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今日も葵ちゃんはお休みだった。
わたしは今日も、どうしたら葵ちゃんが元気になるかって考えた。
でも頭が変で、何も考えられなくなってきた。
頭がキーンってなる。
目がぐにゃぐにゃする。
莉奈ちゃんが、「大丈夫?」って聞いてきた。
なんのことかわからない。
莉奈ちゃんが先生に何か言った。
先生が何か言った。
詠美ちゃんが何か言った。
詠美ちゃんが、わたしの手をやさしく引いた。
わたしは、詠美ちゃんがひっぱるほうに歩いた。
そしたら、保健室に着いた。
保健室の先生がわたしのおでこに手を当てて、「風邪だ」って言った。
それから、「寝てなさい」って言った。
わたしは寝た。
学校のベッドで寝るのは、変な感じがした。
起きたら、お母さんがいた。
お母さんが、保健室の先生に何か言った。
それからお母さんに連れられて、わたしは車に乗った。
車でも、わたしは寝てた。
わたしは寝たまま、「ごめんなさい」って言った。
お母さんは、「佳乃は悪くないわ」って言った。
わたしは、泣いた。
なんで泣いたのか、わからなかった。
泣き虫なわたしを、お母さんは怒らなかった。
家の布団で寝て、頭に冷たいのを貼ってもらった。
おかゆを食べさせてもらった。
わたしの顔の横に電話の子機を置いて、「何かあったら大きい1番を押しなさい」って言われた。
わたしは「うん」って言った。
それからお母さんは、仕事に行った。
わたしは寝た。
起きたら、おかゆが置いてあった。
お腹が空いてたから食べた。
おいしくなかった。
変だなと思ったけど、全部食べた。
トイレに行きたくなった。
下に降りて、トイレでおしっこした。
トイレを出てから、お母さんを探した。
どこにもいなかった。
変だなと思ったけど、よくわからなかったから寝ることにした。
夜は元気になったから、お母さんと一緒に普通のご飯を食べた。
お母さんが、「おかゆ作ったの?」って聞いてきた。
わたしは「ううん」って言った。
「じゃあ、あれは幸人ね」ってお母さんが言った。
あのおかゆは、幸人がつくったおかゆだってわかった。
幸人がわたしにおかゆを作ってくれてた。
なんだか、すごく嬉しかった。
おいしくなかったおかゆが、すごくおいしいおかゆになった。
わたしはすぐに、幸人の部屋の前に行った。
それで「ありがとう」って言った。
返事はなかったけど、悲しくなかった。
ご飯のあとに、わたしはつるを作った。
きれいじゃなくても、遅くても、がんばって作ろうって思った。
お母さんが、「早く寝なさい」って言った。
わたしは、「もう少し」って言った。
だけど今日は「病気したから駄目」って言われた。
わたしは部屋に入って、ベッドに入った。
だけどドキドキして、なかなか眠れなかった。
今日は学校に行く途中で、千晴ちゃんと縷々ちゃんに会った。
千晴ちゃんが、「大丈夫?」って聞いてきた。
わたしは「うん」って言った。
それから千晴ちゃんが小さい声で「これ」って言って、つるを出した。
びっくりした。
10個ぐらいあった。
「家で作った」って、千晴ちゃんが言った。
「学校じゃ怖いから」って、縷々ちゃんが言った。
わたしは「ありがとう」って言って、つるをしまった。
それから、三人で一緒に学校へ行った。
今日も葵ちゃんはお休みだった。
わたしはがんばってつるを作った。
千晴ちゃんと縷々ちゃんだけじゃなくて、他の人もつるをくれた。
字を書いてるのもあった。
「色々ごめん。でも俺はお前の味方だ。ガンバレ」
その字を見て、わたしもがんばろうって思った。
早く葵ちゃんにも見せてあげたいって思った。
放課後に、日直の詩織ちゃんから葵ちゃんのプリントをもらおうとした。
そしたら、「私も行っていい?」って聞かれた。
わたしは「うん」って言って、一緒に行くことになった。
葵ちゃんのお母さんにプリントを渡したら、「上がっていく?」って聞かれた。
びっくりした。
もちろん、「うん」って言った。
でも詩織ちゃんは、「私はいいです」って言った。
それで、わたし一人で葵ちゃんの家に入った。
葵ちゃんのお母さんが、「葵の為にありがとう」って言った。
わたしは、なんて言っていいかわからなかった。
葵ちゃんのお母さんは、お茶とお菓子を出してくれた。
でもわたしは、それよりも早く葵ちゃんに会いたかった。
そう言ったら、葵ちゃんのお母さんは「ありがとう」って言ってから、2階の部屋に連れていってくれた。
葵ちゃんのお母さんが部屋の扉ををノックした。
「いいよ」っていう葵ちゃんの声が聞こえた。
葵ちゃんのお母さんが扉を開いた。
わたしは、久しぶりに葵ちゃんを見た。
葵ちゃんは、びっくりしてた。
思ってたよりも元気そうでよかった。
わたしが中に入ると、葵ちゃんのお母さんは「それじゃあ」って言って降りていった。
葵ちゃんは、まだびっくりしてた。
わたしは、びっくりしてる葵ちゃんの前に座った。
わたしは、言った。
「葵ちゃん、学校、来て」
葵ちゃんは、言った。
「…………うん」
今日は葵ちゃんが学校に来てくれた。
まだちょっと元気がなさそうだった。
だけど、来てくれただけでわたしは嬉しかった。
お昼休み、葵ちゃんが誘ってくれた。
二人で中庭に行って、お弁当を食べた。
葵ちゃんが「ごめんなさい」って言った。
なんのことかわからなかった。
葵ちゃんはごめんの理由を色々言ってくれたけど、それでもよくわからなかった。
しゃべってる途中で、葵ちゃんがわたしの顔を見た。
葵ちゃんが、笑った。
なんで笑ったのかわからなかったけど、わたしも嬉しくなって、笑った。
いっぱい笑った。
わたしは、つるを出した。
みんなで作ったつる。
さっき数えたら、58個あった。
千個になってないけど、渡すことにした。
葵ちゃんは、つるを見てびっくりしてた。
それから、「ありがとう」って言ってくれた。
ごめんよりも、ずっとずっと嬉しかった。
葵ちゃんが、「佳乃ちゃんって、呼んでいい?」って言った。
わたしは「だめ」って言った。
葵ちゃんが悲しそうな顔になった。
わたしは、「にゃー子」って言った。
葵ちゃんが笑った。
「にゃー子ちゃん」って呼んでくれた。
なんか、胸がムズムズして、いっぱい笑いたくなった。
だからいっぱい笑った。
いっぱいいっぱい笑った。
今朝、ゴミ棄て場でネコに会った。
魔法の言葉を教えてくれたネコだった。
わたしは、「ありがとう」って言った。
ネコは首を傾げた。
わからないみたいだった。
それでわたしは、ありがとうのかわりに「にゃー」って言った。
そしたらネコも、「にゃー」って言った。
ちゃんと伝わった。
「にゃー」っていうのは魔法の言葉。
誰かがわたしに「にゃー」って言う。
そしたらわたしも「にゃー」って言う。
みんなが笑う。
わたしも笑う。




