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幕間 ~?~
「思い入れって意味だと、前の子の方が良かったわね?」
薄暗い部屋。PCの液晶が、私の着ている白衣を照らす。
「つまりは、情に訴えないと駄目ってことよね?」
そんな私が眺めているのは、抱き合っている陸谷杏里と宝生椿の映像だった。部下に命じ、宮藤が捕まるまでをこっそり撮影させていたのだ。
魔法は夢物語じゃない。こうして、使える相手が確かに存在する。
……けれど、使っているのは私達と同じ『人間』で。
「つけ込むとすると……この子を使うのが、一番よね?」
そう呟くと、私はPCの液晶へと指を伸ばした。
そしてその指で、宝生椿の顔をそっと撫でた。