解決、そして新たな疑惑1
「ありがとうございます、すっごく美味しいです」
「良かった、口に合って……今度はケーキを用意するから、また遊びに来てね」
俺の膝に座り、俺がやったプリンを食べたポモナが、笑顔で晴香さんにお礼を言う。
可愛いもの好きな晴香さんは、そんなポモナをすっかり気に入ったようだ――いや、今度とかまたって言ってる辺り、バレバレだけどな?
「あ、ポモナ。教えてくれるのは、俺が狙われる理由『だけ』でいいからな?」
「えっ?」
「いくら俺の使い魔でも、お前、女神様だからな……あんまり不公平なのって、良くないと思う」
そう俺が言うと、ポモナは大きな目を更に見開き、晴香さんは戸惑った表情になった。
ちなみに椿は、いつもの無表情だ――まあ、呆れてるのは視線から伝わるけどよ。あんまり負担かけたら可哀想だしな。
「もう、生真面目なんですから……狙われた理由は、椿さんの言った通りですよ」
ふう、とため息をついて語られたのは、俺にとってもため息をつきたい内容だった。
「テルスと地球は、隣り合った空間に存在してるんです。転生はアンリさんが初めてですけど、大きな事故の衝撃や魔法の暴走で、そのまま互いの世界に飛ばされることはよくあるんです」
「えっ、そうなのか!?」
「もっとも、地球からテルスに飛ばされた方は……」
「いいぞ、ポモナ。言わなくて」
気まずそうに言葉を切ったポモナに、俺はそう言った。テルスは、魔法無しには本当に辛い世界だって痛感してるからだ。
「逆に、テルスから地球に来た方はほとんど生き延びます……とは言え、やっぱり元の世界に戻りたいじゃないですか?」
元々、テルスには使い魔召還のように他界(精霊界や天界、魔界)へ働きかける術がある。
あるが、それは使い魔に選ばれた相手が応えることで成立し、初めて行き来が出来るそうで。
地球からテルスに戻ることが出来たのも、伝説級の魔法使いが己の魔力と科学を駆使してやっとだったそうだ。何でも地球とテルスを強引に引き寄せた後、僅かな空間のひずみを装甲車でこじ開けたらしい。
「その時、地球とテルスには『道』が出来たんです。そして十年くらい前から、テルスの存在に気づいた研究者達がその『道』を使ってテルスに行って、捕まえてきた人達の魔力を奪っているんです」
「……そんな」
召還じゃなくて、拉致監禁。椿の予想以上にえげつないってどんなだよ、おい。