表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1001/1109

白夜 56話 兄の怒り

次話を読んでいただきありがとうございます。

かつての八雷神の弟から語られる真実、それは…


 クロ達とレイセン達がいる二つの宇宙戦艦が、本来の復活を果たした惑星級の存在、リヴォルリアサンを後ろに全力で逃げる。


 超越存在の惑星、超龍帝リヴォルリアサンが形状を変えて封印されていた惑星。

 そこを包んでいた次元圧縮結界は消滅していた。

 超龍帝リヴォルリアサンの力によって消滅し、封印される前の宇宙へ出た。

 そこは、ファイライ時空の外縁だ。

 その宇宙の外縁で、リヴォルリアサンを中心に深紅の光が広がる。

 その深紅の光が逃走するクロ達の宇宙戦艦に届きそうだったが、クロ達は間一髪で超空間ネットワークトンネルへ入り、空間転移して逃れた。


 リヴォルリアサンを中心とした深紅の領域は、全長四十万光年に広がって、深紅に輝く銀河のようになった。


 そこから数十万光年先へ空間転移したクロ達の宇宙戦艦の二隻。


 クロが宇宙戦艦の艦橋にいて、深紅に渦巻く巨大な渦を見ていた。


 クロの前には、操縦するジースとミリアスがいて、ミリアスが

「一体、何が起こったんですか?」


 クロが操縦席の端末に触れて

「オレと繋がっているエルドリッジとリンクさせて、内部で起こっている事を…」


 あの深紅の渦で起こっている事をリヴォルリアサンの表面に留まっているエルドリッジが伝える。


 そこには、深紅の宇宙で泳ぐ全長が数千キロサイズの魚類の形をしたバケモノ達が蠢いていた。

 それは、凶暴な姿と牙を持ち全身に数百メートル級の宇宙戦艦を一撃粉砕する鱗のミサイルが無数に生える、宇宙を回遊する肉食魚達。その巨大さは数千キロ、日本列島サイズばかりだ。


 クロの後ろにいるレナが

「これって一体…」


 クロが鋭い顔をして

「まずは事情を聞かないといけない者がいるが…」


 クロ達の宇宙戦艦の二隻にファイライ時空の星艦エンライが近づく。

 星艦エンライから

「こちらは、ファイライ時空所属の星艦エンライである。認証からするに、クロード様達とお見受けするが…」


 クロが通信を出て

「こちらは、クロード・リー・ナカタだ。認証は正しい」


 星艦エンライの通信が

「そうですか。よかった。クロード様…アマガラ様がお話がある…と」


 通信でレイセンが

「大爺様が来ているのですか!」


 クロが

「そうか、生きていたのか…」


 クロ達の宇宙戦艦は、星艦に回収された。


 ◇◇◇◇◇


 星艦エンライの中心、コントロールする機能が揃った内部惑星。

 そこの都市部へクロ達が招かれる。

 

 千キロ越えのタワーの最上階にクロ達が乗る小型宇宙船が止まり、クロとレナ、ミリアスにティリオ、レイセンとディアの六人が降りて室内へ入る。

 直ぐ入った場所は、巨大なドームでその壁面全体に問題のリヴォルリアサンの深紅の宇宙域の全体が映っていた。


 その中心、車椅子ベッドにいる老人アマガラがお付きの男性と共にいた。


 レイセンが駆けつけて

「大爺様」


 アマガラが微笑み

「レイセン、無事でよかった」


 そこへクロ達が来て、アマガラがクロに

「懐かしい。また、会えるとは…思いもしませんでしたよ。クロード殿」


 フン…とクロは鼻息を荒くして

「そうだな。また、会えるとは…」


 アマガラが

「我らファイライ時空がアルテイル時空共和国へ加入したのも、貴方が戦っていた時期の最後の頃でしたからね。そして、五百年後に…こうして再び相まみえるとは…」


 クロがアマガラに近づき

「積もる話もあるだろうが…悪い色々と急かしているんでね」


 アマガラが頷き

「分かっています。兄さんの本来の復活。ヴァイレンなら…問題ないと…」


 クロが厳しい目で

「八雷神の本来の復活…つまり、オレが封印したヤライは、本来のヤライじゃあないって事か…」


 アマガラが頷き

「大半の力を封印して、我々が扱いやすいようにした状態でしたので」


 クロが難しい顔で

「聞きたい事がある。ユニックインダストリーとユーティック機関、もしかして…繋がっていたのか?」


 アマガラが頷き

「はい。本来は一つの機関でした。それが…様々な時空へ渡り、それぞれが超越存在の研究を行い、ファイライ時空のユーティック機関が…兄さんを作った」


 クロがアマガラを見つめて

「どんな方法で、ヤライを超越存在にした?」


 アマガラが悲しい顔で

「超越存在、ハイパーグレートと…ホモデウス、アヌンナキ。その相反する二つは、同じ根源的な理論で成り立っています。ですが…両者は決定的に違う。だが、その根源的な理論を流用すれば…どちらでも可能な筈だ…と。それが間違いだった」


 クロが渋く顔を伏せて

「アヌンナキの方をベースに超越存在を作ったのか…」


 アマガラが頷き

「その通りです。多くの意思達を収束融合させ、高次元領域からの適合性を高めた後、それを…最も覚醒する力がある個体へ融合させる。アヌンナキを作る過程を超越存在にする過程に使って、完璧に作り出す…筈でした」


 クロが鋭い目で

「だが、失敗した」


 アマガラが頷き

「はい、失敗してファイライ時空を滅ぼす存在を産み出す寸前に、兄さんを分裂させた。一つは人工惑星とした超龍帝リヴォルリアサンへ、記憶を奪い一部能力を付加させた…もう一人に…。権能と人型の分離、封印を行いました」


 クロが頷き

「なるほど…で、この結果という事か…」


 アマガラは

「我々は、過去の失敗から、安定した超越存在を再創造しようとした。その為にヴァイレンをデザイナーズして、我々の中でも超越存在の覚醒が可能なレイセンの超越存在の覚醒と共に、ヴァイレンが兄さんの権能を制御するリミッターになり、成功するはずだった」


 クロが

「だが、違った。ヴァイレンは…権能に呑み込まれた」


 アマガラが

「はい、兄さんから分離した権能には、兄さんの深い憎しみが…宿っていた。それにヴァイレンが…」


 クロが皮肉気味に

「犠牲にさせられた連中の恨みも混ざっているんじゃあないのか?」


 それにアマガラが俯く。

 否定できない。自分達の権力にとって邪魔な存在、自分達の社会にとって邪魔として排斥した者達の多くが…超越存在を作る際に使われたのは事実だ。


 それにクロは察して

「なるほど、だから…”もしものお願いだが…私を求めて苦しむ者がいたら…助けて欲しい”って意味がな…」


 ティリオが

「どういう事ですか?」


 クロがティリオを見つめて

「八雷神という超越存在を産み出す為に犠牲にさせられた者達の魂を、私を求めて苦しむ者達って言っていたんだよ」


 ティリオがハッとして

「つまり、分離した権能のコアとなっている憎悪…憎しみの魂達を救って欲しいって…」


 クロが頭を撫で

「普通なら、自分の後継者となる者を助けて欲しいってのが筋だが。そうじゃなかった。私を求めて、つまり、分離した八雷神の片方にある憎悪…憎しみの復讐を求めて苦しむ者達の魂って事だ。厄介な意味合いを隠しやがって!」


 レナが

「だから、あの人工惑星を封印の場所に選んだ…」


 ミリアスが感慨深い顔で

「クロさんが、何時か…自分に宿る憎しみの魂達の復讐からの救済を託して…」


 クロが嫌そうな顔で無言だ。


 レナが

「クロなら…可能だよね」


 クロは無言の肯定をする。


 ミリアスが

「なら、早い方がいい。あの問題の宇宙域には…明らかにヤバい存在達が溢れている。それが解き放たれたら…」


 そこへレイセンが

「あの、クロード様が対処できるとして…ヴァイレンは、どうなるのですか?」


 全員の視線がクロに集まる。

 クロが

「おそらくだが…ヴァイレン少佐は、それを動かす為のコアにされた。だから、一緒に…始末するしかない」


 レイセンがクロに駆け寄り

「他に、方法がありますよね?」


 クロは渋い顔をしてレイセンから顔を逸らす。


 レイセンがクロの胸ぐらを掴み

「お願いです。ヴァイレンを助けてください!」

と、レイセンの叫びが虚しく響い

ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きを読みたい、面白いと思っていただけたなら

ブックマークと☆の評価をお願いします。

次話を出すがんばりになります。

次回、繋ぐ絆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ