幕間 ~?~
引ったくりや放火魔を捕まえる。最初、そう聞かされた時にオレは思わず笑ってしまった。
「何? オレ『ら』に正義の味方やれって?」
確かに、オレには炎を操る力がある。とは言え、それは別に誰かを助ける為に得たモノじゃない。
(飯食って、生きてく為にオレは『オレ』を売ったんだ)
そんなオレが今更、何で?
そう思ったが、相手から告げられた言葉にちょっと興味が出た。
「正義の味方をおびき寄せて、テストしたいんだ……魔法の、ね」
「まほー?」
「ああ」
間の抜けた声を上げたオレは、悪くないと思う。オレの超能力もだが、魔法なんてアニメとかにしかない話だ。
……そう思って、いたんだが。
(確かに、風が起こった……超能力じゃないんなら、魔法だよな)
小悪党を探してて偶然、オレは件の『正義の味方』と遭遇した。
帽子を被ったチビがビニール傘を振った途端、強い風が吹き上げてきた。
今回は、あくまでも顔見せってことだったんで逃げてきたが、確かに興味はある。
……この超能力は、実験で引き出された力だ。だけど、魔法は生まれ持ってのモノだろう。
そして『ご主人サマ』のご希望通り、テストがあるんでオレ『ら』の誰かはあのチビと勝負するんだろう。
(養殖モノと天然モノ、どっちが強いのかね?)
部屋のベッドに寝転がり、ふと浮かんだ疑問にオレは笑った。