帝リヴォルリアサンが光の十字架となった二つを結び
サルヴァード・シャヴァラスの右手にあるゼディウスの剣が二つを貫いて浄化した。
八雷神の始まりとして使われた命達の怨霊が浄化されて、天に、高次元へ還っていく。
そして、浄化された八雷神の力は、双極の指輪で、双極の超越存在となったヴァイレンとレイセンの二人に継承された。
双極の超越存在がファイライ時空に誕生した。
天に還る魂達を星艦エンライから見つめるアマガラが
「もう、二度と…このような悲劇が起こらぬよう。伝え語り続けます。兄さん、皆さん」
◇◇◇◇◇
クロは、ビーチパラソルの下にいた。
「ああ…熱い…」
と、グラサンにパーカーを着込むオッサンの姿で、パラソルの下で日を避けている。
その前には
「いくぞ!」
「はい!」
「それ!」
と、水着で遊んでいるナイツの六人の彼ら彼女らがいた。
ナイツの六人と共に…クロは休暇を取っていた。
クロがいるパラソルに
「はい」
と、レナが飲み物を買ってクロに渡す。
「お、ありがとう」
と、クロは受け取って口にする。
その隣に水着のレナが座って
「ノンビリと休めるね」
クロが飲み物を取りながら苦笑いして
「そうだな…聖帝ディオスのお膝元でないなら、良かったけどよ」
クロ達は八雷神の事件を終えて、聖帝ディオスの惑星アースガイヤへ来ていた。
今回の事件の事情聴取という名目で、聖帝ディオスの惑星でリゾートを体感している。
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次回、後日談 前編