幕間 ~レオン~
今日、俺は死んだ息子と異世界で再会した。
……いや、まあ、転生していたので息子から娘に変わってはいたんだが。
「じゃあ、あの妙な乗り物でテルスに戻って……戻ったら、その『道』を閉じればいいんだな?」
「おう、こっちからは俺が魔法で閉じる」
見た目はまるで違うが、不思議と拳を握って笑う顔は同じで。
(俺と、テルスに帰らないか?)
魔法を使える今なら、もう苦労することもない――そう言いそうになった俺に、アンリは笑顔のまま言った。
「ありがとうな、義父さん」
「……えっ?」
「あ、剣を借りたことじゃないぞ? いや、それも助かったけど……ずっと、言えなかったから。俺を育ててくれて、ありがとう」
それは死に別れた息子から聞けた、感謝の言葉だった。
そして本人、意識してはいないだろうが俺への別れの言葉だった。
「……こっちこそ、ありがとな」
だから、俺は未練がましい言葉は告げずにそう返して抱きしめた。自慢の息子にとって、誇れる父親でありたかったからだ。
とは言え、昔のアンリに似た生意気な坊主に睨まれて――娘を持つ父親気分になり、前言撤回したくなった辺り、俺もまだまだだな。




