表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバース!  作者: 渡里あずま
第二部
65/73

幕間 ~永愛~

 そもそも、私は両親を知らない。知識としてはあるが、生まれてすぐに捨てられた私は親の顔も名前も知らない。

 だから、名前をつけてくれたのは左衛で。一緒に、ご飯を食べてくれたのは明珠で。

 物心ついた頃には今のように無表情で寡黙だった私に、何かと声をかけてきたのは亮だった。


「んー? 何だ、永愛?」


 左衛や明珠は、何も言わなくても私のことを理解して世話を焼いてくれた。

 けれど、私が八歳の時にこの『施設』に私達同様、実験体としてやってきた亮は違った。いや、通じてはいるのにわざと私に『言葉』を使わせた。


「その服、変です」


 我ながら可愛げも容赦もないことを言っていると思うが、亮は怒らずにいちいちツッコミを入れたり、笑い飛ばしたりした。思うがままに振る舞っても、亮は絶対に私を嫌わない。

 そんな亮は、けれどどこにも行く当てのない私達とは違う。高校を中退し、家出もしているが本当の親も家もある。


「血が繋がってるのと、好きになれるかってのは別だぜ? で、まあ、家出してこの身一つだからな……稼ぐのに手っ取り早いと思ったし、失敗したらそれはそれだなって」


 亮に会ってから、今まで意識していなかった血の繋がりや家が気になり出した私に、亮はあっさりと実験体になった理由を告げて肩を竦めた。

 年上のくせに、死すらあっけらかんと受け入れる亮は、真っ当ではないかもしれないが――嘘のない言葉も、結果的に超能力を得て帰れなくなった事実も、ひどく私を安心させた。

 性質こそ違うが亮は私と同等、いや、どれだけ水を放っても消せない炎を燃やし続ける亮は、私以上の超能力者だ。

 そんな『絶対』の存在である亮が負けたことが悔しくて、私は亮を倒した相手に挑んだけれど――よりによって、亮と同じ方法で負かされるなんて思わなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ