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チートな親から生まれたのは「規格外」でした  作者: 真那月 凜
第1部 旅の準備

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2_旅に出たい④

「残念だけど、今のあなた達に許可は出せないわね」

「「「何で?」」」

俺達は揃って身を乗り出していた

「レイにはなんて言われたの?」

「死ぬのが分かってて許可を出す親はいないって…」

「そうね。私もそう思うわ」

キッパリ言い切られた


「何でそんなことわかるんだよ?」

俺はちょっと向きになって反論した


「セトイカまでの道のりは山道が多いの。そこで出る魔物はCランク~Bランクだからよ。場所によってはAランクの魔物も出るし、そこを通らないとセトイカに行くことは出来ないわ」

「「「!」」」

それを聞いて俺は目の前が真っ暗になった


俺はBランクでも2人はCランク

その3人でAランクの魔物なんて1頭でも倒せるかわからない

しかもそれが複数出てくれば絶対死ぬ

『死ぬのが分かってて』と言った父さんの言葉は、大げさでも何でもなかったってことだ


「まぁ、あなた達3人がもう少し強くなれば行けなくもないでしょうけどね」

母さんは父さんを見てそう言った


「そうだな。冒険者をしていてここに閉じ込めておけるとは思ってない。ましてお前らはサラサの血を引いた規格外だしな」

「あら、私だけのせいにするなんて酷くない?」

「8割以上サラサだろ?魔力だけならシアは9割サラサだしな。俺もお前のおかげで規格外の耐性ついてるし」

そう言って母さんに口づける

父さんも母さんも、互いを愛し合ってることを隠すことが無い

それはカルムさん達も同じだけどね


「でも母さん、強くって言っても漠然とし過ぎてわかんないよ」

見慣れた光景をスルーしてルークが拗ねたように言う

「今の実力じゃセトイカまでたどり着けないのはわかった。それは事実なんだと思う。でも…」

「…どうなれば旅を認めてくれる?」

ルークの言葉を拾う様に俺は尋ねた

俺だって無駄死にしたいわけじゃないし、父さんたちが意味無く反対してるわけじゃないのも理解した

出来るなら納得して送り出してもらいたい


10年前、俺はまだ4歳だったけど、スタンピードに挑みに行った父さんと母さんが帰って来るまで怖くて仕方なかった

メリッサさんもリルさんもバルドさんも、父さんたちなら大丈夫だって言ってくれた

俺だって頭では分かってたけど、帰ってきてその顔を見るまで不安に押しつぶされそうだったのを今でも覚えてる

きっと今の俺達が旅に出れば父さんたちにあんな思いをさせるんだと思う

だから今のまま強行突破することは有り得ない

だったら俺達が行っても大丈夫だって思える妥協点を知りたい


「確かにあなたたちの言う通りね。じゃぁこうしましょう」

母さんはそう言ってインベントリから取り出した紙に色々書き始めた


*****

【最低条件】

〇シアが成人すること

〇ルークとシャノンがBランクになること

〇3人で中級迷宮を踏破すること


【出発までに行うこと】

《シア》

 週1回弾丸に同行してカルムさんの姿勢を学ぶこと

 月1回レイとアランさんに魔法の活かし方を学ぶこと

《ルーク》

 月1回レイとトータさんに魔法の活かし方を習うこと

《シャノン》

 月1回カルムさんとナターシャさんに魔法の活かし方を習うこと

《ルーク・シャノン》

 月2回孤児院で魔法、剣技を教えること

 月2回Cランク以下の冒険者と即席パーティーで依頼を受けること

《3人》

 レイに持ち物の確認をしてもらい、合格を貰うこと


【出発してから行うこと】

〇月に1回家に近況を知らせること

〇毎日その日の記録を付けること

*****


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