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リバース!  作者: 渡里あずま
第二部

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66/73

魔法少女に必要なもの

「……復讐じゃ、ありません」

「うん」

「ただ、悔しかっただけです」

「そっか」


 淡々と言葉を紡ぐ永愛の顔を覗き込みながら、骸骨野郎があいづちを打つ。

 俺からすれば悔しいのは理由で、やっぱり骸骨野郎の代わりに仕返ししようとしたと思うんだが――それを俺が言っちまうと、薮蛇になりそうなんで黙っていることにした。

 けれど、そんな俺の気遣いを椿があっさり一蹴してしまう。


「おい、左衛。お前の手駒は、これで全部か?」

「……これ?」

「ちょっと、椿?」


 椿の言葉に永愛の目が据わり、明珠の眉が不快げに寄せられる。

 せっかく、上手くまとまると思ったんだが――とは言え、問いかけられた左衛はと言うと相変わらず笑顔のままだ。


「ああ、実験して解ったんだけど超能力の発現って、十八歳以上だとほぼ失敗するんだ。逆に子供、あと女性だと成功する……法則性が解れば、これ以上の実験は必要ないからね」

「なるほどな」

「って、ンなはっきり『ガキ並の馬鹿』を見る目で見なくても!?」


 頷いた椿に、骸骨野郎がツッコミを入れる。

 けれど、それを完全にスルーした状態で椿は言葉を続けた。


「それで、この『施設』は成り立つのか?」

「今回の実験自体、祖父の代から引き継いだものだけれど……今では、実験の副産物だった微弱電流の方が収入源になっているからね。この『施設』はむしろ、当主の道楽なんだ」

「ほう」

「それに、スポンサーが欲している『力』はそれこそ手駒としてだからね。自分が、異能を使いたい訳じゃない。黒城は、そこを少し間違えてしまったけれど……亮が『唯一』の成功例として働いてくれているから、問題ないよ」


 笑顔で語られる裏話に、聞いていて背筋が寒くなった。

 明珠や永愛の存在は上手く隠されているみたいだが、これ以上はこの話題を掘り下げない方がいいのでは――そう思っていたら、椿が思いがけないことを言った。


「気が変わった」

「えっ?」

「ああ、こいつを渡すつもりはない。ただ、その骸骨男やガキと闘って、こいつの魔法の使い方にも幅が出来た」


 そこでニッと口の端を上げて、椿は言葉を続けた。


「魔法少女のレベルアップには、新たな『敵』が必要だ。お前にも、悪い話ではないだろう?」

「確かに、こっちも今のままだと亮の一人勝ちだからね」


 世間話をするように、二人が笑顔で話を進める。

 ……えっ? それってもしかして、俺の魔法訓練にこいつらとのバトルが追加されるってことか?


「決まりだ。さしずめ、貴様は『火だるま男』というところか。これからよろしくな」

「ちょっ、それ、適当じゃね!?」

「私も、今度は負けませんから」


 笑顔で上から発言を放つ椿と、少々、ズレたツッコミを入れる骸骨野郎。そして、その骸骨野郎の腕にしがみついて、永愛が俺へと宣戦布告してくる。


「楽しそう……あたしも、椿の学校に転校しようかなー」

「明珠には、セーラー服よりブレザーが似合いますよ」

「エヘヘ、そう?」


 ガックリと肩を落とす俺の後ろでは、馬鹿ップルが馬鹿な会話を交わしていた。



『敵』の出現は、月に二回~三回ほど。いつ来るかとどちら(骸骨野郎と永愛)が来るかは、解ると訓練にならないので明かさない。ただ(骸骨野郎はともかく)俺達は学生なので、お互いの学校の試験の時は控えることになった。

 ……そして、俺と椿に会った安曇は「目的は果たしたから」と元の学校に戻った。

 明らかに不自然なそれは、けれど周囲からは「椿に目をつけられたから」と納得されて――詮索されないのは良いが、俺としては幼なじみへの認識と将来が少々、心配になった。

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