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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
アニエス事変
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第99話 ロマリアでの大きな晩餐会

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスはソフィアからのロマリア同行に指名されショックを受け、屋敷に帰ってアイカや赤ん坊達に癒やされようとしたが…


 ディオスは急いで、屋敷に帰って

「アイカーーーー ティリオーーーーー リリーシャーーーーー」

 ロマリアに再び、出張しないといけない事に、ショックを受けて、三人のいる子供部屋へ突入する。

 そこではアイカが、ティリオとリリーシャを両腕に抱えて座っている。


「うぉぉぉぉぉぉぉ」

 ディオスが三人に抱き付こうとすると


 アイカが抱えている二人を離して

「パパ、仕事、サボっちゃあダメ」

と、アイカはディオスを指さした。


「え…」

 ディオスは固まる。


「ソフィア様から聞いた。パパ、大事なお仕事があるって。それが終わるまで、アイカとティリオにリリーシャの相手、ダメ!」


 ディオスの脳が全く事態を理解出来ていない。


 完全にディオスはフリーズしていると…レベッカが来て

「旦那様…。ソフィア様より、先程…ご連絡がありました。大事な外交としてのお仕事を任されていると…。ですので…アイカ様やティリオ様にリリーシャ様と、お戯れになるのは…それが終わった後という事で…」


 カタカタカタとディオスは右にいるレベッカの方へ顔を向ける。

「マジで…」


 レベッカは厳しい視線で眼鏡を上げ

「マジでございます。ですので…アイカ様にご協力をお願いしました」


 アイカが

「大事なお仕事、終わるまでダメ」

と、手で×印をした。

 

 ガフ!

 ディオスは内心でダメージを受けた。

 それはそれはHP9999に9998の攻撃をされてHPは1になるレベルだった。


 ディオスはユラ…と動いて何処かへ行こうとしたら、レベッカが

「ゼティア様も同様にするように、ゼリティア様に連絡を入れましたので…」


 ディオスはその場にガクッと落ちて両手足を床に付ける。


 レベッカが

「ですから、思う存分、お仕事に専念してください」



 ディオスはその夜、フェニックス町へ行く。

 地区の連絡会もあるが…とにかく愚痴りたかった。

「クソーーーー 外交なんて、王様なんだから、お前がやれよーーーー なんで、オレばっかりに色々と押しつけるんだよーーーーー」

 ディオスは荒れて一杯引っかけ


 それを、ヒロキやフェニックス町の人達が聞いてくれていた。


「アイカだって、今が大事な時期だったんだぞーーーー 学校の事だってあるし、保護者会だってあるしーーー とにかく、色々あるんだぞ! それを、あのワガママ王様はーーーー」


 フェニックス町の人達は半笑いで「まあまあ」と宥めていた。


 その後、酔いつぶれたディオスをクレティアとクリシュナが回収する。


 ディオスが愚痴る理由の大半は、子供といたいという親バカだ。


 ディオスを魔導車の後ろに乗せて運転するクレティアが

「はぁ…なんか…ダーリン変わったなぁ」


 助手席にいるクリシュナが

「そうね。前はもっと冷徹な部分があったけど…。でも…今の方がいいわ。優しい所が増えたしね」


 クレティアが微笑み

「ああ…賛成、アタシも思うわ」


 クリシュナが後ろの席に眠るディオスを見て

「だって、子供達が産まれる前までは…本当に一人だったんだから」


 ディオスは寝ぼけ眼に

「アイカ…ティリオ…リリーシャ…ゼティア…ダンロ…フェル…アル…リディア…シャル…ティダ。パパはこっちだ…ぞ…」

 どうやら、子供達と遊んでいる夢を見ているようだ。




 バルストランから出発して、ロマリアの首都モルドスに到着したディオス達。

 ソフィアを筆頭に、レディアン、ナトゥムラ、カメリア、ディオスとその仕官達、バルストランの一行は、首都の傍にある皇帝城へ入る。

 相変わらず、数キロサイズの広大さを誇る皇帝城に目を見張るディオス。

 

 デカいなぁ…そんで、色々と調度品があるなぁ…。


 ディオスは廊下にある甲冑を見つめると、甲冑の頭部の格子の奥に光るモノが見えた。

「なんだ?」

 ディオスは首を傾げると


 そこへレディアンが来て

「何をそんなに見つめている?」


「いや…この骨董品…立派だなぁって」


 レディアンが首を傾げ

「何を言っている? この甲冑は全て防犯用の特殊防衛システムだぞ」


「え?」


「夜には、廊下に不審者がいないか監視をして、必要に応じて動くのだ。知らなかったのか?」


 ディオスは廊下にある甲冑達を見つめ

「はぁ…これ、全部がねぇ…」


「常識だ」とレディアンは告げた。



 ディオスはソフィア達と共に廊下を歩いて、ライドルのいる皇帝の間へ向かっていると、前方からライドル達が来た。


 ライドル達はソフィア達と接触して

「バルストラン王。こっちより挨拶に向かっていたのに…」

 

 ソフィアはお辞儀して

「ライドル皇帝、今日はこのようなご招待に預かりまして感謝致します」


 ライドルはフッと微笑み

「バルストラン王よ。堅い挨拶はいい。よくぞ、我が皇帝城へ来てくれた。ゆっくりと楽しんでくれ」


「はい」とソフィアはお辞儀する。


 ディオスはソフィアの礼儀正しい姿を見て眉間を寄せる。

 今日のソフィアの格好は、白を基調として清楚なドレスである。

 すっごく、栄えてソフィアの魅力を十倍増しにしているが、何時ものじゃじゃ馬ソフィアを知っている身としては、何か…しっくりしない。


 更にそこへアインデウス一行が来た。

「おやおや、バルストラン王よ。早速、いの一番にロマリア皇帝と挨拶を交わすとは…なかなか、気が抜けないですなぁ…」

 アインデウスが告げる。

 その両脇にはディウゴスと白姫のアルディニアがいる。


 アインデウスは、ライドルに近付き

「ロマリア皇帝、本日はお日柄もよく、絶好の日和ですなぁ…」


 ロマリア皇帝は軽く会釈して

「アインデウス皇帝、よくぞ来てくれた。感謝する」


 ライドルは手を伸ばすとアインデウスも手を伸ばして握手する。

「こちらこそ…この様な日が来られた事に感謝する」

 アインデウスは微笑む。


 嘗ての二大超大国の皇帝が握手を交わしているのだ。

 世界は確実に変わり始めている。

 そう…ソフィア達も思っているが、


 ディオスだけは

 面倒くさい事も増えそうだな…

 そう思っていた。


 ライドルが、ディオスに

「ディオス。どうだ? 最近は?」


 ディオスはフッと微笑み

「ええ…その…子供が増えまして…喜んでいたら、ねぇ…アインデウス皇帝陛下」


 アインデウスは肯き

「ああ…そうだな」


「何だ?」とライドルは二人を見つめる。

 

 ライドルはアインデウスから、ディオスが、自身の命を奪うために利用された子供達を自分の子供にした事と、その別れについても話すと…


「そうか…それは辛かったのぉ…」

 シミジミとライドルは頷き

「だが…ディオス。お前を父と子供達がしたという事は…お主は、ズッとその子達の父親という事だ。

 お主の愛情が素晴らしかったのだ。愛情で結ばれた縁は一生モノだぞ。

 どんな距離があろうとも…切り離すことは出来ない。距離なんぞ無意味だ。だから…離れているからといって、心配する事はないからな」


 それを聞いてディオスは目を輝かせ

「ライドル皇帝陛下…」

 感動してしまった。


 アインデウスもウンウンと肯き

「ロマリア皇帝の言う通りだ。次に子供達との会は一ヶ月後にするか? セッティングしてやるぞ」


 ライドルは五人の妻との間に十五人も子供がいる。そして、更に養子として子供が十六人もいる。

 皇帝城には孤児院が設置されていて、暇な時は必ず孤児院へ行って孤児の世話を職員と共にする。

 そのお陰もあって養子が多い。


 アインデウスは、三人妻達の間に十二人の子供がいる大家族だ。

 ライドルもアインデウスも子宝の王様だ。

 

 ディオスはそんな大家族を持つ二人に

「ライドル皇帝陛下、アインデウス皇帝陛下…。子供を育てるコツとは?」


 そんな言葉にライドルはハッキリと

「そんなモノはない!」


 アインデウスは大きく頷く。


 ライドルが

「子供は一人一人全く違う。それにマニュアルなんぞ存在しない。病気や食事の対処とか、そういう出来る事ではあるかもしれんが…。子供というのは、一人一人に合わせてオリジナルで育てる。それが楽しい。一人一人違うのだから良い」


 アインデウスはウンウンと大きく頭を頷かせる。


「成る程!」とディオスは目を輝かせた。


 そして、自然とディオスとアインデウスにライドルは右腕を掲げて合わせ

『子供、最高ーーー 育児、最高ーーーーー』

 三人で掛け声をした。


 そんな意気投合する三人を見てソフィアが顔を引き攣らせ

「何をやっとんだ? アイツ等は?」



 その後、皇帝城の巨大な晩餐会場で、アーリシア十二国王達とアインデウス皇帝、トルキア共和国の首相、と食事会となり様々な事を話し合う。

 お互いの国に、企業を出す場合は、共同出資の合弁会社にする話や、国境に関しては、共同で犯罪者を取り締まろうとか、ロマリアにグランスヴァイン級魔法運用者を提供する話まで出た。


 そうして、大きな晩餐を終えた後、巨大な会見の場で、この会合の成果を伝える記者会見に、各国の王が言葉をしていると、ディオスが呼ばれた。


 え!とディオスは顔を引き攣らせるも、強引にディオスは会見の場に立たされた。


 百人近いその会見場で、フラッシュを浴びるディオス。


 ディオスは、うーんとした後、言葉にした。


 その同時刻、ロマリアとトルキアとの国境で、ロマリア南方軍とトルキア国境軍の警備隊の魔導車が物々交換している。主に地酒とか地場産の食べ物とか。

 そこで、魔導車の隊長達が、お互いの国の酒瓶を開けて、会見の様子を魔導端末で見ていた。


「なに、言うんだろうなぁ?」

と、ロマリアの兵士。


「さぁ…楽しみだ」

とトルキアの兵士。



 ディオスが会見の場で、目線を上げて

「自分は、アーリシアの大英雄なんて呼ばれていますが…。それよりももっと素晴らしい人達がいます。自分なんかちっぽけになるくらいの人達です。それは…このモルドスが危機の時に駆け付けてくれた勇士達です。

 ロマリア南方、西方軍。トルキア共和国軍、フランドイル王国軍、アインデウス皇帝の部隊ドラゴニックフォース、アーリシア統合軍。

 彼ら全てが自分なんかより素晴らしい大英雄です。

 お互いの国には、深い溝がありました。それは…埋める事が難しい問題でした。

 なのに、そんな事を乗り越えて、ロマリアの民の危機の為に、立ち上がってその全ての力を持って、ロマリアの無辜の民を救ってくれた。

 彼こそ! 真の大英雄です。

 私は、そのような素晴らしい勇士達がいる事に誇りを感じます。

 勇士達に栄誉と祝福を!」


 そう、言葉を締めた瞬間、記者達が立ち上がり一斉に拍手した。


 それにディオスはお辞儀をして応えた。


 ディオスの会見を見たロマリアとトルキアの国境にいる両隊は、隊長同士が


『お互いの勇士に乾杯』

と、楽しげに開けた酒瓶を交わした。


 トルキアとロマリアとの間にあった溝は急速に埋まっている。

 色々と問題は山積みだが、それを乗り越えて前に進める兆しが両国には見えていた。



 それはフランドイルとロマリアとの緩衝地帯でも起こっている。

 楽しげに肩を組んで、フランドイルとロマリアの兵士が、お互いの国の酒瓶を交換して飲み合っているのだ。



 その会見の映像を見ていた一人の老人がいる。

 魔族の曲がり角を持ち、ライドルと同じ青髪で青目を持つ老人。

 先々代のロマリア皇帝たる上皇イルドラは、ディオスの様子に

「流石…孫や、アインデウス皇帝を魅了する事だけはある。会うのが楽しみじゃわい」

と、微笑んだ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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