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にゃー子  作者: 泉野 戒
3/4

今日も葵ちゃんはお休みだった。

わたしは今日も、どうしたら葵ちゃんが元気になるかって考えた。

でも頭が変で、何も考えられなくなってきた。

頭がキーンってなる。

目がぐにゃぐにゃする。

莉奈ちゃんが、「大丈夫?」って聞いてきた。

なんのことかわからない。

莉奈ちゃんが先生に何か言った。

先生が何か言った。

詠美ちゃんが何か言った。

詠美ちゃんが、わたしの手をやさしく引いた。

わたしは、詠美ちゃんがひっぱるほうに歩いた。

そしたら、保健室に着いた。

保健室の先生がわたしのおでこに手を当てて、「風邪だ」って言った。

それから、「寝てなさい」って言った。

わたしは寝た。

学校のベッドで寝るのは、変な感じがした。


起きたら、お母さんがいた。

お母さんが、保健室の先生に何か言った。

それからお母さんに連れられて、わたしは車に乗った。

車でも、わたしは寝てた。

わたしは寝たまま、「ごめんなさい」って言った。

お母さんは、「佳乃は悪くないわ」って言った。

わたしは、泣いた。

なんで泣いたのか、わからなかった。

泣き虫なわたしを、お母さんは怒らなかった。


家の布団で寝て、頭に冷たいのを貼ってもらった。

おかゆを食べさせてもらった。

わたしの顔の横に電話の子機を置いて、「何かあったら大きい1番を押しなさい」って言われた。

わたしは「うん」って言った。

それからお母さんは、仕事に行った。

わたしは寝た。


起きたら、おかゆが置いてあった。

お腹が空いてたから食べた。

おいしくなかった。

変だなと思ったけど、全部食べた。

トイレに行きたくなった。

下に降りて、トイレでおしっこした。

トイレを出てから、お母さんを探した。

どこにもいなかった。

変だなと思ったけど、よくわからなかったから寝ることにした。


夜は元気になったから、お母さんと一緒に普通のご飯を食べた。

お母さんが、「おかゆ作ったの?」って聞いてきた。

わたしは「ううん」って言った。

「じゃあ、あれは幸人ね」ってお母さんが言った。

あのおかゆは、幸人がつくったおかゆだってわかった。

幸人がわたしにおかゆを作ってくれてた。

なんだか、すごく嬉しかった。

おいしくなかったおかゆが、すごくおいしいおかゆになった。

わたしはすぐに、幸人の部屋の前に行った。

それで「ありがとう」って言った。

返事はなかったけど、悲しくなかった。


ご飯のあとに、わたしはつるを作った。

きれいじゃなくても、遅くても、がんばって作ろうって思った。

お母さんが、「早く寝なさい」って言った。

わたしは、「もう少し」って言った。

だけど今日は「病気したから駄目」って言われた。

わたしは部屋に入って、ベッドに入った。

だけどドキドキして、なかなか眠れなかった。



今日は学校に行く途中で、千晴ちゃんと縷々ちゃんに会った。

千晴ちゃんが、「大丈夫?」って聞いてきた。

わたしは「うん」って言った。

それから千晴ちゃんが小さい声で「これ」って言って、つるを出した。

びっくりした。

10個ぐらいあった。

「家で作った」って、千晴ちゃんが言った。

「学校じゃ怖いから」って、縷々ちゃんが言った。

わたしは「ありがとう」って言って、つるをしまった。

それから、三人で一緒に学校へ行った。


今日も葵ちゃんはお休みだった。

わたしはがんばってつるを作った。

千晴ちゃんと縷々ちゃんだけじゃなくて、他の人もつるをくれた。

字を書いてるのもあった。

「色々ごめん。でも俺はお前の味方だ。ガンバレ」

その字を見て、わたしもがんばろうって思った。

早く葵ちゃんにも見せてあげたいって思った。


放課後に、日直の詩織ちゃんから葵ちゃんのプリントをもらおうとした。

そしたら、「私も行っていい?」って聞かれた。

わたしは「うん」って言って、一緒に行くことになった。


葵ちゃんのお母さんにプリントを渡したら、「上がっていく?」って聞かれた。

びっくりした。

もちろん、「うん」って言った。

でも詩織ちゃんは、「私はいいです」って言った。

それで、わたし一人で葵ちゃんの家に入った。


葵ちゃんのお母さんが、「葵の為にありがとう」って言った。

わたしは、なんて言っていいかわからなかった。

葵ちゃんのお母さんは、お茶とお菓子を出してくれた。

でもわたしは、それよりも早く葵ちゃんに会いたかった。

そう言ったら、葵ちゃんのお母さんは「ありがとう」って言ってから、2階の部屋に連れていってくれた。


葵ちゃんのお母さんが部屋の扉ををノックした。

「いいよ」っていう葵ちゃんの声が聞こえた。

葵ちゃんのお母さんが扉を開いた。

わたしは、久しぶりに葵ちゃんを見た。

葵ちゃんは、びっくりしてた。

思ってたよりも元気そうでよかった。

わたしが中に入ると、葵ちゃんのお母さんは「それじゃあ」って言って降りていった。

葵ちゃんは、まだびっくりしてた。

わたしは、びっくりしてる葵ちゃんの前に座った。

わたしは、言った。

「葵ちゃん、学校、来て」

葵ちゃんは、言った。

「…………うん」



今日は葵ちゃんが学校に来てくれた。

まだちょっと元気がなさそうだった。

だけど、来てくれただけでわたしは嬉しかった。


お昼休み、葵ちゃんが誘ってくれた。

二人で中庭に行って、お弁当を食べた。

葵ちゃんが「ごめんなさい」って言った。

なんのことかわからなかった。

葵ちゃんはごめんの理由を色々言ってくれたけど、それでもよくわからなかった。

しゃべってる途中で、葵ちゃんがわたしの顔を見た。

葵ちゃんが、笑った。

なんで笑ったのかわからなかったけど、わたしも嬉しくなって、笑った。

いっぱい笑った。

わたしは、つるを出した。

みんなで作ったつる。

さっき数えたら、58個あった。

千個になってないけど、渡すことにした。

葵ちゃんは、つるを見てびっくりしてた。

それから、「ありがとう」って言ってくれた。

ごめんよりも、ずっとずっと嬉しかった。

葵ちゃんが、「佳乃ちゃんって、呼んでいい?」って言った。

わたしは「だめ」って言った。

葵ちゃんが悲しそうな顔になった。

わたしは、「にゃー子」って言った。

葵ちゃんが笑った。

「にゃー子ちゃん」って呼んでくれた。

なんか、胸がムズムズして、いっぱい笑いたくなった。

だからいっぱい笑った。

いっぱいいっぱい笑った。



今朝、ゴミ棄て場でネコに会った。

魔法の言葉を教えてくれたネコだった。

わたしは、「ありがとう」って言った。

ネコは首を傾げた。

わからないみたいだった。

それでわたしは、ありがとうのかわりに「にゃー」って言った。

そしたらネコも、「にゃー」って言った。

ちゃんと伝わった。



「にゃー」っていうのは魔法の言葉。

誰かがわたしに「にゃー」って言う。

そしたらわたしも「にゃー」って言う。

みんなが笑う。

わたしも笑う。


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