あとがき
これでこの話はおしまいです……と言ったら、読んでくださった皆さんは怒るのでしょうか。それとも失望するのでしょうか。はたまた軽蔑するのでしょうか。
この話を書き始めた時は、間違いなくこの時点で終わるつもりでした。もともと、暇潰しにショートストーリーとして書いた物なんです。
しかしここに来て、このまま終わることは読者様に対する裏切り行為なのではないかという気がしてきました。
この話を書こうと思った経緯は、偏に「にゃー子」という主人公を書きたかったからです。今までストーリーありきの話ばかり書いてきたので、たまにはキャラクターを先に創ろうかなと思った訳です。
それでなぜネコ娘なのかと言いますと、私が好きだからです。メガネ優等生の次ぐらいに好きです。だから羽川さんは、どストライクです。意味がわからない人は、「化物語」を是非読みましょう。
羽川さんと違って、常時ネコ娘の設定にしようと思っていた私は、それなら媚びてる感じじゃなくて天然物のネコ娘にしようと考えました。天然で「にゃーにゃー」言いまくる女の子……。知的障害者が真っ先に思いつきました。
ここで勘違いしないでいただきたいのは、この作品を書くことで知的障害者を卑下しようとか、そんなつもりは私には全くないということです。
さて、知的障害者を主人公に据えたハートフル小説を書き始めた私でしたが、そこには思わぬ壁が存在しました。
うまく描写できないのです。
もともと一人称視点(登場するキャラクターになりきって作者が文章を書くこと。神視点の逆)というのは、縛りが多い書き方だと言われています。それはその視点となるキャラクターが過度に頭が悪かったり、良かったりする時ほど顕著になるのですが、今回は前者でした。
しかしハートフル小説を一人称視点で書かないなんて、私にはあり得ません(心の動きが書きにくくなるから)。私は、一人称視点を貫き通すことにしました。
根本的に、書き方を変える必要がありました。
いつもの私は、同じ言い回しをできるだけ使わないようにするのですが、逆に同じ言い回しを何度も使うように心掛けました。
他にも、読者を引き込む技法を敢えて使わずに、読みにくい文章にするように心掛けました。特に、普通なら入る繋ぎの言葉を省きました。タメがなくなったせいで、文章の威力が激減しました。
上の2つにも増して苦労したところがあります。それは、にゃー子に理解できない現象・会話は描写しない、ということです。これが、この話をここで完結できない理由にもなっています。
今回のストーリーは、にゃー子に理解できないことが多すぎるのです。全てにゃー子の目の前で起こっているにも関わらず、理解できないので描写できないというシーンがいくつもありました。にゃー子にわかる範囲で描写して、そこから読者に答えを導き出して貰おうとしましたが、うまくいきませんでした。よほど裏を読まないと、読者には理解できない話になってしまいました。
この話の全てを理解して貰うためには、葵ちゃんあたりを語り部として、物語をリピートするしかありません。ただなぞるだけでは面白くないので、にゃー子編では想像もつかないような展開が必要になります。
しかし、それをやってしまうと、かなりの高確率で、この話がハートフルでなくなってしまうのです。ミステリー紛いの物語になります。それは嫌です。私が。
仮にミステリーになってしまうとしても、ハートフルなミステリーでありたいと思っています。ミステリー小説でありがちな叙述トリックとか、絶対に入れたくありません。
このように考えていくと、かなり縛りのある作品になる気がします。暇潰しで書いてるはずが、仕事以上の難易度を帯びてしまいました。正直、そこまでして書く必要あるか? と思ってしまいます。
現段階では、続編を書くかどうかはまだ決まっていません。これからの仕事の忙しさと、私のモチベーション次第です。
読者の方々がもし続編が読みたいとお思いであれば、一言コメントをいただきたいと思います。それだけで私のモチベーションがぐんと上がって、続編を書く可能性もぐんと上がります。
気がつけば、かなり長いあとがきになってしまいました。
ここまで読んでくださった皆さん。本当に、こんな下らない物を読んでくださってありがとうございました。次はもっとマシな物をお送りできるよう、精進していきたいと思います。
どうかこの次も、よろしくお願いします。
平成25年5月24日 泉野 戒




