9_弟妹①
弾丸と依頼を受けたあと、俺は寄るところがあるからと皆と別れた
向かったのは商会
ここにはこの世界の色んなものが売られてる
「どうすっかなぁ…」
店の中をウロウロと歩き回りながらもこれと言ったものが見つからない
「あ…」
1時間ほどうろついてようやく気になる物が目に留まる
そこに並んでいたのは装飾品で全て魔石がセットできるタイプのものだ
「シアじゃないか。お前さんがここを見に来るのは珍しいな?彼女でもできたか?」
「違うって」
既に顔なじみになっている店員にからかわれながら商品を見る
「で、実際のところ誰にやるんだ?」
「双子だよ。2人で初級迷宮を踏破した祝い」
「ほぅ…シャノンとルークが2人でか?お前に続いてしっかり規格外の道を歩んでるじゃないか」
このおっさんまでそれを言うのか…
少し凹みながらも視線は商品に向ける
「…そうやって選んでる姿はレイとそっくりだな」
「え?」
「お前のそのリング、あいつはそんな風に3時間くらいかけて選んだんだよ。シアがBランクになったんだって嬉しそうに言いながらな」
う…そだろ…
父さんが俺の為に?
俺は一瞬固まった
「でもこれは余ってるからやるって…」
そうつぶやくと親父がゲラゲラと笑い出す
「あいつも素直じゃねぇからな。そうか。そんなこと言って渡したか」
笑いの止まらない親父に呆然とする
「まぁ、今のは聞かなかったことにしといてやってくれ。で、めぼしいのはあったか?」
「あぁ…これとこれを」
2つのブレスレットを指さして伝える
「随分細いのを選んだな?」
「母さんが作ったのを既に持ってるから」
「あぁ、サラサが作ったのならこの辺のより上等か…それでも持たせてやりたいってか」
ブレスレットを複数装備する冒険者は多い
魔力が反発しなければ効果にも問題ないのが大きな理由だ
その点、俺達が身に着けてるのは殆ど母さんが作ったものなので問題ない
「2つで8万Gだ」
「…安くないか?」
このタイプの装飾品で5万Gを下回る商品はない
それを2つ選んでるのに10万G行かないとか絶対にあり得ない
「俺からの祝いも兼ねて負けといてやる」
俺達が買い物に行く先々でこういうことは良く起こる
多分父さんと母さんのおかげなんだろうけど
「…サンキュ」
申し訳なさと同じくらいのありがたさを感じながら俺は商会を後にした




