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リバース!  作者: 渡里あずま
第一部
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桜の木の下2

「恨めしげに見るな。せっかくの見た目が、台なしだぞ」

「うるせぇよ、このマッチョ野郎」


 痛いところを突かれて、俺はジトリと目を据わらせた。

 俺はクォーターではあるが、身長はむしろ小さい。しかも華奢。まあ、変にあちこち出っ張られても複雑だが。

 そして、唯一の取りえのように言われた見た目は――困ったことに、ますます美少女になっていた。

 背の半ばまである栗色ストレートヘアと、同色のまつ毛に縁取られた大きな瞳。無駄に良いこの容姿のせいで、俺は色々と苦労する羽目になったんだ。


(告白とか隠し撮りとか変質者とか……ったく、思い出してもムカつくぜ!)


 おかげで俺は、出来るだけ椿と一緒に行動することになった。

 それこそ自画自賛になるが(目つきと性格は悪いが)眉目秀麗、更に文武両道の椿といれば、大抵の奴は気後れして近寄ってこないからだ。

 とは言え、周りを気にする生活は少し、いや、かなりストレスがたまるので。


「椿、今夜、やるぞ」

「解った」


 二人だけに通じる言葉を交わして、俺達は校舎へと歩いていった。

 ……どうせまた、ポモナの計らいでおんなじクラスだろうからな。



 魔法で、光を作ることは出来る。

 だが、魔力は無限じゃないんで勿論、照明なんかには使わない。バテたら真っ暗なんて、不安定すぎるからな。

 でも、薪や油も無料ただじゃないから、テルスでは大きな街や酒場以外では夜が早かった。

 だから地球みたいに、夜の九時過ぎても明かりが点いてるなんてなかったから――ここみたいに、街灯の明かりも届かない方がなじみがあったりする。


「ぐはっ……!」


 呻き声、その少し後に鈍い音が上がる。

 暗闇の中、桜の木を背に俺はトンッと肩にビニール傘を乗せた。

 そして、声の主――地面に転がった、知らない男を見下ろした。

 ……そんな俺に、それから気絶した男にヒラリ、と花びらが舞い降りてきた。


「……って、言っとくけど、ストレス発散の為のオヤジ狩りじゃねぇからなっ!?」

「貴様、誰に説明している?」

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