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リバース!  作者: 渡里あずま
第二部

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求めるもの

「左衛はずっと、どうやったら力が手に入るかって探してた。悪いことに使うとかじゃなくて、ただその方法を知りたがってるの」


 超能力では俺が止められないと解ったからか、今度は説得が始まった。まあ、車の中でも聞いてはいたが。

 だから俺は、車では聞かなかった質問を投げかけた。


「悪用しないにしても、あんたらみたいな超能力者を生み出す方法に問題があるだろ?」

「問題なんてない。あたしや永愛は親に捨てられたし、亮は借金を返すのに、自分で引き受けたから……逆に、左衛に拾って貰った今の方が幸せよ」


 キッパリとそう答えた明珠の目に、嘘はない。本気でそう思ってることが解るし、明珠にとって左衛が絶対の存在だってことも解る。


(俺にとっての義父さんが、そうだったからな)


 それに調べられるのが俺だったから、さっきまでは話を受けても良いかって気になっていた――ただ、今は事情が変わった。


「……ゴメンな。椿が嫌だって言うなら、俺は引き受けられない」

「椿?」

「あ、えっと、決めたのは俺だから」


 俺が答えた途端、椿を睨みつけた明珠を慌てて止める。って、おい、コラ、睨み返すな椿。


「あんたも、この世の中が面倒だって言ってたじゃない。何で、左衛の邪魔をするの?」

「何で、はこっちの台詞だ。ここを離れる時に言っただろう。『興味深いものが見つかったから、やめる』と」


 睨んだまま問い詰める明珠に、しれっと椿が言い返す。

 ……この場合の『興味深いもの』って言うのは、俺なんだろうな。世間を面倒って思う幼児もすごいが、俺との出会いは相当、椿に大きな影響を与えたみたいだ。


「彼女がこちらにくれば、やめる必要はないだろう?」

「お前とこいつを、共有する気はない」


 そう思っていた俺の耳に、安曇の声が届く。そして、キッパリと椿に言い返されたのにクスクスと笑う声も。


「じゃあ、椿だけに研究をさせるなら首を縦に振るのかい?」

「そもそも、前提が違う。俺がしたいのは、こいつの研究じゃない。知りたいのも、データじゃない」

「……目に見えない心が欲しいって? むしろ、僕がそれを欲していないと思うのかい?」


 笑いながら尋ねてくる安曇が、優しく明珠の頭を撫でる。

 ……恋愛なのか、保護者愛なのかは解らないけれど。

 その仕種と、明珠の表情からは確かに安曇の『愛情』が感じられて――それは、椿にも伝わったんだろう。珍しく一瞬、躊躇した後、口を開いた。


「比較したのは、悪かった……だが俺は、お前みたいにはなれない」

「……椿、随分と馬鹿でお人好しになったんだね」


 哀れむような言葉とは裏腹に、安曇の笑みが深まる。


「今の君じゃあ、世界は変えられない。彼女は欲しいけど、今回みたいに施設ここを壊されるのも面倒だ」

「……左衛」

「ただ、君達の子供に魔法が使えるかは気になるな……ねぇ、椿? 彼女は諦めるから、子供が生まれたら僕達の子供との交際を考えてくれるかい?」

「はっ!?」

「いいぞ」

「椿、何勝手に請け負ってんだ!」


 と言うか、そもそも何で俺が椿の子供を生む前提なんだ。

 さらっと告白(プロポーズ?)された明珠は、目キラキラさせているけど! 俺まで巻き込むんじゃない!


「話は、終わりましたか?」

「……っ!?」


 そんな俺達にかけられた、聞き覚えのない声。

 驚いて振り向くと黒髪の、中学生くらいの女の子が、冷ややかにこちらを――いや、俺を睨みつけていた。

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